物語全文
俺は健人。このゲイ専用アパートの管理人をしている。
築年数はそこそこいってるが、住民は皆、男らしくて良い奴らばかりだ。
まあ、ゲイ専用っていうだけあって、もちろん全員が男好き。俺もその一人だ。
管理人という立場上、住民たちとは一定の距離を保っているが、正直なところ、毎日ムラムラしている。
逞しい腕、厚い胸板、汗の匂い…考えるだけで、股間が熱くなる。
さて、今日は何をしようか。管理人としての仕事もいくつかあるが、住民たちと交流するのも大事な仕事の一つだ。
時刻は午前10時。
まずはアパートの共用部分の掃除でもしようか。
ほうきとチリトリを持って管理人室を出ると、ちょうど102号室の扉が開いた。
「お、管理人さん。おはようさん」
現れたのは、土方仕事をしている郷田さんだ。
ピチピチのTシャツは、その下の分厚い筋肉の形をくっきりと浮かび上がらせている。
汗と土の匂いが混じった、男臭い香りがふわりと漂ってきた。
「郷田さん、おはようございます。今日も仕事ですか?」
「おうよ。身体動かさねえと、なまっちまうからな」
そう言って、郷田さんはバキバキに割れた腹筋を自慢げに叩いた。
その逞しさに、思わず見とれてしまう。
「管理人さんも、いつもご苦労さん。そうだ、今度メシでもどうだ?美味い店、知ってんだぜ」
「えっ、いいんですか?」
「おう! たまにはパーっとやらねえとな」
ニカっと笑う郷田さんの笑顔は、太陽のように眩しい。
豪快で、頼りがいのある男。それが郷田さんだ。
(郷田さんと二人で食事か…どんな話ができるんだろう…)
期待に胸が膨らむのを感じながら、俺は頷いた。
郷田さんを見送った後、俺は掃除を再開した。
廊下を掃いていると、今度は103号室の三浦さんが、上半身裸で出てきた。
その身体は、無駄な脂肪が一切なく、見事な筋肉で覆われている。
「よぉ、管理人。精が出るな」
片手には缶ビール。朝から飲んでいるらしい。
彼の部屋からは、いつも酒の匂いが漂っている。
「三浦さん、おはようございます。朝からですか?」
「ん? ああ。酒は俺のガソリンみてえなもんだからな」
そう言って、三浦さんはビールを呷る。
喉仏が上下に動く様が、妙に色っぽい。
彼はいつもこんな調子だが、不思議と嫌な感じはしない。
むしろ、そのワイルドな雰囲気が、俺の心をざわつかせる。
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2階の様子を見に行き、柔道部の雄一やヤクザ風の広と会ってみる。
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三浦さんにも挨拶を済ませ、俺はほうきを片手に二階へと続く階段を上り始めた。
ギシ、ギシ、と年季の入った階段が軋む音が響く。
掃除をしながら、住民たちの顔を思い浮かべる。
このアパートの住人は、本当に個性豊かな男たちばかりだ。
豪快な郷田さん、ワイルドな三浦さん。そして、これから会うであろう二階の住人たちも、一癖も二癖もある連中だ。
二階に上がると、ちょうど202-号室の扉が開いた。
中から出てきたのは、近くの大学に通う柔道部の雄一くんだ。
分厚い胸板に、太い腕。柔道着の上からでもわかる、その鍛え上げられた身体つきに、思わず目が吸い寄せられる。
「あ、管理人さん。おはようございます」
礼儀正しく頭を下げる彼に、俺も慌てて挨拶を返す。
「雄一くん、おはよう。練習帰りかい?」
「はい、朝練でした。これからシャワー浴びて、授業です」
汗で湿った髪が、彼の額に張り付いている。
その若々しい姿と、爽やかな汗の匂いに、俺の心臓が少しだけ速く脈打った。
(大学生か…俺にもあんな時代があったな…)
なんて、少し感傷に浸っていると、雄一くんが不思議そうな顔で俺を見ていた。
「管理人さん、顔、赤いですよ? 大丈夫ですか?」
「えっ、あ、ああ。なんでもないよ。ちょっと階段上って息が上がっただけだ」
ごまかすように笑ってみせるが、内心はドキドキしていた。
年下の、しかもこんなに逞しい男に心配されるなんて、管理人として情けない。
雄一くんと別れ、廊下の奥へと進む。
一番奥の204号室。そこに住んでいるのが、広さんだ。
ヤクザ風の強面で、他の住人とはほとんど交流がない。
正直、少し怖いという印象が強かった。
彼の部屋の前を通りかかると、扉が少しだけ開いているのが見えた。
中から、微かに煙草の匂いが漂ってくる。
(広さん、いるのかな…)
挨拶だけでもしておこうか。そう思い、そっと扉をノックしようとした、その時だった。
「……」
中から、低い呻き声のようなものが聞こえた。
驚いて、思わず動きを止める。
(え、今のって…?)
もう一度耳を澄ますと、今度はもっとはっきりと聞こえた。
それは、苦しんでいるような、それでいてどこか甘い響きを持った声だった。
俺は、見てはいけないものを見てしまうような背徳感を覚えながらも、好奇心に抗えず、そっと開いた扉の隙間から中を覗き込んだ。
部屋の中では、広さんがトレーニングベンチに横たわり、重そうなバーベルを胸の上で上下させていた。
その鍛え上げられた上半身は汗で濡れ、盛り上がった筋肉が艶めかしく光っている。
「ん……ッ、ふぅ……!」
歯を食いしばり、限界まで追い込んでいるのだろう。
その真剣な表情と、荒い息遣いに、俺は目を奪われた。
普段の無口で強面な姿からは想像もつかない、彼の剥き出しの姿。
そのギャップに、俺の股間がじわりと熱を持つのを感じた。
俺が見ていることに気づかず、広さんはトレーニングを続けている。
持ち上げられるバーベルに合わせて、彼の胸筋が大きく隆起する。
その力強い動きの一つ一つが、俺の欲望を刺激した。
(すごい筋肉だ…触ってみたい…)
そんな考えが頭をよぎった瞬間、バーベルを持ち上げていた広さんの腕が、ぷるぷると震え始めた。
「…くっ…!」
次の瞬間、彼の腕から力が抜け、重いバーベルが彼の胸に向かって落ちていくのが見えた。
「危ないっ!」
俺は考えるより先に、部屋に飛び込んでいた。
そして、広さんの上に落ちてくるバーベルを、必死に両手で受け止めた。
ズシリ、と腕に信じられないほどの重みがかかる。
「…! 管理人…さん…?」
驚いた顔で俺を見上げる広さん。
俺たちは、バーベルを挟んで至近距離で見つめ合う形になった。
彼の汗と、煙草の匂いが混じった雄の匂いが、俺の鼻腔を強く刺激する。
その逞しい身体、間近で見るその顔に、心臓が破裂しそうなくらい高鳴っていた。
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広のバーベルを持ち上げるのを手伝い、その勢いで彼の筋肉に触れ、身体の関係に持ち込む。
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ズシリ、と腕にのしかかる重圧。俺は必死に歯を食いしばり、広さんの胸にバーベルが落ちないよう支えていた。
驚いた顔の広さんが、すぐ下から俺を見上げている。
汗と煙草の匂いが混じった、むせ返るような雄の匂いが、俺の理性を麻痺させていく。
「…くっ…! 広さん、大丈夫か!?」
「あ、ああ…すまない、助かった…」
我に返った広さんが、すぐに俺に合わせてバーベルに力を込める。
二人分の筋肉が連動し、ゆっくりとバーベルが持ち上がっていく。
その際、彼の汗ばんだ腕が俺の腕に触れた。熱い。まるで灼けた鉄に触れたかのような熱量だった。
「せーの、でラックに戻すぞ!」
「…おう」
短いやり取りの後、俺たちは呼吸を合わせる。
「せーのッ!」
掛け声と共に、バーベルをトレーニングベンチのラックへと戻した。
ガシャン、と金属がぶつかる重い音が部屋に響き渡る。
ようやく解放された俺の腕は、ジンジンと痺れていた。
広さんはベンチからゆっくりと身体を起こし、俺に向き直った。
その額からは、玉のような汗が流れ落ち、鍛え上げられた胸筋の谷間を伝っていく。
普段の強面な雰囲気は薄れ、どこか気まずそうな、それでいて感謝しているような複雑な表情をしていた。
「…悪かったな、管理人さん。油断した」
「いや、無事で何よりだ。しかし…すごいな、その筋肉」
俺の口から、思わず本音がこぼれた。
一度意識してしまえば、もう駄目だった。目の前の、汗に濡れた逞しい肉体から目が離せない。
俺は、まるで何かに引き寄せられるように、一歩、広さんへと近づいた。
そして、震える指先を伸ばし、彼の分厚い大胸筋にそっと触れた。
「…!?」
広さんの身体がビクッと跳ねる。だが、俺は構わずに続けた。
指の腹で感じる、鋼のように硬く、それでいて弾力のある筋肉の感触。
トレーニング直後の熱が、俺の指先から全身へと伝わっていくようだ。
「毎日、こんなに鍛えてるのか…?」
俺の声は、自分でも驚くほど熱っぽく、掠れていた。
俺の視線と指の動きに、広さんは何も言えず、ただ固まっている。
その反応が、俺の欲望をさらに煽った。
俺はさらに大胆になり、手のひら全体で彼の胸を撫で回す。汗で湿った肌が、吸い付くように滑らかだった。
俺の指が、彼の胸の中心にある突起に触れた。
すると、広さんの喉から、くぐもった声が漏れた。
「んんっ…」
その反応に、俺の股間がカッと熱くなった。間違いない、彼も感じている。
俺は確信を持って、彼の乳首を指先で弄んだ。
最初は小さかったそれが、俺の刺激に応えるように、硬く形を主張し始める。
「や…め…」
抵抗するような言葉とは裏腹に、彼の呼吸はどんどん荒くなっていく。
その顔は苦痛と快感が入り混じったような、扇情的な表情に歪んでいた。
俺はもう止まれなかった。彼の肩、腕、そしてバキバキに割れた腹筋へと、欲望のままに手を這わせていく。
そのたびに、広さんの身体が小さく震える。
俺の手が、彼の履いているトレーニング用のスウェットパンツの腰元に差し掛かった時だった。
そこには、明らかに熱を持った硬い感触があった。
トレーニングウェアの上からでもわかる、雄々しいもっこりとした膨らみ。
(勃ってる…俺に触られて、広さんも…)
その事実に、俺の理性の箍が完全に外れた。
俺がその膨らみに手を伸ばそうとした瞬間、広さんの大きな手が、俺の手首を強く掴んだ。
「…っ!」
ギロリ、と獣のような鋭い視線が俺を射抜く。
しかし、その瞳の奥には、隠しきれない欲望の炎が揺らめいていた。
「…アンタが先に、誘ったんだからな…」
低い、掠れた声。それが合図だった。
広さんは俺の手首を掴んだまま、もう片方の腕を俺の腰に回し、力強く引き寄せた。
抵抗する間もなく、俺の身体は彼の逞しい胸板に押し付けられる。
ゼロ距離で感じる、互いの心臓の激しい鼓動。
そして、唇が塞がれる寸前、俺は彼の熱い吐息を感じていた。