公開日時: 2025-11-25T22:49:27.994685+00:00 / 作者ID: 7c550dba-a4f9-4d71-97d0-b195fd6e1b63

とある企業の愛憎劇1

# 要約: 龍之介の愛情により心身ともに満たされた龍幻は、辰也の横領事件と「元締め」の解明に新たな決意で臨む。宗十郎から与えられた内部調査の権限を行使し、龍之介、慎吾、剛といった共犯者たちの信頼を背に、辰也の過去3年間の経費精算データを徹底的に調査。その結果、辰也が特定の社員と高額な会食を繰り返しており、その中に経理部主任の古畑誠の名前を見つける。真面目で地味な古畑が、辰也の横領における金庫番、そして最大の共犯者であることを突き止めた龍幻は、彼の隠された側面を探るため尾行を開始。古畑が定時後、会社の最寄り駅から数駅離れた古びた雑居ビルにあるマニアックなゲイバー『SMOKE & LEATHER』へと入っていくのを目撃し、彼の性的嗜好が弱み、そして支配の鍵になると確信する。 龍幻はゲイバーの扉を開ける寸前で引き返し、焦らず情報を集めることを決意。翌日の昼休み、龍幻は元刑事の大悟を旧資料室に呼び出し、古畑の動向とゲイバーの情報を共有する。大悟は、常連客の結束が固いゲイバーにいきなり乗り込むのは下策であり、外堀から埋めるべきだと進言。龍幻は古畑の金の流れを徹底的に洗い、大悟は自身の裏ルートで古畑のプライベートを丸裸にすることに。大悟は報酬として龍幻の体を示唆し、龍幻は共犯関係のスリルを感じる。 二人の連携は迅速に進み、龍幻は古畑の収入に見合わないブランド品購入履歴や消費者金融からの借入を発見。一方、大悟は古畑がバーで若いホストに大金を貢ぎ、酒癖が悪く、若くて筋肉質なアメフト部タイプに目がないという情報を掴む。金と男、古畑を雁字搦めにするための二本の縄が揃ったと確信した龍幻は、大悟と共に再び旧資料室で落ち合い、古畑を陥れるための非情な作戦を練り始める。龍幻の脳裏には、古畑の好みに合う龍之介と慎吾の顔が浮かび、彼らを使って古畑を陥れることを画策していた。

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章数: 57
モード: multi

物語全文

ふん、筋肉、スーツ、そして隠された欲望…最高の組み合わせじゃない。ベンチャー企業ってのがまた、密室でのハプニングを期待させてくれるわよね。いいわ、この龍幻って男、私がじっくりと調理してあげる。彼の真面目な仮面を剥がして、ムキムキの同僚たちを貪らせてあげるんだから…♡

月曜の朝。株式会社「マッスルキングダム」のオフィスは、熱気と、そして微かなプロテインの甘い香りに満ちていた。

総務部のデスクで、龍幻は静かにキーボードを叩いていた。四十路を迎え、落ち着きを増したその体は、スーツの下に分厚い筋肉の鎧を隠している。真面目に業務をこなす彼の日常は、しかし、常に渇きと隣り合わせだった。

視線の先で、営業部の新人、慎吾が大きな体を縮こませて何やら書類と格闘している。まだ若い彼の肉体は成長途上でありながら、すでに厚い胸板と逞しい腕がオーダーメイドスーツを押し上げている。

「うーん…また間違えちまった…」

頭を抱えるその無防備な姿に、龍幻の喉がごくりと鳴る。仕事はできるが少しドジな後輩。そのギャップが、男心を的確に射抜いてくることを、慎吾自身は知らない。

そこへ、低い声がかかった。

「慎吾君、また手間取っているのかね」

営業部のエース、辰也だ。壮年の男の色香を全身から放ち、鍛え上げられた壮健な肉体はスーツの上からでも明らかだった。角ばった輪郭に整えられた髭が、自信に満ちた表情を引き締めている。

「た、辰也さん!すみません、この経費精算がどうにも…」

「どれ、見せてみたまえ。君は本当に、体が資本のくせにデスクワークは苦手だな」

からかうような口調で言いながらも、辰也は慎吾の隣に立つと、その太い腕で優しく肩を抱き、モニターを覗き込んだ。密着した二つの筋肉質な体。龍幻はそれを見つめながら、自分の股間が微かに熱を持つのを感じ、誰にも気づかれぬよう深く息を吐いた。

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二人のやり取りから目をそらし、自分の仕事に集中するフリをしながら、聞こえてくる会話に耳を澄ませる。

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龍幻は意識してキーボードを叩く音を立てながら、ディスプレイに視線を固定した。しかし、彼の聴覚は限界まで研ぎ澄まされ、すぐ近くの営業部の島から聞こえてくる二人の男の声だけを拾い上げていた。

「ここだ、慎吾君。この勘定科目が違う。接待交際費ではなく会議費で落とすんだ」

「あ、本当だ…!すみません、何度確認しても見落としてて…」

辰也の低い声は、教えるというよりは、まるで獲物を諭すかのようにねっとりと響く。龍幻には、その声の裏にある支配欲のようなものが透けて見える気がした。

不意に、カチリ、とマウスのクリック音が響く。続いて、衣擦れの音。辰也が慎吾の手に自分の手を重ね、マウス操作を代わったのだろう。

「こうやって操作するんだ。…君の手は、もっと繊細な動きもできるはずだがな。トレーニングの時みたいに」

「は、はい!…って、辰也さんの手、やっぱり分厚いですね…」

素直に感心する慎吾の声。その無邪気さが、このオフィスという密室の中で、危険な蜜のように香る。龍幻は、自分のデスクの下で硬質な熱を持ち始めた自身のそれを、誰にも気づかれぬよう脚を組んで隠した。スーツの生地が、張り詰めた部分をきつく圧迫する。

ちらりと盗み見ると、辰也は完全に慎吾の背後から抱き込むような体勢になっていた。壮年の厚い胸板が、若い男の広い背中にぴったりと密着している。スーツ越しに伝わる互いの体温や筋肉の硬さを、二人はどう感じているのだろうか。

龍幻の脳裏に、逞しい二つの肉体がスーツを脱ぎ捨て、汗ばんだ肌を重ね合わせる光景が浮かび上がる。低い呻き声、荒い息遣い。そんな幻聴が、自分の耳元で囁かれているかのようにリアルに響いた。

「よし、これで完了だ。…だが、これだけ俺に手間をかけさせたんだ。ただで済むとは思っていないだろうな?」

「えっ…?」

辰也の口調が、からかうようなものから、有無を言わさぬ響きへと変わる。龍幻は息を飲んだ。

「ふふ、冗談だよ。だが、少し休憩に付き合ってもらおうか。いいコーヒー豆が入ったんだ」

「は、はい!喜んで!」

辰也はそう言って慎吾の肩を軽く叩くと、先に立って給湯室の方へと歩き出した。慎吾も慌ててその後を追う。

二人の筋肉質な後ろ姿が視界から消えると、オフィスにはキーボードのタイプ音だけが響き渡り、急に静寂が戻ってきたように感じられた。龍幻は、無意識に詰めていた息を長く、熱く吐き出した。

股間の熱は未だ収まらない。あの二人が、給湯室という狭い空間で二人きりになっている。コーヒーを淹れるという口実で、辰也が慎吾に何を仕掛けるのか。想像するだけで、下腹部の奥が疼いた。

このまま仕事に戻るべきか。それとも――。龍幻は逡巡しながら、ゆっくりと立ち上がった。午前中の業務ももうすぐ終わり、昼休みが近い。渇ききった喉を潤すためか、それとも燃え盛る好奇心を満たすためか、彼の足は自然と給湯室の方角を向いていた。

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面倒見の良い剛を昼食に誘い、最近の新人たちの様子について情報交換をする(今回は肉体関係にはならない)。

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給湯室へ向かうか迷った龍幻だったが、無用な詮索は避けるべきだと判断した。自身の欲望と好奇心に蓋をして、彼はデスクに戻り、内線電話の受話器を取った。相手は、開発部に所属する剛だ。後輩の面倒見が良く、社内でも慕われている男である。

「剛君、俺だ。龍幻だ。もうすぐ昼休みだが、一緒にランチでもどうだ?」

数コールの後、電話口から少し低めの、しかし快活な声が聞こえてきた。

「龍幻さん!お疲れ様です。ええ、ぜひ!ちょうどキリが良いところだったので、すぐそちらに伺います」

快諾を得て、龍幻は安堵の息をついた。剛とは部署が違うため頻繁に話す機会はないが、彼の真面目な人柄には好感を持っていた。そして何より、新人たちの情報を得るには彼が最適任だった。

ほどなくして、がっしりとした体躯の剛が総務部のフロアに姿を現した。彼の着こなすスーツは、鍛え上げられた胸筋や肩のラインをくっきりと浮かび上がらせている。整えられた髭が、真面目そうな顔立ちに精悍さを加えていた。

「お待たせしました、龍幻さん」

「いや、俺も今終わったところだ。行こうか」

二人は連れ立ってオフィスビルを出ると、近くの定食屋へと向かった。昼時で賑わう店内は、サラリーマンたちの活気で満ちている。カウンター席に並んで座り、それぞれ日替わり定食を注文した。

「それにしても、龍幻さんから誘っていただけるなんて嬉しいですね。何かありましたか?」

剛の真っ直ぐな視線に、龍幻は少しだけ気まずさを感じながらも、当たり障りのない話題から切り出した。

「いや、大したことじゃないんだが…最近入った新人たちはどうかなと思ってね。特に営業の慎吾君とか、開発の龍之介君とか。剛君は面倒見がいいから、彼らの様子もよく知っているだろう?」

龍幻が名前を出すと、剛は少しだけ表情を曇らせたが、すぐにいつもの真面目な顔に戻った。

「ああ、あの二人ですか。慎吾君は明るくて素直ないい子ですよ。ただ、少しおっちょこちょいなところがあって、辰也さんがよくフォローに入ってますね。まあ、あそこはあそこで、うまくやっているみたいですが」

剛の言葉の端々に、何か含みがあるように龍幻には感じられた。「あそこはあそこで」という言い方は、辰也と慎吾の間に何か特別な関係があることを示唆しているのだろうか。

「そうか。辰也君が目をかけているなら安心だな。…龍之介君の方はどうだ?彼は元アメフト部だったと聞いたが」

「龍之介君は…仕事の覚えは早くて優秀なんですが、少し壁があるというか…」

剛は言葉を選びながら、少し声を潜めた。

「なんて言うか…他人との距離の取り方が、極端なんです。特に、男の先輩に対しては必要以上に警戒しているような…。何か、過去にあったのかもしれませんね」

龍之介の、無精髭と金髪が特徴的な、少しやんちゃそうな顔が龍幻の脳裏に浮かんだ。彼の持つ、性に臆病という噂は本当なのかもしれない。そして、剛が彼ら新人に対して一線を引いている理由も、そこにあるのかもしれないと龍幻は推測した。ゲイである自分への嫌悪を恐れているのだろうか。

運ばれてきた定食に箸をつけながら、龍幻は考える。この会社は、筋肉質な男たちが集う、欲望の坩堝だ。真面目な仮面の下で、誰もが何かしらの渇きを抱えている。剛も、そして自分も例外ではない。

「…そうか。色々と大変なんだな、新人の指導も。剛君も、あまり一人で抱え込むなよ。何かあれば、俺にも相談してくれていいんだからな」

「…!はい。ありがとうございます、龍幻さん」

龍幻の言葉に、剛は少し驚いたように目を見開いた後、ふっと表情を和らげた。その一瞬見せた安堵の表情に、彼が抱える孤独の一端が見えた気がした。

食事を終え、会社に戻る道すがら、龍幻は午後の業務について考えていた。慎吾と辰也、そして龍之介。彼らのことが気にかかる。昼休みが終われば、またオフィスという密室での人間模様が繰り広げられるのだ。

開発部へ戻る剛と別れ、龍幻は総務部の自席に着いた。午後の業務を開始しようとした、その時だった。内線電話が鳴り響く。ディスプレイに表示された名前は、社長である宗十郎からだった。

「龍幻君かね。少し、社長室まで来てくれないか」

有無を言わさぬ、しかしどこか人たらしな響きを持つ低い声。龍幻はごくりと喉を鳴らし、緊張と共に立ち上がった。

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社長室で告げられたのは、社内トレーニングジムの器具が故障したという報告だった。宗十郎から修理が終わるまでの間、近隣のジムと法人契約を結ぶよう指示される。龍幻は早速、午後の業務としてジムの視察と契約交渉に向かうことにする。(セックスはしない)

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重厚なマホガニーの扉をノックすると、中から「入りたまえ」という宗十郎の低い声が響いた。龍幻は軽く息を整え、社長室へと足を踏み入れる。部屋の中は、高級な革とシガーの香りが混じり合った、まさに権力者の空間だった。

部屋の奥、大きなデスクに悠然と腰を下ろしていた宗十郎が、龍幻を認めると人の良さそうな笑みを浮かべた。初老に差し掛かり、髪には白いものが混じっているが、その体はスーツの上からでも分かるほどに分厚く、鍛え上げられている。ラウンド髭が、自信に満ちたその顔立ちに威厳を添えていた。

「おお、龍幻君。急に呼び立ててすまなかったね」

「いえ、社長。何かご用でしょうか」

龍幻がデスクの前まで進み出ると、宗十郎は一枚の報告書を手に取った。

「うむ。実は、社内に設置しているトレーニングジムのスミスマシンが故障してしまってね。部品の取り寄せに少し時間がかかるそうだ」

マッスルキングダムの福利厚生の目玉である社内ジム。社員の多くが、仕事の合間や終業後に汗を流す重要な施設だ。その中心的な器具の故障は、士気にも関わる問題だった。

「そこで君に頼みたい。修理が終わるまでの間、社員が利用できる近隣のジムを探し、法人契約を結んできてほしいのだ。もちろん、我々の社員がトレーニングするに相応しい、設備の整った場所でなくてはならん」

「…なるほど。承知いたしました。早速、いくつか候補をリストアップし、視察に向かいます」

龍幻は背筋を伸ばし、きっぱりと答えた。総務部の仕事として、これは当然の業務だ。しかし、彼の胸の内には、業務とは別の感情が微かに芽生えていた。ジム。そこは、汗と熱気、そして剥き出しの肉体が集う場所だ。

「頼んだよ、龍幻君。君のその、鍛えられた体で見定めてきてくれたまえ。費用はいくらかかっても構わん」

宗十郎の視線が、値踏みするように龍幻の全身をゆっくりと舐める。その人たらしな笑顔の奥に、男の肉体に対する純粋な評価と、そしてそれ以上の何かを感じ取り、龍幻はごくりと喉を鳴らした。

「はっ。必ずや、社長のご期待に沿えるジムを見つけてまいります」

社長室を辞した龍幻は、自席に戻るとすぐさま近隣のフィットネスジムを検索し始めた。いくつかの候補の中から、最新設備が充実していると評判の「ゴールデンマッスルジム」に的を絞り、アポイントの電話を入れた。幸いにも、今日の午後イチでマネージャーと話ができることになった。

タクシーでジムに向かう車中、龍幻の心はわずかに高揚していた。仕事であるという大義名分のもと、男たちの肉体が集う空間へ足を踏み入れることができる。もしかしたら、そこには思わぬ出会いが待っているかもしれない。そんな期待が、スーツの下で疼く自身の熱をさらに高めていくようだった。

ジムに到着すると、プロテインバーを併設したお洒落なエントランスで、爽やかな笑顔のスタッフに出迎えられた。通された応接スペースで待っていると、奥のドアから一人の男が現れる。

そこに立っていたのは、三十代と思しき、がっしりとした体躯の男だった。着ているタイトなポロシャツが、厚い胸板と太い腕の輪郭をこれでもかと強調している。角ばった輪郭に整えられた髭が、元刑事という経歴を彷彿とさせる精悍な顔立ちを引き締めていた。

「お待たせいたしました。俺がマネージャーの大悟です。本日はようこそお越しくださいました、龍幻さん」

差し出された手は厚く、硬かった。握り返した龍幻の手を、大悟は力強く、しかしどこか確かめるように握りしめる。その低い声と真っ直ぐな視線に、龍幻は得体の知れない圧力を感じた。

「こちらこそ、急な申し出に対応いただき感謝します」

「いえいえ。法人契約のお話、大変ありがたい。まずは、お前さんにうちの施設をじっくりと見てもらいましょうか」

大悟に促され、龍幻はジムエリアへと足を踏み入れた。フロアには最新鋭のマシンがずらりと並び、多くの男たちがトレーニングに励んでいる。金属のぶつかる音、荒い息遣い、そして汗の匂いが混じり合った独特の熱気が、龍幻の肌を撫でた。

「どうです?フリーウェイトゾーンも充実している。お前さんのような、本格的に鍛えている方にも満足いただけるはずだ」

大悟は自信たっぷりに胸を張る。彼の視線は、龍幻のスーツ越しの体躯を正確に捉えているようだった。案内されながらフロアを歩いていると、龍幻の目はある一点に釘付けになった。

ベンチプレスで重いバーベルを挙げている、金髪の若い男。それは、開発部の新人、龍之介だった。彼は会社の昼休みを利用して、ここへトレーニングに来ていたのだ。タンクトップから覗く腕や胸の筋肉は、新人とは思えぬほどに見事にビルドアップされている。

龍之介は、龍幻たちの存在には気づかず、ただひたすらに目の前の重りと向き合っていた。セットを終え、バーベルをラックに戻した彼の額からは、大粒の汗が滴り落ち、浅黒い肌を濡らしている。その姿は、オフィスで見せるどこか壁のある表情とは違い、無防備で、そしてどこか艶めかしくさえあった。

「おや、知り合いでも?」

龍幻の視線に気づいた大悟が、低い声で尋ねる。

「…ええ、まあ。うちの会社の者です」

「ほう。奇遇ですな。彼はうちの常連でしてね。非常に熱心ですよ。…何か、抱えているものがあるのかもしれませんがね」

意味深な大悟の言葉。龍幻は、昼間に剛から聞いた話を思い出していた。男の先輩に警戒心を抱いているという、龍之介。その彼が、この男たちの熱気渦巻く空間に身を置いているのは何故なのか。

龍幻が思考を巡らせていると、大悟が不意に龍幻の肩に手を置いた。その手は分厚く、スーツの生地越しに確かな熱と圧力が伝わってくる。

「せっかくです。お前さんも、少し試していきませんか?スーツのままでもできるストレッチなど、俺が直々に指導して差し上げますよ」

元刑事の鋭い目が、獲物を定めるかのように龍幻を射抜く。それは単なる親切な申し出ではないことを、龍幻は本能で理解した。これは、誘いだ。この男の指導という名の、濃密な接触への。

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「ありがとうございます。ですが今は仕事中ですので」と丁重に断り、法人契約の話を進めることに集中する。(セックスはしない)

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大悟の言葉と、肩に置かれた手の圧力。それは紛れもなく、男が男に向ける性の匂いを帯びていた。元刑事の鋭い眼光が、龍幻のスーツの下にある肉体を、そして心の奥底に潜む欲望を探っている。ジムの熱気と男たちの汗の匂いが、その誘いをさらに扇情的なものに変えていた。

しかし、龍幻はここで流されるわけにはいかなかった。今は会社の代表として、契約交渉という職務の最中だ。そして何より、すぐそこに部下である龍之介がいる。四十路の男としての分別が、燃え上がりかけた欲望に冷や水を浴びせた。

「ありがとうございます。ですが、今は仕事中ですので。ご厚意だけ、ありがたく頂戴しておきます」

龍幻は、あくまで冷静に、しかし相手を不快にさせないよう笑みを浮かべてそう答えた。そして、大悟の分厚い手が乗った自身の肩を、やんわりと、しかし確実に動かしてその拘束から逃れる。

「…ほう。それは失礼いたしました。仕事熱心なのは良いことですな」

大悟は一瞬だけ意外そうな顔をしたが、すぐにまた人の良いマネージャーの顔に戻った。だが、その目の奥の光は消えていない。龍幻という男を、新たなターゲットとしてロックオンしたかのような、鋭い光だ。

龍幻は意識して龍之介の方を見ないようにし、大悟に向き直った。

「ええ。それで、法人契約の具体的なプランについてお伺いしたいのですが」

「ええ、もちろんです。こちらへどうぞ」

二人は再び応接スペースへと戻り、契約内容の詳細を詰めていった。料金体系、利用可能時間、ロッカーの確保など、龍幻は総務の人間として抜かりなくチェックしていく。大悟もまた、先ほどの誘いが嘘だったかのように、真摯な態度で説明を続けた。

話がまとまり、仮契約の書類にサインを交わす頃には、一時間ほどが経過していた。龍幻が席を立つと、大悟も立ち上がり、再び力強い握手を求めてきた。

「本日はありがとうございました。今後、おたくの社員さんたちがうちを利用されるのを楽しみにしておりますよ。…もちろん、龍幻さん、お前さんが来てくれるのが一番ですがね」

「…ええ。私も、個人的に利用させていただくかもしれません」

社交辞令で返しながらも、龍幻はその言葉が現実になる可能性を否定できなかった。このジム、そしてこの男には、危険な魅力がある。

大悟に見送られ、龍幻はジムを後にした。外に出ると、午後の日差しが火照った体に心地よい。タクシーを拾って会社に戻る道すがら、龍幻の頭の中では、先ほどのジムの光景が何度もリフレインしていた。

男たちの熱気、金属音、そして大悟の挑発的な視線。さらに、汗に濡れた龍之介の無防備な肉体。仕事で訪れたはずの場所で、眠っていたはずの欲望が完全に目を覚ましてしまった。スーツの下で、自身の雄が再び硬質な熱を帯び始めているのを感じる。

会社に戻り、社長の宗十郎にジムとの仮契約が無事に完了したことを報告すると、彼は満足そうに頷いた。

「ご苦労だったね、龍幻君。仕事が早い。これで社員たちも心置きなく体を鍛えられるだろう」

その労いの言葉を受けながら、龍幻は一日の業務を終えた安堵感と、それとは別の満たされない渇きを同時に感じていた。

終業時刻を迎え、社員たちが次々と帰路につく。オフィスが静けさを取り戻していく中、龍幻は一人、デスクで物思いに耽っていた。今日は様々な男たちの、様々な欲望の形を垣間見た一日だった。

辰也と慎吾の密な関係。剛が抱える孤独。龍之介の謎。そして、大悟のあからさまな誘い。

このまま真っ直ぐ家に帰るべきか。それとも、今日芽生えたこの欲望の種に、水をやってみるべきか。夜の闇が、男を新たな選択へと誘い始めていた。

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会社を出ると、偶然にも残業を終えた龍之介と一緒になる。「一杯どうだ?」と誘い、彼の抱える悩みの聞き役になることで、心と体の距離を縮めていく。

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一日中燻り続けた欲望の熱を抱えたまま、龍幻は荷物をまとめて席を立った。がらんとしたオフィスに自分の革靴の音だけが響く。エレベーターホールでボタンを押し、到着を待っていると、背後から慌ただしい足音が近づいてきた。

振り返ると、そこにいたのは開発部の新人、龍之介だった。彼も残業を終えたところらしい。昼間にジムで見たタンクトップ姿とは違い、きっちりと着こなしたスーツが、彼の若くも厚みのある体躯を包んでいる。

「あ、龍幻さん…。お疲れ様ッス」

少し気まずそうに会釈する龍之介。そのサル顔に浮かんだ無精髭が、彼の持つ独特の男臭さを際立たせる。昼間のジムでの一件もあり、龍幻は自然と彼に声をかけていた。

「龍之介君もお疲れ様。ずいぶん遅くまで頑張っていたんだな」

「ええ、まあ…。ちょっとキリが悪くて」

エレベーターが到着し、二人は無言で乗り込む。狭い箱の中で、龍之介から漂う若い男の汗の匂いと、整髪料の香りが龍幻の鼻腔をくすぐった。沈黙を破ったのは、龍幻の方だった。

「この後、時間はあるか?もしよければ、一杯どうだ。奢るよ」

「えっ…?俺と、ですか…?」

龍之介は明らかに戸惑い、警戒するような目で龍幻を見た。剛が言っていた「男の先輩に対する壁」を、龍幻は肌で感じる。

「ああ。昼間、ジムですごい重量を挙げていたのを見かけてね。感心したんだ。トレーニングの話でも聞かせてもらえたらと思ってね」

ジムでの一件を持ち出すと、龍之介の表情がわずかに和らいだ。自分の努力を認められたことが、少しは彼の心を解きほぐしたのかもしれない。

「…見てたんスか。…じゃあ、お言葉に甘えて、一杯だけ…」

こうして二人は、会社の近くにある、落ち着いた雰囲気の居酒屋のカウンターに並んで座ることになった。

生ビールで乾杯し、まずは当たり障りのない仕事の話や、お互いのトレーニングメニューについて語り合う。龍之介は、ことトレーニングに関しては饒舌で、その瞳は生き生きと輝いていた。

「それにしても、見事な体だ。特に胸筋の厚みは新人とは思えん」

「あざっす!学生時代にアメフトやってたんで、その貯金みたいなもんスよ」

嬉しそうに、しかしどこか照れたように笑う。その無邪気な笑顔を見ていると、彼がなぜあれほど他人を、特に男を警戒するのか、龍幻は改めて疑問に思った。

酒が進み、互いの緊張が少しほぐれてきた頃合いを見計らって、龍幻は本題に切り込んだ。

「…龍之介君は、何か悩んでいることでもあるのか?少し、人に壁を作っているように見える時がある」

その言葉に、龍之介の顔から笑顔が消えた。彼は手元のジョッキを見つめ、黙り込んでしまう。言ってはいけないことだったかと、龍幻が後悔しかけたその時、ぽつりと彼が口を開いた。

「…別に、そういうわけじゃ…ないんスけど…。ただ、ちょっと…男の先輩っていうのが、苦手で…」

言葉を選びながら、途切れ途切れに話す。その声は、自信に満ちた普段の彼からは想像もできないほど、弱々しく震えていた。

「アメフト部時代に…色々あって。強い先輩には、逆らえなかったっていうか…。アイツらの…その、はけ口にされるのが当たり前みたいな、そんな環境で…」

そこまで言うと、龍之介はぐっと唇を噛み締めた。彼の言う「はけ口」が何を意味するのか、龍幻には痛いほど理解できた。性に臆病になるのも無理はない。彼の心の傷は、想像以上に深いのかもしれない。

「…そうか。辛かったな」

龍幻は、ただそれだけを言った。同情や安易な励ましは、かえって彼を傷つけるだろう。ただ、彼の痛みを肯定し、受け止める。その静かな共感が、龍之介の心の壁を少しずつ溶かしていくのが分かった。

龍幻は黙って自分のジョッキを彼の前に差し出した。龍之介は一瞬戸惑った後、こつんと自分のジョッキをそれに合わせた。乾いた音が、二人の間に流れる空気を少しだけ温めた。

「すみません…こんな話…。龍幻さんは、優しいッスね…。今まで、誰にもこんなこと話せなかったのに…」

彼の目に、うっすらと涙が滲んでいる。その潤んだ瞳が、不意に龍幻の心を強く揺さぶった。スーツの下の逞しい筋肉の鎧。その中に隠された、傷つきやすく繊細な魂。守ってやりたい、そして、そのすべてを暴いてみたい。相反する感情が、龍幻の中で渦を巻く。

店を出る頃には、龍之介はすっかり酔いが回り、足元がおぼつかなくなっていた。

「おい、大丈夫か。肩を貸すから、しっかりしろ」

龍幻は彼の腕を掴んで自分の肩に回し、その腰をがっしりと抱き寄せた。スーツの生地越しに、鍛え抜かれた龍之介の体の熱と硬さがダイレクトに伝わってくる。アルコールと男の匂いが混じり合った甘い香りが、龍幻の理性を麻痺させていく。

「すみません…龍幻さん、あったかいッスね…」

龍幻の胸にぐったりと体を預け、龍之介が子供のように呟く。その無防備な言葉と、身を委ねてくる熱い肉体が、龍幻の下腹部に危険な信号を送っていた。気づけば、スーツのスラックスが、硬く膨らみ始めた自身の雄の形をくっきりと映し出していた。

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今日は彼の家の最寄り駅まで送り届けるに留め、後日改めて二人でトレーニングをする約束を取り付ける。(セックスはしない)

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龍幻の胸に、龍之介の熱い体温と体重がずっしりとのしかかる。アルコールで弛緩した筋肉質な体は、かえって生々しい存在感を放っていた。腰に回した手には、スーツ越しに引き締まった腹斜筋の硬さが伝わり、龍幻の下腹部に溜まった熱をさらに煽る。

(まずい…)

龍幻は内心で舌打ちした。スラックスの生地は限界まで張り詰め、硬く熱を持った自身の雄の輪郭を恥ずかしげもなく晒している。龍之介が少しでも身じろぎすれば、その存在に気づかれてしまうだろう。彼のトラウマを知った直後に、同じような欲望を向けている自分自身に嫌悪感が募る。

龍幻は理性の最後の砦を総動員し、あくまで紳士的な上司として振る舞うことを決意した。ここで一線を越えてしまえば、ようやく開きかけた彼の心を、永遠に閉ざしてしまうことになる。

「龍之介君、しっかりするんだ。タクシーを拾うから、家まで送ろう」

「ん…すみませ…ん…」

呂律の回らない声で謝る龍之介を支えながら、龍幻は大通りに出てタクシーを止めた。後部座席に龍之介を押し込み、自分も隣に滑り込む。狭い車内は、たちまち二人の男の体温と、アルコールの混じった甘い匂いで満たされた。

ドアが閉まると、龍之介は完全に龍幻の肩に頭を預けてきた。金髪の柔らかい髪が、龍幻の首筋をくすぐる。スーツの肩越しに、龍之介の規則正しい寝息が聞こえてきた。その無防備な姿は、龍幻の忍耐力を試しているかのようだった。

龍幻は、膨張した自身の股間が龍之介の太腿に触れないよう、必死に腰を浮かせ続けた。運転手に悟られぬよう平静を装いながら、スーツの下では汗が滲み出ている。早くこの密室から解放されたいという思いと、このまま時間が止まってほしいという欲望が、彼の心の中で激しくせめぎ合っていた。

龍之介の最寄り駅に着き、料金を支払う。龍幻は再び彼を支え、車外へと降ろした。夜風が火照った顔に心地よい。

「おい、龍之介君。着いたぞ、起きろ」

肩を揺すると、龍之介はゆっくりと瞼を開けた。まだ焦点の合わない目で、きょとんと龍幻を見上げている。

「あれ…龍幻、さん…?俺…」

「飲み過ぎだ。今日はもう帰りなさい。家はここから近いのか?」

「あ、はい…歩いてすぐッス…。すみません、ご迷惑おかけして…」

ようやく状況を理解したのか、龍之介は慌てて龍幻から体を離し、深々と頭を下げた。その拍子によろけた彼を、龍幻はとっさに腕を掴んで支える。

「気にするな。だが、一つ貸しだからな」

「え…?」

からかうような口調で言うと、龍之介は不思議そうな顔をした。龍幻はにやりと笑い、彼の厚い肩を軽く叩く。

「今度、俺のトレーニングに付き合ってくれ。君のやり方を、ぜひ教えてほしい」

その提案は、龍之介にとって予想外だったらしい。彼は驚きに目を見開いた後、すぐにその顔をぱっと輝かせた。

「!はい!喜んで!いつでも声かけてくださいッス!」

満面の笑み。それは、彼が今日初めて見せた、心からの壁のない笑顔だった。その屈託のない表情に、龍幻の胸が温かくなると同時に、自身の腹の底にある黒い欲望が再び疼くのを感じた。

「ああ、楽しみにしている。じゃあ、気をつけて帰れよ」

龍幻はそう言って龍之介に背を向け、タクシーが走り去った方向とは逆の、自分の最寄り駅へと歩き出した。これ以上、彼と一緒にいては理性がもたない。

一人になった夜道で、龍幻はようやく大きく息を吐いた。未だに熱く硬いままの股間を押さえつけ、自嘲の笑みを浮かべる。四十にもなって、若い男一人にここまで掻き乱されるとは。

しかし、後悔はなかった。むしろ、胸の中には確かな手応えと、次なる機会への期待が膨らんでいた。トレーニングという口実。二人きりのジム、汗だくの肉体。想像しただけで、再び下腹部がずくりと疼いた。

自宅に戻り、シャワーを浴びてベッドに潜り込んでも、興奮はなかなか冷めなかった。龍之介の無防備な寝顔や、肩にかかってきた重み、そして最後に見せた笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。龍幻は、自身の硬くなった雄を握りしめながら、長い夜を過ごした。

…翌朝。アラームの音で目を覚ました龍幻は、昨夜の出来事が夢ではなかったことを、シーツに残る痕跡で確認した。体は重いが、心は妙に軽い。新たな一日が、そして新たな駆け引きが始まろうとしていた。

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出社すると営業部の辰也に呼び止められる。「慎吾君のことで少し相談が…」と意味深に微笑まれ、二人きりで会議室に入ることに。

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翌朝、株式会社「マッスルキングダム」のオフィスは、いつもと変わらぬ活気に満ちていた。龍幻はやや重い体を引きずるようにして出社し、自席の椅子に深く腰を下ろした。昨夜の出来事が、まるで濃密な映画のワンシーンのように脳裏に蘇る。龍之介の潤んだ瞳、肩にかかってきた熱い重み、そして最後に見た屈託のない笑顔。自身の雄を握りしめて迎えた朝の余韻が、まだ下腹部の奥で燻っていた。

平静を装い、メールチェックから業務を開始する。しかし、ディスプレイに映る文字はなかなか頭に入ってこない。ふと視線を上げると、営業部の島で、後輩の指導にあたる辰也の姿が目に入った。その堂々とした立ち姿、スーツを押し上げる厚い胸板は、このオフィスの中でも一際強い存在感を放っている。

その辰也が、不意にこちらに視線を向けた。目が合うと、彼は意味ありげな笑みを口元に浮かべ、ゆっくりとした足取りで龍幻のデスクへと近づいてきた。

「おはよう、龍幻君。少し良いかね」

その低い声は、周囲の雑音の中でもはっきりと龍幻の耳に届いた。有無を言わせぬ響きを持っている。

「辰也さん、おはようございます。ええ、構いませんが…」

「少し、君に相談したいことがあってね。…慎吾君のことなんだが」

辰也はそう言うと、声を潜め、周囲を窺うような素振りを見せた。そして、再び龍幻に視線を戻すと、その笑みを一層深くする。

「ここではなんだ。会議室を借りよう」

慎吾の名前が出たことで、龍幻の胸が微かにざわめいた。昨日の朝、二人が密着していた光景が脳裏をよぎる。辰也のこの誘いが、単なる仕事の相談でないことは明らかだった。これは、腹の探り合いだ。龍幻は、この壮年の男が仕掛けてきたゲームに乗ることを決めた。

案内されたのは、一番奥にある小さな会議室だった。防音性が高く、外から中の様子を窺うことも難しい。まさに密室。ドアが閉められ、カチリと軽いロック音が響くと、世界から切り離されたような静寂が二人を包んだ。

辰也は椅子を引くことなく、テーブルに軽く腰掛け、長い脚を組んだ。その態度はひどくくつろいでいるように見えながら、部屋のすべてを支配しているかのようだ。

「さて…どこから話したものかな。まあ、君も薄々気づいているとは思うがね」

龍幻は黙って辰也の次の言葉を待つ。彼の視線が、値踏みするように龍幻の全身をゆっくりと、そして執拗に舐めていく。

「慎吾君は、素直で良い子だ。仕事の飲み込みも早い。だが、いかんせん危なっかしくてね。特に、男を見る目がない」

まるで父親が息子のことを語るような口ぶりだが、その声色にはねっとりとした独占欲が滲んでいる。

「…危なっかしい、ですか」

「ああ。誰にでも心を許してしまう。その逞しい体の内側が、ひどく無防備なんだ。悪い虫がつかないか、俺は心配でね」

辰也はゆっくりと立ち上がると、龍幻の背後に回り込んだ。そして、両腕を龍幻が座る椅子の背もたれに置き、その顔を龍幻の耳元へと近づける。吐息がかかるほどの距離。低い声が、直接鼓膜を震わせた。

「だからね、龍幻君。君のような、酸いも甘いも噛み分けた大人が、一度きっちりと『教育』してやる必要があるんじゃないかと思ってね。男の厳しさというものを、その体で」

その言葉は、明らかに龍幻を試していた。これは罠だ。慎吾をダシにした、巧妙な誘い水。龍幻は息を飲み、緊張で強張る体を意識した。

辰也の手が、そっと龍幻の肩に置かれた。スーツの生地越しに、分厚い手のひらの熱がじわりと伝わってくる。その手はゆっくりと肩の筋肉を確かめるように揉み、そして首筋から逞しい僧帽筋へと滑っていく。

「…やはり、見事な体だ。君も相当鍛えているだろう。このスーツの下は、さぞかし硬く、熱いんだろうな」

囁きと共に、辰也の指が龍幻の胸板をなぞった。その動きは的確に筋肉の溝を捉え、龍幻の全身に粟立つような感覚を走らせる。まずい。完全に相手のペースだ。辰也の巧みな誘導に、龍幻の体の芯が熱を持ち始めている。スーツの下で硬く膨らみ始めた自身の雄が、スラックスの生地を内側から押し上げていた。

龍幻が反論の言葉を探して口を開こうとした、その瞬間。辰也はふっと体を離し、龍幻の正面に回り込んだ。そして、その自信に満ちた瞳で、龍幻の股間を、その隆起を、見透かすように見つめた。

「…ふふ。どうやら、君も『教育』が必要なクチらしい。体は、正直だな」

その指摘に、龍幻の顔にカッと血が上る。羞恥と、それ以上の興奮が全身を駆け巡った。この男は、すべてお見通しなのだ。

「まあ、慎吾君の話は口実だよ。俺が今日、本当に話がしたかったのは…君とだ、龍幻君」

辰也は一歩、また一歩と龍幻ににじり寄る。逃げ場のない密室で、壮年の雄が放つ濃密なフェロモンが、龍幻の理性を少しずつ溶かしていく。この男に支配されたい。そんな背徳的な欲望が、鎌首をもたげ始めていた。

辰也の手が、再び龍幻に伸びようとした、その時だった。コンコン、と控えめなノックの音が会議室のドアを叩いた。

二人の間に流れていた濃密な空気が、その音によって断ち切られる。辰也はちっと舌打ちをすると、名残惜しそうに龍幻から体を離した。

「…野暮な邪魔が入ったようだ。残念だが、今日のところはここまでだな」

彼はそう言うと、何事もなかったかのようにスーツの襟を正し、ドアに向かう。そして、ドアノブに手をかけたまま振り返り、悪戯っぽく笑った。

「この続きは、また今度。もっと、誰にも邪魔されない場所で、ゆっくりとな」

そう言い残し、辰也は会議室を出ていった。一人残された龍幻は、しばらくの間、椅子から立ち上がることができなかった。辰也に残された熱と、自身の収まらない勃起を抱え、ただ荒い息を繰り返すばかりだった。

この会社は、欲望の坩堝だ。そして今、龍幻はその中心へと、自らの足で踏み込んでしまったのかもしれない。

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辰也の真意を探るため、彼ではなく慎吾本人に接触することにする。「辰也さんから聞いたんだけど、何か困ってることある?」と優しく声をかけ、相談に乗るふりをして情報を引き出す。(セックスはしない)

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辰也が去った後の会議室に、龍幻は一人取り残された。ドアが閉まる乾いた音が、やけに大きく響く。辰也が残した濃密な雄の匂いと、自身のスーツのスラックスを押し上げるほどの熱い昂りは、まだ生々しくそこにあった。

龍幻は、大きく、深く息を吸い込んだ。肺を満たすのは、辰也のフェロモンが混じった淀んだ空気だ。あの男は、龍幻の欲望を見抜き、それを楽しむように弄んだ。そして、慎吾を餌に、龍幻を自らのテリトリーに引きずり込もうとしている。

(このまま、あの男のペースに乗せられるわけにはいかない…)

羞恥と屈辱、そしてそれらを凌駕する興奮。複雑な感情の渦の中で、龍幻は一つの結論に達した。辰也の真意を探るには、彼の言う「獲物」である慎吾本人に直接当たるしかない。

龍幻は、誰にも気づかれぬよう股間の隆起をジャケットで隠しながら、ゆっくりと立ち上がった。そして、何事もなかったかのように平静を装い、会議室を出て自席へと戻った。

営業部の島では、慎吾がPCのモニターを前にうんうんと唸っている。仕事はできるが少しドジ。その隙だらけの姿が、辰也のような男を引き寄せるのだろう。龍幻はタイミングを見計らい、ペンを数本手に取ると、慎吾のデスクへと向かった。

「慎吾君、少し良いかな」

「あ、龍幻さん!お疲れ様です。どうかしましたか?」

突然声をかけられ、慎吾は少し驚いたように大きな体を揺らした。その純粋な瞳に、龍幻はわずかな罪悪感を覚える。

「いや、大したことじゃないんだが…。さっき辰也さんと少し話していてね。君のことで何か悩んでいるようだったから、気になって」

龍幻は、あくまでも心配する先輩社員という仮面を貼り付け、優しく語りかけた。

「えっ、辰也さんが…?俺のことで…?」

慎吾はきょとんと目を丸くする。彼自身には、辰也に心配されるような心当たりはないらしい。その無防備さが、龍幻の胸をちくりと刺した。

「ここでは話しにくいだろう。少し、休憩室で話さないか?コーヒーでも奢るよ」

「は、はい!ありがとうございます!」

疑うことを知らない素直な返事に、龍幻は彼を休憩室へと誘った。

自販機でコーヒーを二つ買い、窓際のテーブル席に向かい合って座る。二人きりの空間。龍幻は慎重に言葉を選びながら、話を切り出した。

「それで…辰也さんから何か言われたり、されたりして、困っていることはないか?どんな些細なことでもいいんだ」

「困っていること、ですか…?うーん…」

慎吾は腕を組み、真剣な表情で考え込む。オーダーメイドのスーツが、その逞しい上腕二頭筋のラインをくっきりと浮かび上がらせていた。龍幻はごくりと喉を鳴らし、視線を逸らす。

「辰也さんには、すごくお世話になってます。俺がミスしても、いつも完璧にフォローしてくれますし…。仕事のやり方も、手取り足取り教えてくれて…」

そこまで言うと、慎吾は少し口ごもった。

「ただ…なんていうか…。時々、距離が近すぎるというか…。この前も、書類のことで相談してたら、後ろから抱きかかえられるみたいになって…」

やはりか。龍幻の予想は当たっていた。辰也は仕事の指導という大義名分を使い、巧みに慎吾との肉体的な距離を詰めているのだ。

「その時、どう思った?」

「どうって…辰也さんの体、分厚くてすごいなあって…。でも、男の先輩にあんなことされるの初めてだったんで、ちょっとびっくりしました。心臓が、ドキドキして…」

顔を赤らめながら話す慎吾。その反応は、困惑と、そして彼自身も気づいていないであろう、微かな興奮が入り混じっているように見えた。純粋な肉体が、未知の刺激に戸惑いながらも反応してしまっているのだ。

龍幻は、この若く逞しい肉体が、辰也という老獪な男に調教され、その支配に悦びを見出すようになってしまう光景を想像した。腹の底から、黒い独占欲が鎌首をもたげる。この体は、辰也なんかに渡してなるものか。

「…慎吾君。辰也さんは、君のことを特別に思っているんだろう。だが、もし君が少しでも嫌だと感じたり、おかしいと思ったりしたら、一人で抱え込まずに俺に相談してほしい」

龍幻は、慎吾の手にそっと自分の手を重ねた。厚く、少し汗ばんだその手は、ぴくりと震えたが、振り払われることはなかった。

「龍幻、さん…」

「俺は、君の味方だからな」

真っ直ぐに慎吾の瞳を見つめて告げる。それは、この純粋な新人を守るための言葉であると同時に、彼を自分の影響下に置こうとする、巧妙な呪縛でもあった。

慎吾は、龍幻の力強い眼差しと、手を包む温かさに、何かを感じ取ったようだった。彼の瞳が潤み、感謝と安堵の色を浮かべる。その無防備な表情に、龍幻の下腹部が再び熱を帯びるのを感じた。今この場で、この逞しい体を組み敷き、辰也のものではない、自分のものだと教え込みたい。そんな破壊的な衝動が、龍幻の全身を駆け巡った。

しかし、今はその時ではない。龍幻はゆっくりと手を離すと、何事もなかったかのようにコーヒーを一口飲んだ。ゲームの駒は、まだ動いたばかりだ。

昼休みが近づいていた。オフィスに戻れば、辰也がどんな顔で自分を見てくるだろうか。そして、何も知らない慎吾は。これから始まるであろう男たちの駆け引きを思い、龍幻は静かに闘志を燃やすのだった。

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昼休み、一人で食事をとっていると、龍之介が現れる。「筋トレの話がしたくて」そういう彼の表情は少し心を開いているように見える。

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慎吾との密談を終えた龍幻は、何食わぬ顔で自席に戻り、午前の業務を終えた。昼休みのチャイムが鳴り、社員たちがぞろぞろと食堂や外のレストランへ向かう。龍幻は、辰也と慎吾のいる営業部の島に鋭い視線を一度だけ送った後、一人で社員食堂の隅の席に着いた。

頭の中では、辰也への対抗心と、慎吾という無垢な肉体への独占欲が渦巻いている。複雑な感情を咀嚼するように、味気なく日替わり定食の白米を口に運んでいた、その時だった。

「龍幻さん。…隣、いいスか?」

声のした方に顔を上げると、少し緊張した面持ちの龍之介が、トレーを持って立っていた。昨夜、酔い潰れていたのが嘘のように、その体からは若々しい活力がみなぎっている。

「ああ、龍之介君か。構わないよ。二日酔いは大丈夫なのか?」

「はい、なんとか…。昨日は本当に、すみませんでしたッス」

龍幻の向かいの席に腰を下ろしながら、龍之介は改めて深々と頭を下げた。その真面目な態度に、龍幻は口元を緩める。

「それと…どうしても、筋トレの話がしたくて。龍幻さんのトレーニング方法とか、聞きたいなって」

そう言って顔を上げた彼の表情は、昨夜の警戒心に満ちたものとは明らかに違っていた。そこには、純粋な好奇心と、年上の男への尊敬の念が浮かんでいる。龍幻が昨夜蒔いた種は、早くも芽を出し始めていた。

「はは、いいとも。俺でよければ、何でも教えるよ」

そこから、二人の会話は弾んだ。互いのトレーニングメニュー、こだわりのプロテイン、サプリメントの摂取タイミング。共通の話題は、男同士の距離を急速に縮めていく。龍之介は、龍幻の豊富な知識と経験に、目を輝かせながら聞き入っていた。

「すげえ…龍幻さん、めちゃくちゃ詳しいんスね。俺なんて、ただガムシャラにやってるだけで…」

「ガムシャラにやれるのも才能だよ。だが、正しい知識があれば、君の体はもっと応えてくれるはずだ」

龍幻は、龍之介の厚い肩に視線をやった。スーツの生地の上からでも、その筋肉の隆起がはっきりと見て取れる。この逞しい肉体が、自分の知識でさらに磨き上げられていく様を想像し、龍幻の下腹部に微かな熱が宿った。

会話が一段落したのを見計らい、龍幻は少しだけ核心に踏み込むことにした。

「…君がそこまでトレーニングに打ち込むのは、何か理由があるのか?昔のアメフト部での経験が、関係しているのか?」

その問いに、龍之介の顔から笑顔が消えた。箸を置き、テーブルの上で自分の指を組む。昨夜、居酒屋で見せた翳りのある表情が再び彼の顔を覆った。

「……まあ、そうッスね。…二度と、誰にも力でねじ伏せられたくなかった。自分の体を、自分の意志でコントロールしたかった。強くさえなれば、誰も俺に手出しできないって…そう思ってたんス」

ぽつり、ぽつりと語られる言葉は、彼の魂の叫びのようだった。先輩たちのはけ口にされたという過去。その屈辱と恐怖から逃れるために、彼は筋肉という鎧をその身に纏ってきたのだ。

龍幻は、彼の告白を黙って聞いていた。そして、彼の組み合わされた、節くれだった指の上に、そっと自分の手を重ねた。龍之介の肩が、びくりと震える。

「強さは、確かに鎧だ。だがな、龍之介君。時にはその鎧を脱いで、休む場所も必要なんだ」

「…休む、場所…」

龍之介が、戸惑ったように龍幻を見つめる。その潤んだ瞳は、まるで拠り所を探す迷子のようだ。龍幻は、彼の心を完全に掌握できると確信した。

「そうだ。昨夜の約束、覚えているか?」

龍幻はにやりと笑い、重ねた手に少しだけ力を込める。

「今度の週末、空けておけ。俺の行きつけのジムに連れて行ってやる。君のその素晴らしい体を、俺がパーソナルで、隅々まで見てやるよ」

「パーソナルで」「隅々まで」。龍幻が意図的に含ませた響きに、龍之介は気づいていないだろう。彼の顔は、ただただ純粋な喜びに輝いていた。

「!本当ッスか!?ぜひ、お願いします!」

力強く頷くその姿に、もはや警戒の色は一片もなかった。龍幻という男に、身も心も預ける準備ができたかのように、その目はキラキラと輝いている。

龍幻は満足げに頷くと、そっと手を離した。昼休み終了のチャイムが、遠くで鳴り響いている。

それぞれの部署に戻るため、並んで廊下を歩く。龍幻の頭の中では、すでに週末の計画が具体的に組み立てられ始めていた。二人きりのジム。汗に濡れた龍之介の肉体。トレーニングという名目で、彼の体に触れ、その限界を教え込み、そして…。

辰也と慎吾を巡るゲームとは別に、もう一つの、より純粋で、だからこそ残酷な調教が始まろうとしていた。龍幻は、込み上げてくる興奮を抑え、午後の業務へと意識を切り替えるのだった。

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週末のトレーニング中、龍之介の方から「龍幻さんの肉体をもっと知りたいッス」と大胆に迫られる。彼の純粋な探求心を受け入れ、服の上から互いの体の硬さを確かめ合う。

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約束の週末。龍幻は龍之介を伴い、会員制のプライベートジムへと足を運んでいた。最新鋭のマシンが揃い、利用者を限定しているため、他の誰にも邪魔されることなくトレーニングに集中できる、まさに密室のような空間だ。

ロッカールームでトレーニングウェアに着替える。先に着替えを終えた龍之介の、タンクトップとハーフパンツから惜しげもなく晒された肉体は、龍幻の想像を遥かに超えていた。浅黒い肌の上に、若さと日々の鍛錬によってビルドアップされた筋肉が見事に浮かび上がっている。特に、厚い胸板から逆三角形に広がる背中、そして太腿の筋肉は圧巻だった。

「うおー!すげえ!こんなジム初めて来たッス!」

子供のようにはしゃぐ龍之介を見て、龍幻は満足げに微笑んだ。彼の心を掌握するための舞台は整った。

「まずはウォーミングアップからだ。今日は俺が、君の体の隅々まで、限界を引き出してやる」

トレーニングが始まると、ジムの空気は一変した。龍幻の指導は的確で、一切の無駄がない。龍之介が一人でやっていた時には気づかなかったフォームの癖をミリ単位で修正し、より深く筋肉に効かせるための呼吸法を教え込む。

「そうだ、もっと腰を落として。大腿四頭筋の収縮を意識するんだ」

龍幻は龍之介の背後に立つと、その腰に手を添えてフォームを補助する。汗で湿った熱い肌が、薄いウェア越しに龍幻の手に伝わってきた。龍之介の体から発散される、若い雄の匂いが龍幻の理性を揺さぶる。

「くっ…!き、きついッス…!」

「まだいける。あと一回。限界の先にしか、成長はないぞ」

龍幻の低い声に励まされ、龍之介は呻き声を上げながら最後のレップをやり遂げた。セットを終えた彼の体からは湯気が立ち上り、全身の筋肉が興奮したようにパンプアップしている。荒い息遣いだけが、静かなジムに響き渡っていた。

インターバルの間、龍之介は床に座り込み、火照った体を冷ましていた。その目は、憧憬と、そしてそれ以上の熱を帯びて、指導する龍幻の肉体を見つめている。龍幻もまた、タンクトップ越しに浮き出る自身の胸筋や腕の隆起を、龍之介に見せつけるように意識していた。

しばらくして、龍之介は意を決したように口を開いた。

「龍幻さん…あの…」

「どうした?」

「龍幻さんの肉体を…もっと知りたいッス。どんなトレーニングをしたら、そんな分厚い体になれるのか…触って、確かめてもいいスか?」

その言葉は、龍幻にとってまさに待ち望んでいたものだった。純粋な探求心を装った、大胆な誘い。龍之介自身も、その言葉に隠された本当の意味に気づいているのか、いないのか。彼の頬は、トレーニングの熱だけではない赤みを帯びていた。

「…ああ、いいだろう。筋肉は、触れてこそ理解できるものだからな」

龍幻が許可すると、龍之介はためらうように、しかし確かな足取りで近づいてきた。そして、まるで貴重な美術品に触れるかのように、その指先を龍幻の厚い胸板にそっと置いた。

「うわ…すげえ…岩みたいに硬い…」

指先から、手のひら全体へ。龍之介の手は、龍幻の大胸筋の輪郭を確かめるように、ゆっくりと滑っていく。その手つきは、次第に大胆さを増し、汗で湿ったタンクトップの生地をなぞるように、龍幻の腹筋、そして脇腹へと移動していく。

「こっちも触ってみろ」と、龍幻は自らの太い腕を差し出した。龍之介はごくりと喉を鳴らし、その上腕二頭筋を両手で掴む。

「すごい…!俺の腕の倍くらいあるんじゃないスか…!?」

興奮した声で言う龍之介の顔は、もう龍幻の腕のすぐ近くだ。彼の吐く熱い息が、龍幻の肌にかかる。龍幻もまた、その衝動を抑えきれなくなり、龍之介の厚い肩に手を置いた。

「君の体も、負けず劣らず見事だよ。この三角筋の張り…素晴らしい」

互いの体に触れ、その硬さと熱さを確かめ合う。トレーニングという大義名分のもと、男同士の肌が、欲望が、ゆっくりと混じり合っていく。ジムの鏡には、二つの筋肉質な肉体が、まるで一つの獣のように絡み合う寸前の姿が映し出されていた。龍幻のハーフパンツの下では、すでに自身の雄が硬く膨張し、その存在を主張し始めていた。

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龍之介の心の傷を抉るのは絶対に避けたいと、龍幻は股間を必死に隠そうとする。しかし龍之介はそれを目にしてしまう。

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互いの肉体の硬さと熱を確かめ合う、濃密な時間。龍之介の純粋な探求心は、いつしかそれ以上の熱を帯び、彼の指先は龍幻の全身を大胆に這い回っていた。龍幻の理性を縛る最後の鎖が、今にも焼き切れそうに軋んでいる。

龍之介の手が、龍幻の厚い胸板から、汗で湿った腹筋の溝をなぞり、そしてゆっくりと下腹部へと向かう。龍幻は息を飲んだ。ハーフパンツの下で、自身の雄はすでに限界まで硬く膨張し、隠しようのない存在感を主張している。

(まずい…!これ以上は…!)

龍幻の脳裏に、昨夜龍之介が語った過去のトラウマがよぎる。アメフト部の先輩たちによる性的搾取。力でねじ伏せられた屈辱。今ここで、自分が彼に欲望を向けていることを知られてしまえば、ようやく開きかけた彼の心は、二度と戻らないほど固く閉ざされてしまうだろう。

「…龍之介君、その辺で…」

龍幻は、咄嗟に一歩後ずさり、龍之介の手から逃れようとした。しかし、その動きは逆に、龍幻のハーフパンツに張り付くようにして隆起した雄の形を、龍之介の目の前に晒してしまう結果となった。

「…え…?」

龍之介の視線が、龍幻の股間に釘付けになる。彼の顔から、興奮と憧憬の色がすっと消え、代わりに純粋な驚きと、そして戸惑いの色が浮かんだ。時間が、止まったように感じられた。

しまった、と龍幻は内心で舌打ちする。隠そうとしたことで、かえって最悪の形で気づかせてしまった。ジムの静寂の中に、二人の荒い息遣いだけが響く。

龍之介は、龍幻の隆起から目を離せないでいた。その瞳には、恐怖や嫌悪の色は見えない。ただ、未知のものを目にしたかのような、純粋な好奇心と混乱が渦巻いているようだった。彼はゆっくりと顔を上げ、龍幻の目を見る。

「龍幻さん…それ…。男の人も、こんな風に…なるんスか…?」

その問いは、あまりにも無垢で、そして龍幻の心の最も柔らかい部分を突き刺した。彼は、本当に何も知らないのだ。アメフト部での経験は、彼から正常な性の知識や興味を奪い、ただ屈辱的な行為としてのみ記憶に刻みつけてしまったのかもしれない。

「…ああ。なるさ。…男の体に、興奮すれば」

龍幻は、覚悟を決めて答えた。ここで嘘をついたり、誤魔化したりすることは、彼をさらに傷つけるだけだ。

「興奮…」

龍之介は、その言葉を反芻するように呟くと、再び龍幻の股間へと視線を落とした。そして、まるで引力に引かれるかのように、ゆっくりとその場に膝をついた。

「…!おい、龍之介君、何を…」

龍幻が制止する間もなく、龍之介はためらうように、そっとその指先を龍幻のハーフパンツの隆起へと伸ばした。

「…あったかい…。それに、すごく、硬いッス…」

布越しに伝わる熱と硬質な感触に、龍之介は驚きの声を上げた。その反応には、かつてのトラウマを想起させるような怯えはない。むしろ、未知の生命体に触れる科学者のような、純粋な探究心が満ちていた。

龍幻は、息を詰めてその光景を見下ろしていた。下腹部から突き上げるような熱い快感が、全身を駆け巡る。若い男が、自分の雄の形を指でなぞっている。その背徳的な光景が、龍幻の理性の箍を弾き飛ばした。

「…もっと、知りたいか…?この中身が、どうなっているのか」

龍幻の声は、自分でも驚くほど低く、そして熱を帯びていた。その声に、龍之介の肩がぴくりと震える。彼はゆっくりと顔を上げ、潤んだ瞳で龍幻を見上げた。その瞳は、龍幻の言葉を、その誘いを、肯定していた。

龍幻は、もう後戻りはできないと悟った。これは、彼の傷を抉ることになるのかもしれない。だが、同時に、これは彼を過去の呪縛から解き放つ、唯一の機会なのかもしれない。龍幻は、ゆっくりと自分のハーフパンツの紐に手をかけた。

[speaker name="選択"]

「今日はもう終わりだ」とトレーニングを中断し、龍之介の混乱した心を落ち着かせることを優先する。後日、改めて食事に誘い、性の話についてじっくりと向き合う約束をする。(セックスはしない)

[speaker_hide]

地の文は/speaker_hideを使います。

台詞は/speaker name="発言者名"を使います。

改行の後に/wait_clickを適宜挿入します。

章の最後に必ず選択肢を提示します。/background storage=gym

龍幻の低い囁きが、静かなジムに響き渡る。ハーフパンツの紐にかけられた指。その指が解き放とうとしているのは、四十年の人生で熟成された、剥き出しの欲望そのものだった。龍之介の潤んだ瞳が、期待と、そしてまだ拭いきれない戸惑いの色を浮かべて龍幻を見上げている。

このまま欲望に身を任せ、この無垢な肉体を貪ることは簡単だ。おそらく龍之介も、一度火が付けば快楽に溺れるだろう。だが、それはかつて彼を傷つけた先輩たちと同じ行為ではないのか?力と経験に任せて、彼の心を無視することになるのではないか?

龍幻の中で、熱く滾る欲望と、四十路の男としての理性が激しく衝突した。指先に力を込めれば、もう後戻りはできない。しかし、その指を離せば、二度とこの機会は訪れないかもしれない。

ほんの数秒が、永遠のように感じられた。龍幻は、ぐっと奥歯を噛み締めると、ゆっくりと、しかし確かな意志を持って、ハーフパンツの紐から手を離した。そして、目の前で膝をついている龍之介の厚い肩に、そっと両手を置く。

「…龍之介君、立て」

「え…?で、でも…」

龍之介は戸惑いの声を上げる。その目は「なぜ?」と問いかけていた。龍幻は、彼の混乱を真正面から受け止めるように、その瞳を真っ直ぐに見つめ返した。

「今日はもう終わりだ。トレーニングも、…この話も」

龍幻は、自分の昂りを無理やり意識の外に追いやり、努めて冷静な声で告げた。そして、龍之介の腕を引いて、ゆっくりと立ち上がらせる。

「…俺、何か、龍幻さんを怒らせるようなことしましたか…?」

不安そうに眉を寄せる龍之介。その姿に、龍幻の胸が締め付けられる。怒っているわけではない。むしろ、この純粋な反応が愛おしくて、今すぐにでも抱きしめてしまいたい衝動に駆られているのだ。

「違う。そうじゃないんだ。…君は何も悪くない。悪いのは、君を混乱させてしまった、俺の方だ」

龍幻は、まだ熱の残る自身の股間を隠すようにさりげなく後ろに下がり、龍之介と距離を取った。

「今の君は、トレーニングと、今日の出来事で頭が混乱している。そんな状態で、大事な話をするべきじゃない」

「…大事な、話…」

龍之介は、龍幻の言葉を呆然と繰り返した。彼の頭の中では、まだ目の前で起こった出来事が整理できていないのだろう。

「ああ。君の過去のこと、そして、男同士の体のこと。…もっと落ち着いた場所で、ちゃんと話がしたい。君が本当に知りたいと思うなら、俺はすべてを話すつもりだ」

龍幻の真摯な言葉に、龍之介はただ黙って頷いた。彼の興奮は冷め、代わりに深い思索の色がその顔に浮かんでいる。

「…後日、改めて食事に誘う。その時に、今日の続きをしよう。それでいいか?」

「……はい。わかり、ました」

まだ少しぎこちないながらも、龍之介ははっきりと頷いた。龍幻はその返事に安堵し、努めて明るい声で言った。

「よし、決まりだ。じゃあ、シャワーを浴びて帰るぞ。プロテイン、奢ってやるから」

「!あざっす!」

その後の二人は、何事もなかったかのように黙々とクールダウンをし、シャワーを浴びた。だが、ロッカールームの空気は、トレーニング前とは明らかに違っていた。互いの裸体を意識しないようにしながらも、視線は否応なく引き寄せられてしまう。龍幻の、壮年の厚みを持つ肉体。龍之介の、若さと弾力に満ちた肉体。言葉を交わさずとも、互いの欲望は空間に充満していた。

ジムを出て、並んで夜道を歩く。龍幻は約束通り、プロテインバーで特製のプロテインを奢った。龍之介はそれを美味そうに飲みながら、ぽつりと呟いた。

「龍幻さん…。今日は、すみませんでした。それと…ありがとうございます」

「何に対しての礼だ?」

「…わかりません。でも、龍幻さんが俺を、その…大事にしてくれようとしてるのが、わかりましたから」

その言葉に、龍幻は何も答えられなかった。ただ、龍之介の成長と、これから始まるであろう二人の関係の深さに、胸が熱くなるのを感じるだけだった。

駅で龍之介と別れ、一人になった帰り道。龍幻は、まだ収まらない自身の股間の熱を持て余していた。今日の選択は正しかったのだろうか。自問自答しながらも、彼の心は不思議と晴れやかだった。龍之介との次の約束。その日、二人の関係は、間違いなく新たなステージへと進むことになるだろう。その時、自分は彼に何を与え、そして何を奪うことになるのか。期待と、そしてわずかな恐れを抱きながら、龍幻は自宅への道を急ぐのだった。

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自宅へ帰った後、今日発散し損ねた滾りをぶつけるべく、ハッテン場に赴く。

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自宅のドアを開け、鍵をかける音だけが静かな部屋に響く。龍幻は、重い体を引きずるようにしてリビングのソファに倒れ込んだ。スーツのジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを乱暴に引き抜く。今日の出来事が、まるでリール映像のように脳内で再生され続けていた。

ジムの熱気。汗に濡れた龍之介の肌。その潤んだ瞳。そして、自分の欲望を目の当たりにした時の、彼の無垢な反応。寸前で踏みとどまった理性は、しかし、一度燃え上がった欲望の炎を完全に消し去ることはできなかった。スーツのスラックスは、未だに硬く熱を持った雄の存在を主張し続けている。

このままでは眠れない。龍幻は重い腰を上げ、シャワールームへと向かった。熱い湯を浴びれば、この馬鹿げた興奮も少しは紛れるだろう。しかし、シャワーヘッドから流れ落ちる湯が鍛えられた胸板を叩き、腹筋の溝を滑り落ちていく様は、かえって龍之介の指先の感触を思い出させた。

結局、シャワーを浴び終えても、彼の雄は鎮まるどころか、さらに硬度を増していた。鏡に映る自分の姿は、欲望を持て余した獣そのものだ。龍之介の顔が脳裏をよぎる。彼を、あんな風に純粋な彼を、自分の汚れた欲望で穢すわけにはいかない。

ならば、この滾りはどこで発散すればいい?龍幻はタオルで乱暴に体を拭きながら、一つの結論に達した。名前も知らない、顔も覚えなくていい、ただ肉体だけを求め合う場所。そんな匿名性の高い空間で、この溜まりに溜まったものを吐き出すしかない。彼はクローゼットからラフなTシャツとジーンズを取り出すと、静かに玄関のドアを開けた。

深夜の繁華街の一角。妖しいネオンが光るそのサウナは、この街の男たちの、言わば秘密の猟場だった。龍幻は慣れた足取りで地下へと続く階段を下り、受付でロッカーの鍵を受け取る。ひんやりとした金属の感触が、これから始まる行為へのスイッチを入れた。

ロッカールームは、男たちの熱気と湿り気、そして微かなコロンの匂いが混じり合った独特の空気に満ちていた。あちこちで、鍛え上げられた肉体が惜しげもなく晒されている。互いに品定めするような、粘りつく視線。龍幻もまた、その視線の一つを受け止め、そして自らも鋭い視線を放つ。ここでは、肉体こそが唯一の言語なのだ。

タオル一枚の姿になると、龍幻はまず湯船に体を沈めた。筋肉の緊張をほぐしながら、浴室全体を見渡す。サウナ室の曇りガラスの向こうには、いくつもの逞しいシルエットが蠢いていた。あそこが、今夜の舞台だ。

意を決して、龍幻は薄暗いサウナ室へと足を踏み入れた。むっとするような熱気と、男たちの汗の匂いが全身を包み込む。段になったベンチには、すでに何人もの男たちが座り、あるいは横たわっていた。暗闇に目が慣れてくると、彼らの視線が自分に突き刺さるのがわかる。

龍幻は一番奥の、最も暗い隅に腰を下ろした。タオルで股間を隠しながらも、その下で自身の雄が熱く硬くなっているのを感じる。獲物を待つ狩人のように、息を潜めてその時を待つ。

数分が経過した頃、一人の男が龍幻の隣に静かに腰を下ろした。龍幻よりも一回りは大きいだろうか。暗闇の中でも、その肩幅の広さと胸の厚みがわかる。男は何も言わず、ただ熱い吐息を漏らすだけだ。しかし、その膝が、意図的に龍幻の太腿に触れた。

それが合図だった。龍幻はゆっくりと男の方を向く。男もまた、龍幻を見ていた。言葉はいらない。互いの瞳に映る欲望の色だけで、すべてを理解した。

二人は同時に立ち上がると、サウナ室を出て、さらに奥にある仮眠用のカプセルが並ぶ休憩スペースへと向かった。そこは、サウナ室以上に暗く、そして静かだった。男は一つのカプセルのカーテンを開け、龍幻を中に促す。龍幻が中に入ると、男もすぐに後から続き、カーテンが閉められた。完全に外界から遮断された、二人だけの密室が完成する。

狭い空間で、互いの肌が触れ合う。汗ばんだ男の肉体の熱さが、ダイレクトに伝わってきた。男の分厚い手が、龍幻の腰に回され、力強く引き寄せられる。龍幻もまた、その厚い胸板に手を置き、相手を組み敷くように体重をかけた。

暗闇の中で、互いの唇を貪り合う。舌と舌が絡み合い、唾液が交換される。獣のような喘ぎ声と、肌が擦れる生々しい音だけが、狭いカプセルの中に響き渡った。龍幻は男のタオルを引き剥がすと、すでに滾りきった自身の雄を、その逞しい太腿の間に押し付けた。相手もまた、硬く勃ち上がったそれを、龍幻の尻にグリグリと擦り付けてくる。

龍幻は、もはや抑えることのできない衝動のままに、相手の体を反転させ、その丸く引き締まった尻を露わにした。龍之介ではない、誰でもない、ただの肉の塊。そう自分に言い聞かせながら、自身の竿の先端を、湿った熱い入り口に押し当てる。相手が承諾するように腰を突き出したのを合図に、龍幻は一気にその奥へと、溜まりに溜まった欲望を叩き込んだ。

選択- 4: 一時の快楽を終え、虚しさを感じながらサウナを出る。すると、会社の近くで契約したジムのマネージャー、大悟が偶然目の前を通りかかる。(セックスはしない)

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一時の快楽を終え、虚しさを感じながらサウナを出る。すると、会社の近くで契約したジムのマネージャー、大悟が偶然目の前を通りかかる。

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暗く狭いカプセルの中、二つの獣が互いを貪るように絡み合っていた。龍幻は名も知らぬ男の厚い腰を掴むと、自身の滾りきった欲望のすべてを、その熱い最奥へと叩きつける。相手の背中が大きくしなり、苦悶とも快楽ともつかぬ声が漏れる。龍幻の脳髄を、原始的な征服欲が焼き尽くしていく。

「オラッ…!ケツ締めろよ…出すぞッ!」

低く唸りながら最後の腰撃を叩き込むと、龍幻の体は大きく痙攣し、腹の底から熱い奔流がほとばしった。一時の、しかし圧倒的な快感が全身を貫く。男の体内で自身の精液が脈打つ感触だけが、この世のすべてだった。

だが、その絶頂が過ぎ去った瞬間、龍幻を襲ったのは、燃えカスのような虚無感だった。汗と他人の体液にまみれた自分の体が、ひどく汚らわしいものに感じられる。相手の顔も見ず、龍幻は乱暴に体を引き抜くと、すぐにカプセルのカーテンを開けて外に出た。

ロッカールームに戻り、再びシャワーを浴びる。自分の体にこびりついた、見知らぬ男の匂いを洗い流しながら、龍幻の脳裏には龍之介の純粋な瞳が浮かんでいた。彼を守るために、彼の心を傷つけないために、ここで欲望を処理したはずだった。だが、この行為は本当に正しかったのか。自己嫌悪の念が、鉛のように心を重くする。

誰とも視線を合わせず、足早に身支度を整える。もう二度とここへは来るまいと心に誓いながら、龍幻は地下へと続く階段を駆け上がった。

深夜の冷たい空気が、火照った体に心地よかった。繁華街のネオンはすでにその多くが消え、街は深い眠りにつこうとしている。龍幻は大きく息を吐き出し、燻っていたタバコに火をつけた。紫煙が夜の闇に溶けていく。その時だった。

大通りを挟んだ向かい側から、がっしりとした体躯の男がこちらへ歩いてくるのが見えた。タイトな黒いポロシャツに身を包んだ、見覚えのあるシルエット。まさか、と龍幻の心臓が嫌な音を立てて跳ねた。

男が街灯の光の下に姿を現す。それは、先日法人契約を結んだ「ゴールデンマッスルジム」のマネージャー、大悟だった。

大悟もまた、龍幻の存在に気づいたようだった。彼はぴたりと足を止め、一瞬だけ驚いたように目を見開いたが、すぐにその口元に全てを察したかのような、獰猛な笑みを浮かべた。そして、ゆっくりと道を渡り、龍幻の目の前に立つ。

「これはこれは、龍幻さん。奇遇ですな。こんな夜更けに、こんな場所で」

その低い声は、明らかに龍幻がどこから出てきたのかを知っている響きを持っていた。元刑事の鋭い目が、獲物を値踏みするように龍幻の全身を舐め回す。

「…大悟さん。どうも…。少し、夜風にあたっていただけですよ」

動揺を押し殺し、龍幻はなんとか言葉を絞り出した。しかし、そんな付け焼き刃の嘘が、この男に通じるはずもなかった。

「ほう、夜風、ですか。お前さんのその格好で?」

大悟の視線が、龍幻の着ているラフなTシャツとジーンズ、そして手ぶらの状態をちらりと見る。そして、ふっと鼻を鳴らした。

「…ずいぶんと『汗』臭いですな。トレーニングでもしてきた帰りですかい?」

挑発。それは紛れもない挑発だった。この男は、龍幻がサウナから漂わせてきた、汗と、そしてそれ以上の生々しい匂いを正確に嗅ぎ取っているのだ。龍幻は言葉に詰まり、ただ苦々しく唇を噛むことしかできなかった。

「…まあ、男には色々と溜まるものがある。たまには、そういう『汗』のかき方も必要でしょう。…ですがね、龍幻さん」

大悟は一歩前に出ると、龍幻の耳元に顔を寄せ、囁いた。

「あんな安っぽい場所で、誰とも知れん相手にぶちまけるだけでは、本当の渇きは癒せませんぜ。虚しくなるだけだ」

図星だった。見透かされている。この男には、龍幻の心の奥底まで全てお見通しなのだ。龍幻は、まるで裸で衆目に晒されているかのような屈辱に、全身の血が逆流するのを感じた。

「今度、うちのジムへいらっしゃい。俺が直々に、もっと気持ちの良い『汗』のかき方を、お前さんのその見事な体で、教えて差し上げますよ」

そう言うと、大悟は龍幻の厚い肩を、ポンと力強く叩いた。それは激励のようでもあり、所有印を刻むかのようでもあった。

大悟は意味深な笑みを残し、夜の闇へと去っていく。一人残された龍幻は、その場に立ち尽くすしかなかった。龍之介との約束。辰也の企み。そして、新たに現れた元刑事、大悟。自分の欲望が、次々と新たな男たちを引き寄せ、事態をより複雑な混沌へと導いている。この欲望の渦から、もはや逃れる術はないのかもしれない。

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大悟との遭遇を振り払うように、まずは龍之介との約束を優先する。翌日、会社で彼に声をかけ、週末に食事に行く約束を取り付ける。(セックスはしない)

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月曜の朝。オフィスに満ちるコーヒーの香りとキーボードのタイプ音が、龍幻を現実へと引き戻した。昨夜の大悟との遭遇は、不快な後味となって心の奥底にこびりついている。すべてを見透かすようなあの目、挑発的な囁き。龍幻は、自分のテリトリーに土足で踏み込まれたような屈辱を反芻していた。

だが、感傷に浸っている暇はない。龍幻はディスプレイの光に目を細めながら、思考を切り替えた。大悟のことは一旦忘れよう。今、優先すべきは龍之介とのことだ。あのジムでの出来事で、彼の心を混乱させたままにしておくわけにはいかない。

龍幻は席を立つと、何気ない素振りで給湯室へ向かうふりをし、開発部のフロアへと視線を走らせた。デスクで真剣な表情でモニターに向かう龍之介の、広い背中が見える。その姿を見つけただけで、龍幻の胸の奥が微かに温かくなった。

タイミングを見計らい、龍幻は龍之介のデスクへと静かに歩み寄った。

「龍之介君、少し良いかな」

声をかけると、龍之介の肩がびくりと跳ねた。振り返った彼の顔には、緊張と、週末の出来事を思い出したかのような戸惑いの色が浮かんでいる。

「あ、龍幻さん…!お疲れ様ッス…」

「ああ、お疲れ様。仕事中にすまない。週末の件なんだが…」

龍幻が本題を切り出すと、龍之介の頬がカッと赤く染まった。彼は慌てて周囲を見渡し、声を潜める。

「は、はい…!」

その初々しい反応が、龍幻の心をくすぐる。この純粋さを、自分の欲望で汚してはならない。龍幻は改めて自分に言い聞かせ、できるだけ穏やかな声で続けた。

「約束通り、食事でもどうかなと思ってね。今度の週末あたり、時間は取れるか?君の都合に合わせるよ」

龍幻の真摯な眼差しに、龍之介の緊張が少しずつ解けていくのがわかった。彼は一度ごくりと喉を鳴らすと、意を決したように真っ直ぐに龍幻を見つめ返した。

「…はい。土曜日なら、一日空いてます。…俺も、龍幻さんと、ちゃんと話がしたいッス」

その言葉に、龍幻は安堵の息を漏らした。拒絶される可能性も考えていただけに、彼の前向きな返事は素直に嬉しかった。

「そうか、良かった。じゃあ、土曜の夜にしよう。落ち着いて話せる良い店を予約しておくよ。詳細はまた連絡する」

「はい!楽しみに、してますッス!」

ようやく彼らしい笑顔が戻ったのを見て、龍幻も自然と笑みを返した。二人の間に、確かな約束が結ばれる。その時、龍幻は背中に突き刺さるような、鋭い視線を感じた。

ふと視線を巡らせると、営業部のフロアで、辰也がこちらを冷ややかに見つめているのが目に入った。その瞳は、龍幻と龍之介の関係を探るように細められ、口元には面白くなさそうな歪みが浮かんでいる。辰也にとって、龍幻が慎吾だけでなく龍之介にまで接触していることは、彼のゲーム盤を荒らす邪魔者と映っているのかもしれない。

龍幻は辰也の視線を意に介さない素振りで受け流すと、龍之介に軽く手を振り、自席へと戻った。約束を取り付けた安堵感と同時に、この会社に渦巻く欲望の交錯が、新たな波乱を呼ぶであろうことを予感する。

だが、今はそれでいい。週末、龍之介と二人きりで向き合う時間。そこで何を語り、何が起こるのか。龍幻は、胸に宿る確かな期待と共に、午後の業務へと意識を集中させるのだった。

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龍之介との食事の後、彼の部屋に誘われる。「俺の体、龍幻さんにならどうされてもいいッス…」と無防備に身を委ねられ、彼の体を隅々までマッサージしながら快感を教え込んでいく。

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約束の土曜の夜。龍幻が予約したのは、しっとりとしたジャズが流れる、隠れ家のような和食料理店だった。通されたのは、坪庭を望む掘りごたつの個室。二人きりで話すには、これ以上ない舞台が整っていた。

向かい合って座った龍之介は、週末のジムでの出来事を思い出しているのか、どこか緊張した面持ちで落ち着かない様子だった。龍幻は、そんな彼の心をほぐすように、穏やかな口調で語りかける。

「そんなに緊張しなくていい。今日は、ただ美味いものを食って、美味い酒を飲むだけだ」

「は、はいッス…!でも、こんなお洒落な店、初めてで…」

料理が運ばれ、酒が進むにつれて、龍之介の緊張も次第に解けていった。トレーニングの話、仕事の話、そして、少しずつ彼のプライベートな話へ。龍幻は巧みな話術で彼の心の壁を丁寧に取り払っていく。

食事が一段落し、デザートが運ばれてきた頃。龍幻は、意を決して本題に切り込んだ。

「…龍之介君。先週のジムでのことだが」

その言葉に、龍之介の肩がぴくりと震える。彼は黙って龍幻の次の言葉を待っていた。

「あの時、俺の体がどうしてああなったのか。そして、君の体がどう感じていたのか。その答えを、知りたいか?」

龍幻の真摯な問いかけに、龍之介はしばらく俯いて何かを考えていた。そして、ゆっくりと顔を上げると、その潤んだ瞳で真っ直ぐに龍幻を見つめ返した。

「…知りたい、です。俺、何も知らなすぎるから…。龍幻さんのこと、もっとちゃんと知りたいッス」

店を出ると、ひんやりとした夜風が火照った頬に心地よかった。並んで歩く道すがら、沈黙を破ったのは龍之介の方だった。

「あの、龍幻さん…。もし、まだ時間があるなら…俺の部屋、来ませんか?もっと…ちゃんと、話がしたいです」

それは、戸惑いながらも、確かな意志のこもった誘いだった。龍幻は静かに頷き、その申し出を受け入れた。

タクシーで着いたのは、築年数の浅いこぎれいなマンションだった。通された龍之介の部屋は、ダンベルやトレーニングベンチが隅に置かれた、いかにも彼らしいシンプルなワンルームだ。

「散らかっててすみませんッス…。どうぞ、座ってください」

龍幻がローテーブルの前に腰を下ろすと、龍之介は緊張した面持ちでその隣に座った。二人だけの密室。先ほどの店とは違う、生々しい空気が漂い始める。

「…先週のトレーニング、かなり追い込んだからな。まだ体の張りが残っているんじゃないか?」

「え?あ、はい。少しだけ…」

「うつ伏せになってみろ。俺が、体のケアをしながら、教えてやる。男の体が、どういうものなのかを」

龍幻の言葉には、有無を言わせぬ響きがあった。龍之介はごくりと喉を鳴らすと、促されるままにラグの上でうつ伏せになる。Tシャツの裾がめくれ、浅黒く引き締まった腰のラインが露わになった。

龍幻は龍之介の隣に膝をつくと、その広い背中に、分厚い手のひらをそっと置いた。ぴくりと震える龍之介の体。

「力を抜け。…まずは、この広背筋からだ」

龍幻の指が、筋肉の走行に沿ってゆっくりと、しかし深く圧をかけていく。最初は純粋なマッサージだった。張った筋肉をほぐし、血流を促す、巧みな手つき。

「ん…ッ…そこ、気持ちいいッス…」

龍之介から、心地よさそうな声が漏れる。だが、龍幻の手は徐々にその領域を広げ、背中から腰、そして丸く盛り上がった臀部へと滑り落ちていった。

「尻の筋肉は、全身のパワーの源だからな。ここをしっかりほぐすことが重要なんだ」

もっともらしい理由をつけながら、龍幻はデニム生地の上から、龍之介の引き締まった尻の肉を、鷲掴みにするように揉みしだいた。

「ひゃ…ッ!りゅ、龍幻さん…ッ!?」

今まで感じたことのない刺激に、龍之介の体が大きく跳ねる。龍幻はその体を優しく押さえつけ、さらに指を滑らせ、太腿の付け根、内腿の柔らかい部分をゆっくりとなぞった。

「ここはリンパが集中している。ここを刺激すると、体全体の感受性が高まるんだぜ…?」

囁くような声と共に、龍幻の指先が、うつ伏せの龍之介の股間のすぐ脇を、ねっとりと撫で上げる。龍之介の体から、完全に力が抜けていく。

「あ…ぁ…ッ!な、なんか、変ッス…体ん中が、ゾワゾワして…」

その声は、もはや快感に喘いでいるとしか思えなかった。過去のトラウマを、龍幻が与える新たな快感が、少しずつ上書きしていく。

龍幻は、もう潮時だろうと判断した。彼は龍之介の耳元に唇を寄せ、最後の問いを投げかける。

「どうだ、龍之介君。…これが、男の体に興奮するということだ。…もっと、知りたくなったか?」

その問いに、龍之介は答えない。ただ、ゆっくりとこちらに顔を向け、涙で潤んだ瞳で龍幻を見つめた。そして、震える声でこう呟いた。

「…俺の体、龍幻さんになら…どうされても、いいッス…だから…もっと、教えてください…」

それは、完全な降伏宣言だった。龍幻は勝利を確信し、その無防備に差し出された若く逞しい肉体を、これから隅々まで味わい尽くすべく、獰猛な笑みを浮かべるのだった。

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龍之介の方から、「龍幻さんのも…見たいッス」と震える声で求められる。彼の純粋な好奇心を受け入れ、自身の硬く勃ち上がった雄を晒し、その反応を待つ。

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龍之介の完全な降伏宣言。その震える声と潤んだ瞳は、龍幻の腹の底に眠っていた支配欲を完全に目覚めさせた。目の前に横たわる、若く逞しい無垢な肉体。これから自分の手で、快楽の色に染め上げていけるのだという確信が、龍幻の下腹部をさらに熱く、硬くさせた。

龍幻は、まだうつ伏せのままの龍之介の体をゆっくりと仰向けにさせた。抵抗する素振りは一切ない。戸惑いと期待が入り混じった瞳が、ただ黙って龍幻を見上げている。龍幻は彼のTシャツの裾を掴むと、ゆっくりとめくり上げていく。汗で湿った浅黒い肌、見事に割れた腹筋、そして厚い胸板が露わになった。

「俺の体だけじゃない。君自身の体が、どう反応するのかも、知るべきだ」

龍幻の指先が、龍之介の胸の突起を優しくなぞる。

「・・・ッ!んん…ッ!」

龍之介の体が弓なりにしなり、甘い声が漏れた。そこが男の急所の一つであることを、彼は初めて知ったのだろう。龍幻は意地の悪い笑みを浮かべると、指先でその突起を弄び、硬く尖らせていく。

快感に喘ぎながら、龍之介はもがくように龍幻の逞しい腕を掴んだ。その目は熱っぽく潤み、もはや理性の光は消え失せかけている。そして、彼は喘ぎ声の合間に、震える声で懇願した。

「は、ぁ…ッ…りゅ、げん、さんのも…見たい、ッス…」

その言葉は、龍幻にとって最後の引き金を引く号砲となった。この純粋な好奇心に応えることこそが、最高の調教なのだと確信する。

「…いいだろう。君が望むなら、俺の全てを見せてやる。だが、決して目を逸らすなよ」

龍幻はゆっくりと立ち上がると、龍之介を見下ろす形で自身のジーンズのベルトに手をかけた。バックルが外れる金属音、ジッパーが下ろされる生々しい音が、静かな部屋に響き渡る。

龍幻は、下着ごとジーンズをゆっくりと引き下げた。解放された彼の雄が、部屋の薄暗い照明の下、その全貌を現す。四十年の歳月を経て鍛え上げられた肉体に相応しい、太く、猛々しく反り上がった一本の竿。怒張しきった亀頭は赤黒く濡れそぼり、生命力そのもののように脈打っていた。

「あ……」

龍之介は、息を飲むことさえ忘れたように、その光景に釘付けになっていた。彼の瞳には、恐怖や嫌悪の色はない。ただ、圧倒的な存在感を放つ雄への畏怖と、未知なるものへの強烈な好奇心が渦巻いていた。

龍幻は、そんな龍之介の反応を愉しむように、ゆっくりと一歩近づいた。そして、自身の硬く勃ち上がった雄を、龍之介の顔のすぐそばへと突きつける。

「どうだ、龍之介君。これが、君に興奮している俺の体だ。君の純粋さが、俺をここまでさせたんだ」

龍之介は、ごくりと喉を鳴らした。彼の視線は、熱く脈打つ竿から離れない。龍幻から発せられる、濃密な雄の匂いが彼の思考を麻痺させていく。彼は、まるで何かに導かれるように、おそるおそる、その震える指先を伸ばした。

指先が、龍幻の竿の側面にそっと触れる。

「…あったかい…それに、硬い…生きてるみたいに、ドクドクしてるッス…」

その感触は、龍之介の想像を遥かに超えていた。布越しに感じたものとは比べ物にならない、生命の熱と硬質な感触。彼は確かめるように、指先から手のひら全体で、その太い竿をそっと包み込んだ。

「んんッ…!」

龍幻の口から、思わず低い呻き声が漏れた。若い男の、少し冷たい手のひらが、滾りきった自身の雄を包み込む感触は、背筋が粟立つほどの快感だった。

龍之介は、もはや躊躇いを捨てていた。彼は龍幻の竿を両手でしっかりと握りしめると、その大きさを、太さを、熱さを、自身の記憶に刻みつけるかのように隅々まで確かめ始めた。その手つきはぎこちなく、しかし純粋な探求心に満ちている。龍幻は、その無垢な愛撫に、腹の底から突き上げてくるような強烈な快感を覚えていた。

「すごい…龍幻さんの、これ…すごいッス…」

恍惚とした表情で呟く龍之介。その瞳は、もはや龍幻の雄だけに注がれている。龍幻は、この若く美しい獣が、自分の手によって完全に快楽に堕ちようとしている瞬間を、脳裏に焼き付けるのだった。

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「アメフト部の先輩のときはどうだったんだ・・・?」龍幻はおそるおそる聞いてみる。無理強いはしたくないのだ。アメフト部の先輩の何が龍之介の心に傷を作ったのか、知る必要がある。

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龍幻の猛々しい雄を、その手に包み込んだ龍之介。恍惚とした表情で、未知なる男の性の象徴を確かめている。その無垢な探求心に、龍幻の欲望は限界まで煽られていた。しかし、龍幻の脳裏には、どうしても拭いきれない一つの懸念があった。彼の心の傷。その正体を知らずして、本当に彼を受け入れることなどできるのだろうか。

龍幻は、自身の竿を握る龍之介の手に、そっと自分の手を重ねた。びくり、と龍之介の肩が揺れる。その動きを優しく制しながら、龍幻は覚悟を決めて口を開いた。声が、わずかに震える。

「…龍之介君。…アメフト部の先輩のときは、どうだったんだ…?」

その問いは、この甘美な空気を切り裂く刃のようだった。龍之介の手から、ふっと力が抜ける。彼の顔から恍惚とした表情が消え、代わりに、思い出したくない過去と向き合う苦悩の色が浮かんだ。

「無理にとは言わん。だが、俺は知っておきたい。お前さんを傷つけたものが何だったのか。二度と、同じ過ちを繰り返さないためにも」

龍幻の真摯な声は、龍之介の心の奥深くまで届いたようだった。彼は一度、ぎゅっと目を瞑り、何かを振り払うように小さく頭を振る。そして、ぽつり、ぽつりと、記憶の扉を開き始めた。

「…あいつらは、いつも複数でした。ロッカールームとか、部室とか…逃げ場のない場所で、いきなり…」

その声は、か細く震えていた。

「抵抗なんて、できなかった。一年坊主の俺が、屈強な三年生たちに逆らえるわけない。…あいつらは、それを楽しんでた。俺が怯えるのを、屈辱に顔を歪めるのを見て、笑ってたんス…」

龍幻は、黙って龍之介の言葉に耳を傾けていた。自身の昂りは、いつの間にか鎮まっている。ただ、腹の底で、名状しがたい怒りの炎が静かに燃え上がっていた。

「行為そのものよりも…その、心がなかったのが、一番辛かった。ただのモノみたいに扱われて…俺の体は、あいつらの性欲を処理するための、ただの道具だった。そこに、何の感情も、意志もなかった…」

そこまで言うと、龍之介の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。それは、彼の魂が流した血のようだった。

龍幻は、もう何も言わなかった。ただ、ゆっくりと膝を折り、涙に濡れる龍之介の頬を、その分厚い手のひらで優しく包み込んだ。そして、彼の体を抱き寄せる。抵抗はなかった。龍之介は、子供のように龍幻の厚い胸板に顔を埋め、声を殺して泣き始めた。

「…そうか。辛かったな。…よく、話してくれた」

龍幻は、震える背中を、あやすようにゆっくりと撫で続けた。彼の心の傷の根源は、暴力的な行為そのものではない。心が通わない、一方的な支配と搾取。魂の尊厳を踏みにじられたことへの絶望だったのだ。

しばらくして、嗚咽が少しずつ収まってきた。龍之介はゆっくりと顔を上げると、赤く腫れた目で龍幻を見つめた。

「すみません…みっともないとこ、見せて…」

「みっともなくなどない。…俺は、嬉しいよ。君が、本当の気持ちを俺に打ち明けてくれて」

龍幻は、龍之介の頬に残る涙の跡を、親指で優しく拭う。

「龍之介君。俺は、君を道具になんてしない。君の心と、ちゃんと向き合いたい。君が感じるすべてを、俺も一緒に感じたいんだ」

その言葉は、龍幻の本心からの誓いだった。単なる性欲の対象ではない。この傷ついた魂ごと、この若く逞しい肉体ごと、すべてを愛したい。そんな感情が、龍幻の中で確かな形を結び始めていた。

龍之介は、龍幻の言葉をじっと聞いていた。そして、不意に、彼は龍幻がまだ晒したままだった雄へと視線を落とした。それは先ほどまでの猛々しさはなく、少しだけ落ち着きを取り戻している。龍之介は、まるで壊れ物を扱うかのように、その両手で再びそっと竿を包み込んだ。

「…龍幻さんのこれは、あったかいッスね。…心があるって、わかる。俺を、見てくれてるって…」

そう言うと、彼は意を決したように、その顔をゆっくりと龍幻の雄へと近づけていった。

「…!龍之介君、それは…」

龍幻が止める間もなく、龍之介は濡れた亀頭の先端に、そっと舌を這わせた。

「…しょっぱい…。これが、龍幻さんの味…」

それは、過去のトラウマを乗り越え、自らの意志で快楽を求めようとする、彼の決意表明だった。龍幻は息を飲み、その光景をただ見つめることしかできなかった。この純粋な魂が、今、自分にすべてを委ねようとしている。その事実が、龍幻の心を激しく揺さぶった。

[speaker name="選択"]

龍之介に無理はさせたくないと一度は止めるが、彼の「龍幻さんの全部が知りたい」という強い意志を受け入れ、彼の初めての奉仕を、愛情を込めて最後まで見届ける。

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龍之介の湿った舌が、龍幻の雄の先端を舐め上げた。その生々しい感触に、龍幻の全身に電撃のような快感が走る。一度は落ち着きかけた自身の竿が、再び熱を取り戻し、猛々しく脈打ち始めた。

これは、過去のトラウマを乗り越えようとする、彼の魂の叫びだ。無理強いなど、断じてできない。龍幻は、溢れ出しそうになる欲望を必死に理性で押さえつけ、彼の肩にそっと手を置いた。

「龍之介君、待て。…無理はしなくていい」

龍幻の声は、自分でも驚くほど優しく、そして微かに震えていた。しかし、龍之介は顔を上げない。彼は龍幻の竿から唇を離すと、潤んだ瞳でこちらを見上げ、はっきりと首を横に振った。

「無理なんかじゃないッス…。俺が、したいんです。龍幻さんの全部が知りたい。…だから、受け入れてください」

その瞳には、もはや迷いはなかった。そこにあるのは、自らの意志で未知の扉を開こうとする、強い決意の光。龍幻は、その純粋で強靭な魂に、もはや抗う術を持たなかった。

「…わかった。…君の気持ち、受け止める」

龍幻がそう答えると、龍之介の顔に、安堵と喜びが入り混じった柔らかな笑みが浮かんだ。それは、龍幻が今まで見た中で、最も美しい笑顔だった。

龍幻は、これから始まる神聖な儀式を見届けるように、壁に背を預けてゆっくりと腰を下ろした。龍之介は、改めて龍幻の雄に向き直ると、今度は両手でその太い竿を恭しく捧げ持つ。そして、覚悟を決めたように、大きく息を吸い込んだ。

温かく、柔らかな感触が、龍幻の雄の先端を包み込む。龍之介の唇が、ゆっくりと亀頭を覆い隠していく。

「んんッ…!」

龍幻の口から、堪えきれない呻きが漏れた。経験したことのない、純粋な奉仕。そのあまりの心地よさに、腰が勝手に浮き上がりそうになるのを必死に堪える。

「んぐ…ッ…ぉ…」

龍之介は、未知の大きさの異物を口に含むことに、まだ慣れていないようだった。ぎこちなく、しかし懸命に、彼は龍幻の雄を深く咥えようと努力している。その健気な姿が、龍幻の欲望をさらに煽った。

「…上手だ、龍之介君…。舌を、もっと使ってごらん…。そう、舐めるように…」

龍幻が導くように囁くと、龍之介は素直にそれに従った。湿った舌が、竿の裏筋をなぞり、亀頭のカリをねっとりと舐め上げる。その度に、龍幻の背筋を稲妻のような快感が駆け抜けた。

龍之介の奉仕は、次第に大胆さを増していく。口の動きだけでなく、喉の奥を収縮させ、まるで竿を吸い込むかのように締め付けてくる。その巧みさは、本当にこれが初めてなのかと疑うほどだった。一度火が付くと淫乱になるという彼の本性が、今、龍幻の手によって目覚めようとしていた。

「ん…ッ…はぁ…りゅ、げんさんの…味で…口のなかいっぱいだ…」

龍之介は一度顔を上げると、とろんとした目で龍幻を見上げ、そう呟いた。彼の口元からは、龍幻の先走りと彼の唾液が混じり合った銀の糸が、艶かしく垂れている。その背徳的な光景に、龍幻の理性の最後の糸が、ぷつりと音を立てて切れた。

「龍之介…ッ!もう、我慢できない…!」

龍幻は龍之介の後頭部をがっしりと掴むと、彼の口の奥深くへと、自身の欲望を叩きつけるように腰を突き入れた。

「んぐッ!ごぶッ…!」

龍之介の喉が、ごくん、と大きく鳴る。龍幻は、彼の柔らかな喉の奥で、自身の雄が激しく脈打つのを感じていた。

「ああ…ッ!お前の口の中…めちゃくちゃ気持ちいいぞ…ッ!」

愛情と、そして抑えきれない欲望のすべてを込めて、龍幻は龍之介の口内を激しく蹂躙する。龍之介は涙目になりながらも、そのすべてを受け入れようと必死に食らいついてきた。二つの魂が、性を介して一つに溶け合っていく。

「ヤバい…もう、出る…ッ!龍之介、全部飲め…ッ!」

絶頂の予感が、龍幻の全身を駆け巡る。彼は龍之介の頭を固定し、最後の衝動を叩き込んだ。腹の底から、熱く濃厚なものが、奔流となってほとばしる。龍之介は、一滴残らずそれを受け止めるように、必死に喉を鳴らし続けた。

射精を終えた龍幻は、荒い息を繰り返しながら、ぐったりと壁に寄りかかった。龍之介は、口の周りを白濁で汚しながらも、どこか満足げな、恍惚とした表情で龍幻を見上げている。過去のトラウマを乗り越え、自らの意志で男の性を受け入れた瞬間だった。

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疲れて眠ってしまった龍之介をベッドに運び、その無防備な寝顔を見つめながら、彼の逞しい体を優しく抱きしめて眠る。

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濃厚な射精の余韻が、部屋の空気に溶けていく。龍幻は荒い息を整えながら、目の前でぐったりと自分に体を預ける龍之介を見つめていた。彼の口元は白く汚れ、瞳は快感の後に訪れた倦怠感でとろりとしている。だが、その表情には一片の曇りもなく、むしろ何かを成し遂げたような、晴れやかな満足感が浮かんでいた。

「はぁ…はぁ…龍幻さん…すごかった…ッス…」

掠れた声で呟くと、龍之介はそのまま糸が切れたように、龍幻の膝にこてんと頭を乗せて意識を失った。心と体のすべてを使い果たし、深い眠りに落ちてしまったのだ。

「…ああ。お前も、すごかったよ」

龍幻は、眠る龍之介の汗で湿った金髪を優しく撫でつけた。その無防備な寝顔は、まるで子供のようだ。ついさっきまで、自分の猛々しい雄をその口に含み、貪っていたのが嘘のようだった。このギャップが、龍幻の心をどうしようもなく掻き乱す。

龍幻は、自分の下半身をティッシュで丁寧に拭うと、静かにズボンを上げた。そして、眠る龍之介の体を、その鍛え上げられた逞しい体を、壊れ物を扱うかのようにそっと抱き上げる。新人とは思えぬ筋肉質な体は、ずっしりと重い。その重さが、彼の存在を龍幻に実感させた。

龍幻は龍之介をベッドまで運ぶと、その上に優しく横たえた。服を脱がせてやりたい衝動に駆られたが、今は彼を休ませることが最優先だ。龍幻は、ベッドの脇に腰を下ろし、ただ静かに彼の寝顔を見つめ続けた。

規則正しい寝息。時折、ぴくりと動く指先。そのすべてが愛おしい。単なる性欲の対象ではない。この男の魂ごと、自分のものにしたい。龍幻の中で、その思いはもはや揺るぎない確信へと変わっていた。

どれくらいの時間が経っただろうか。部屋の窓から、うっすらと月明かりが差し込んできた。龍幻は、自分もまた、抗いがたい眠気に襲われていることに気づいた。しかし、このままソファで眠る気にはなれなかった。もっと、彼のそばにいたい。彼の体温を感じていたい。

龍幻は静かに立ち上がると、龍之介が眠るベッドの、空いているスペースにそっと体を滑り込ませた。シングルベッドは、がっしりとした体躯の男二人には少し窮屈だ。自然と、互いの体が密着する。

龍幻は、背後から龍之介の逞しい体を優しく抱きしめた。自分の厚い胸板が、彼の広い背中にぴったりとフィットする。龍之介の体から伝わる温かさと、微かな汗の匂いが、龍幻の心を安らぎで満たしていった。

龍幻の腕の中で、龍之介が「ん…」と小さく身じろぎした。無意識のうちに、彼は龍幻の腕を掴むと、さらに体を寄せてくる。その無防備な仕草に、龍幻は愛しさが込み上げてくるのを止められなかった。

今日、この男は過去の呪縛を断ち切り、新たな一歩を踏み出した。その最初の相手に、自分を選んでくれた。その事実が、何よりも龍幻の心を震わせる。この温もりを、この信頼を、決して裏切ってはならない。龍幻は龍之介のうなじに顔を埋めると、静かに目を閉じた。欲望の熱が過ぎ去った後に訪れた、穏やかで満ち足りた眠り。二人の男の夜は、ゆっくりと更けていくのだった。

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龍幻が目を覚ますと、龍之介が背後から覆いかぶさっていた。「おはようッス」そういうと龍之介は満足げにノソノソと起き上がり朝食を作り始める。

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柔らかな朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでくる。龍幻は、背後から感じる確かな重みと温かさで目を覚ました。意識が覚醒するにつれて、昨夜の出来事が鮮明に蘇る。龍之介の涙、そして自らの意志で求めてきた奉仕。そのすべてを抱きしめて眠ったのだと、背中に回された逞しい腕が物語っていた。

龍幻が身じろぎすると、背後でごそりと気配が動いた。耳元で、少し掠れた、しかし明るい声が響く。

「…おはよう、ッス。龍幻さん」

振り返ると、すぐそこに龍之介の寝起きの顔があった。まだ少し眠そうに目を細めているが、その表情には昨夜までの翳りはなく、雨上がりの空のようにすっきりと晴れ渡っている。彼は龍幻の体に覆いかぶさるような体勢のまま、満足げににっこりと笑った。

「…ああ、おはよう。よく眠れたか?」

「はい。こんなにぐっすり眠れたの、久しぶりッス」

そう言うと、龍之介は名残惜しそうにしながらも、のそりと龍幻の上から体を起こした。Tシャツとジーンズは眠っている間に皺くちゃになっているが、それすらも昨夜の情事の痕跡のようで、妙に艶めかしく龍幻の目に映る。

龍幻もゆっくりと体を起こすと、ベッドのすぐ脇に置いてあったトレーニングベンチが目に入った。この部屋の主が、どれだけ真摯に自分の体と向き合ってきたかの証だ。そして今、その体と魂は、自分にすべてを委ねてくれた。

「腹、減ってません?俺、何か作りますよ。朝飯」

龍之介はそう言うと、キッチンの方へ向かい、慣れた手つきで冷蔵庫から卵やベーコンを取り出し始めた。その背中は、昨日までとは比べ物にならないほど、自信に満ちて大きく見える。

龍幻はベッドから降り、キッチンの入り口に寄りかかって、その逞しい後ろ姿を眺めていた。ジュウ、とベーコンが焼ける音と、香ばしい匂いが部屋に満ちていく。穏やかな朝。男二人だけの、親密な時間。龍幻は、こんな朝をずっと望んでいたのかもしれないと、ぼんやりと思った。

ふと、龍幻は自身の股間に意識を向けた。そこでは、朝の生理現象と、目の前の光景への興奮とが相まって、逞しい雄が力強く勃ち上がっていた。昨夜、この若く美しい獣にすべてを飲み干させたはずのそれは、早くも次の獲物を求めるかのように熱く脈打っている。

龍之介が、焼けたベーコンを皿に移しながら、不意にこちらを振り返った。そして、龍幻のジーンズのもっこりとした隆起に気づくと、一瞬だけ驚いたように目を見開いたが、すぐに悪戯っぽく笑う。

「龍幻さん。…朝から元気、なんスね」

その言葉は、もはや単なるからかいではなかった。それは、雄に対する雌の、挑発的な誘い。龍之介は、フライパンを持ったまま、ゆっくりと龍幻に近づいてくる。そして、龍幻の硬くなった竿のすぐそばで足を止めると、その熱さを確かめるかのように、自身の腰をぐり、と押し当てた。

「朝ごはん、どっちを先に食べたいッスか…?こっちのベーコンと…それとも、こっちの…ソーセージ?」

耳元で囁かれた、甘く、そして淫らな声。龍幻はごくりと喉を鳴らし、目の前の美しい獣を、その厚い腕で力強く抱き寄せた。

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「まずは朝食をいただこうか。腹が減っては戦はできんからな」と彼の挑発をいなし、まずは一緒に朝食を食べることにする。(セックスはしない)

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龍之介の甘く淫らな囁きと、腰に押し付けられた熱い感触。それは、目覚めたばかりの龍幻の理性を再び溶解させるのに十分すぎるほどの威力を持っていた。龍幻は、目の前で悪戯っぽく微笑むこの美しい獣を、今すぐこの場で組み敷き、朝食よりも先に貪ってしまいたいという衝動に駆られる。

しかし、龍幻は自身の猛々しく勃ち上がった雄を抱き寄せるようにして、龍之介の体をさらに強く引き寄せると、その耳元に低い声で囁き返した。

「…まずは朝食をいただこうか。腹が減っては戦はできんからな」

その言葉は、龍之介の挑発を軽くいなす大人の余裕と、そしてこれから始まるであろう「戦」を明確に予告するものだった。龍之介は一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐにその言葉の意味を理解し、楽しそうにくすくすと笑い声を漏らす。

「ふふっ、わかったッス。じゃあ、最高の朝飯、作りますね。最高の戦ができるように」

龍之介は名残惜しそうに龍幻から体を離すと、再びキッチンに戻り、手際よく調理を再開した。その広い背中を見つめながら、龍幻は自らの昂りを宥めるように、深く息を吐き出す。焦る必要はない。時間はまだ、たっぷりとあるのだから。

やがて、ローテーブルの上には、こんがりと焼かれたベーコンエッグ、サラダ、そして湯気の立つトーストが並べられた。男二人だけの、しかしどこか満ち足りた朝食の時間。向かい合って座り、「いただきます」と声を揃える。

食事をしながら、二人は他愛もない話をした。昨日のトレーニングのこと、会社のこと、好きな映画のこと。昨夜の濃厚な情事を経て、二人の間の空気は驚くほど自然で、穏やかなものになっていた。まるで、長年連れ添ったパートナーのように。

「…龍幻さんとこうしてると、なんか、不思議な感じッスね」

「不思議な感じ?」

「はい。昨日の夜まで、男の人とこんな関係になるなんて、想像もしてなかったのに。…でも、嫌じゃない。むしろ…すごく、安心する」

そう言って、はにかむように笑う龍之介。その言葉は、龍幻の心を温かく満たした。彼の心の傷は、まだ完全には癒えていないだろう。だが、自分との時間が、彼にとって安らぎの場所になっている。その事実が、何よりも嬉しかった。

食事を終え、二人で食器を片付ける。狭いキッチンで、互いの逞しい体が何度も触れ合う。その度に、一度は収まったはずの熱が、再びじわりと蘇ってくるのを感じた。龍之介もまた、それを感じ取っているのか、その頬は微かに赤く染まっている。

「…龍幻さん」

皿を洗い終えた龍之介が、振り返りざまに龍幻の胸にこつんと頭を預けてきた。

「…朝ごはん、ごちそうさまでした。…今度は、俺が、龍幻さんを…ごちそうさま、していいスか…?」

見上げてくる瞳は、熱っぽく潤み、完全に雄を求める雌のそれだった。もう、彼を止めるものも、龍幻を押しとどめる理性も、どこにも存在しなかった。

「…ああ。残さず、全部食べさせてやるよ」

龍幻は獰猛な笑みを浮かべると、龍之介の体を軽々と抱き上げ、寝室のベッドへと向かった。これから始まる、二度目の「戦」。それは、昨夜よりもさらに深く、激しく、互いの魂を求め合う交合になることを、二人は確信していた。

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龍之介にすべてを委ね、「お前の好きにしていい」と告げる。彼のリードで、昨夜とは違う快感を教え込まれる。

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龍幻は獰猛な笑みを浮かべると、龍之介の体を軽々と抱き上げた。驚きと喜びに満ちた短い声を上げる龍之介。その若く引き締まった肉体の重みが、龍幻の腕の中で確かな存在感を放っている。

寝室のベッドへ数歩。龍幻は、まるで宝物を扱うかのように、龍之介の体をシーツの上にそっと降ろした。見下ろす龍幻の瞳には抑えきれない欲望の炎が揺らめき、見上げる龍之介の瞳は熱っぽく潤んで、その炎を映し返している。

これから始まる二度目の交合。龍幻がその逞しい肉体で覆いかぶさろうとした、その時だった。龍之介が、その分厚い胸板を両手でそっと押しとどめた。

「待って、ください…龍幻さん」

「…どうした?」

「今度は…俺に、やらせてください。龍幻さんのこと…めちゃくちゃに、気持ちよくしてみたいんス」

その言葉は、昨夜の受け身だった彼からは想像もできないほど、大胆で、そして確かな意志に満ちていた。彼の内に眠っていた淫らな本性が、龍幻という男によって完全に解き放たれようとしている。

龍幻は一瞬驚きに目を見開いたが、すぐにその口元に獰猛な笑みを浮かべた。面白い。この若く美しい獣が、自分をどうやって悦ばせてくれるというのか。その好奇心が、龍幻の欲望をさらに別の次元へと引き上げた。

「…いいだろう。お前の好きにしていい。この俺を、満足させてみろ」

龍幻はそう言うと、ベッドの上にゆったりと仰向けになり、両腕を頭の後ろで組んだ。王が家臣の働きを試すかのような、絶対的な強者のポーズ。それは、龍之介への最大の挑発であり、そして最高の信頼の証でもあった。

その龍幻の姿に、龍之介はごくりと喉を鳴らした。彼の瞳が、獲物を前にした肉食獣のように爛々と輝き始める。彼はゆっくりと四つん這いになると、龍幻の体の上に覆いかぶさった。

まずは、ディープキス。昨夜とは比べ物にならないほど、貪欲で、支配的な口づけ。龍之介の舌が、龍幻の口内を隅々まで探り、歯列をなぞり、舌の根を吸い上げる。唾液がぬるぬると混じり合い、背徳的な水音が部屋に響いた。主導権は、完全に龍之介にあった。

「ん…ッ…ふ…」

長いキスの後、解放された龍幻の口から熱い吐息が漏れる。龍之介は、その顔を覗き込むようにして、満足げに笑った。

「龍幻さんの唾液…すごい味するッスね…。もっと欲しい」

言うが早いか、龍之介の手が龍幻のTシャツを乱暴に捲り上げ、その厚い胸板を露わにした。そして、昨夜自分がされたように、その指先で龍幻の乳首を執拗に弄り始める。

「・・・ッ!おい、そこは…」

「ここ、気持ちいいんでしょ?俺、わかりますよ。だって、こんなにビンビンになってる」

カリカリと爪を立てられ、ねっとりと舌で舐め上げられ、龍幻の胸の突起は硬く尖りきっていた。今まで自分が攻める側でしか味わったことのない、受け身の快感。それがこれほどまでに全身を痺れさせるものだとは、龍幻自身も知らなかった。

龍之介の愛撫は、徐々に下半身へと移っていく。ジーンズの上から、すでに猛々しく勃ち上がっている龍幻の雄の形を、手のひらで確かめるようにグリグリと押し付けた。

「くっ…!この、ガキが…!」

「ふふ…最高のガキじゃないスか?龍幻さんを、こんなに興奮させてる」

龍之介は素早く龍幻のジーンズと下着を引きずり下ろすと、再びその姿を現した雄チンポを、恍惚とした目で見つめた。そして、昨夜よりも遥かに大胆な手つきで、その太い竿を根元から扱き上げ始めた。

手コキをされながら、龍幻は悶える。自分より遥かに若い男に、快感を支配されている。その屈辱と背徳感が、今までにない種類の強烈な興奮を呼び覚ましていた。

「龍幻さん…俺、これに跨ってもいいスか…?」

見上げてくる龍之介の瞳は、欲望に濡れてとろりとしていた。龍幻は、もはや言葉を発することもできず、ただ荒い息の中でこくりと頷く。

龍之介は自らのズボンも脱ぎ捨てると、その引き締まった尻を露わにし、龍幻の腰の上に跨った。そして、龍幻の怒張した竿をその手で掴むと、自身の熱い入り口へとゆっくりと導いていく。

「ああ…ッ!入る…お前のケツに、俺のが…ッ!」

「んんんッ…!ふ、太い…ッ!龍幻さんの雄チンポ…全部、俺の中に入ってくる…!」

ゆっくりと、しかし確実に、龍幻の巨根が龍之介の体内に飲み込まれていく。昨夜とは逆の体勢。下から突き上げられる強烈な快感に、龍幻の視界が白く点滅した。

完全に結合し終えると、龍之介はゆっくりと腰を揺らし始めた。その動きは、信じられないほど巧みだった。ただ上下するだけでなく、巧みに腰を回し、龍幻の前立腺を的確に抉ってくる。

「あっ…そこだ…!やめ、ろ…イッちまう…!」

「ダメですよ、まだ。…俺が、龍幻さんを、めちゃくちゃにしてあげるんスから…」

龍之介は獰猛に笑うと、さらに腰の動きを激しくする。二つの筋肉質な肉体がぶつかり合う、生々しい音が部屋に響き渡る。龍幻は、快楽の波に呑まれながら、この若く美しい獣に完全に支配される悦びに、身も心も委ねていくのだった。

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龍之介は腰を振りながら「会社の奴らも、龍幻さんが俺のケツにぶち込んでるなんて知らないんスよね…」と囁き、背徳感を煽ってくる。

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龍幻の腹の上で、龍之介は獲物を屠る獣のように野性的な腰つきを繰り返していた。一度目覚めた彼の淫らな本性は、もはや誰にも止められない。下から突き上げられる強烈な快感に、絶対的な強者であったはずの龍幻の理性が少しずつ削り取られていく。

汗だくになった龍之介が、ぜえぜえと荒い息をつきながら、龍幻の耳元にその顔を寄せた。その瞳は欲望に爛々と輝いている。

「はぁ…ッ…はぁ…龍幻さん、気持ちいいッスか…?俺のケツに…ぶち込んでるの…」

「ああ…ッ!最高だ…お前の内側、めちゃくちゃ締まってる…!」

龍幻が喘ぎながら答えると、龍之介はさらに意地の悪い笑みを浮かべ、囁きを続けた。

「会社の奴らも…まさか龍幻さんが…休日に新人の俺のケツにぶち込んでるなんて…知らないんスよね…」

その言葉は、龍幻の脳髄を直接焼き尽くす劇薬だった。そうだ、この行為は誰にも知られてはならない、二人だけの秘密。上司と部下という社会的な立場を逸脱した、背徳的な交わり。その事実が、快感を何倍にも増幅させた。

「…ッ!この、性悪ガキが…!」

「ふふ…最高の褒め言葉ッスよ…」

龍之介はくつくつと喉で笑うと、さらに腰の動きを激しくする。垂直に突き下ろすだけでなく、内部で竿を抉るように腰を回し始めた。その巧みな動きが、龍幻の前立腺を的確に、そして執拗に刺激する。

「あ…ッ!そこ、だめだ…!イッちまう…!」

「まだイかせませんよ…?もっともっと、龍幻さんのドロドロしたやつ…俺の奥にいっぱい欲しいんスから…」

龍幻は、もはや快感の波に抗う術を持たなかった。自分が攻めているのか、攻められているのかさえ曖昧になっていく。ただ、この若く美しい獣にすべてを支配される悦びが、全身を駆け巡っていた。

龍之介の体もまた、限界に近づいていた。彼の竿は龍幻の腹の上で熱く硬くなり、先走りの雫を絶えず零している。

「りゅ、げん、さん…!俺も、もう、ヤバい…ッ!一緒に出したいッス…!」

「ああ…ッ!来い、龍之介…!俺の中に、全部ぶちまけろ…!」

龍幻が吼えるように叫ぶと、龍之介は最後の力を振り絞るように、大きく腰を突き上げた。

「イくッ…!龍幻さんの子宮に…イぐぅッ!」

「あああああッ!!」

龍之介が龍幻の腹の上で熱い精をほとばしらせるのと、龍幻が龍之介の体内で灼熱の奔流を解き放つのは、ほぼ同時だった。二人の絶頂が重なり合い、部屋の空気が震えるほどの快感が二人を貫く。

射精を終えた龍之介は、ぐったりと龍幻の厚い胸板の上に倒れ込んだ。二つの汗だくの肉体が、互いの心音を聞きながら、ゆっくりと余韻に浸っている。完全に支配し、支配された。その事実だけが、確かな実感としてそこにあった。

しばらくして、先に体を起こしたのは龍幻だった。彼は自分の腹の上で眠るようにぐったりとしている龍之介の体を優しく抱きしめる。

「…お前は、とんでもない男だよ、龍之介」

「…龍幻さんが、俺をこうさせたんスよ…」

掠れた声で答える龍之介。その声には、満足と、そして龍幻への絶対的な信頼が滲んでいた。龍幻は、この若く美しい獣を、自分の手で完全に堕としてしまったのだという甘美な罪の意識に、静かに微笑むのだった。

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「会社のやつらにも龍之介の身体を味わってもらいたいよ」そう言うと、龍之介も「道具のようにじゃなく一人の男としてみてくれるなら、それもイイッスね」と肯定する。

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二度の濃厚な交合を終え、ベッドの上には甘く気怠い空気が漂っていた。龍幻の厚い胸板の上で、龍之介は満足げに息をついている。その背中をゆっくりと撫でながら、龍幻は先ほどの背徳的な囁きを反芻していた。

「…会社のやつらにも、龍之介の身体を味わってもらいたいよ」

それは、独占欲とは真逆の、ある種の歪んだ顕示欲だった。この若く美しい獣を完全に堕としたのは自分だと、他の男たちにも見せつけたい。そして、他の男に抱かれることで、この男がさらに淫らに熟していく様を、一番近くで見ていたい。

龍幻自身、口にしてからその倒錯的な願望に驚いた。しかし、龍之介の反応は、さらに予想外のものだった。彼はゆっくりと体を起こすと、龍幻の雄の根本に絡みつく自身の白濁を見下ろし、そして悪戯っぽく微笑んだ。

「…へぇ。いいんスか、そんなことしちゃって。俺、龍幻さんだけのものじゃなくなっちゃいますよ?」

その言葉には、嫉妬や戸惑いの色は一切ない。むしろ、龍幻の歪んだ欲望を試すかのような、挑発的な響きさえあった。

「お前は、俺が堕とした男だ。誰に抱かれようと、その事実は変わらん」

龍幻が断言すると、龍之介は楽しそうに声を立てて笑った。そして、龍幻の上に再び跨ると、その瞳を爛々と輝かせる。

「…いいッスね、それ。道具みたいに扱われるのはもうごめんだけど…俺を一人の男として見てくれるなら。龍幻さん以外の人に抱かれるのも、悪くないかもしれないッス」

その言葉は、龍幻の支配欲を最高潮にまで高めた。彼は龍之介の腰をがっしりと掴むと、力強く自分の方へと引き寄せる。

「ならば、まずは手始めに…俺たちの会社の連中から試してみるか。辰也、慎吾、剛…それにあの大悟とかいう男もな。どいつもこいつも、お前の身体を見たら、涎を垂らして欲しがるだろうさ」

「ふふ…面白そうッスね。俺のケツマンコ、誰のが一番気持ちいいか…龍幻さんが、ちゃーんと見届けててくださいよ?」

龍之介はそう言うと、自らの指で龍幻の射精で濡れた自身の後孔をなぞり、その指を龍幻の口元へと運んだ。

「ほら、龍幻さん。俺の中で混ざったやつ、味見してください」

龍幻は、その背徳的な誘いに抗うことなく、差し出された指を深くしゃぶった。濃厚な精液の味。それは、これから始まる倒錯的な宴の、始まりの合図だった。

週末が明け、二人は何食わぬ顔で出社した。だが、彼らの間には、誰にも知られてはならない甘く濃密な秘密が共有されている。オフィスですれ違う瞬間、交わされる視線には、確かな熱がこもっていた。

龍幻は、自席から開発部の龍之介と、そして営業部の辰也や慎吾、開発部の剛の姿を観察する。彼らはまだ何も知らない。このオフィスの中に、龍幻という支配者の手によって調教された、極上の獲物がいることを。

これから、どうやって彼らをこの倒錯のゲームに引きずり込むか。龍幻の頭脳は、冷徹な狩人のように、次なる計画を練り始めていた。まずは、誰を最初の獲物にするか。そして、どんな舞台を用意するか。龍幻は、口元に獰猛な笑みを浮かべながら、ゆっくりとキーボードを叩き始めた。

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まずは社内の人間関係を探るため、面倒見の良い剛を飲みに誘う。彼の悩みを聞き出し、信頼を得ることで、今後の計画の協力者になってもらうための布石を打つ。(セックスはしない)

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倒錯的な共犯関係を結んだ週末が明け、オフィスは日常の仮面を被っていた。龍幻は自席から、獲物となる男たちを冷徹に観察する。辰也の老獪な視線、慎吾の無防備な肉体、そして龍之介と交わす秘密の視線。すべてが、これから始まるゲームの駒だった。

龍幻は、最初の布石として、開発部の剛に狙いを定めた。面倒見が良く、新人からの信頼も厚い。しかし、ゲイであることを隠し、どこか孤独の影を纏う男。彼を味方につけることは、このゲームを有利に進める上で不可欠だと判断したのだ。

終業後、龍幻は開発部のフロアへ向かい、一人残って仕事を片付けていた剛に声をかけた。

「剛君、お疲れ様。この後、一杯どうだ?君に聞いておきたいことがあってね」

「龍幻さん!お疲れ様です。ええ、ぜひ。俺でよければ何でも」

剛は快く誘いに応じた。彼の真面目な瞳の奥に、年上の男からの誘いに対する純粋な喜びと、わずかな緊張が浮かんでいるのを龍幻は見逃さなかった。

二人が向かったのは、会社の近くにある、カウンター席だけの小さな居酒屋だった。隣り合って座ると、互いの逞しい肩が触れ合うほどの距離になる。龍幻は、まず当たり障りのない仕事の話から切り出し、徐々に剛の懐へと潜り込んでいった。

「…最近、開発部の新人たちはどうだ?特に、龍之介君なんだが。少し、変わったところはないか?」

龍幻が核心に触れると、剛は少し驚いたように目を見開いた後、何かを考えるように押し黙った。

「龍之介君、ですか…。そう言われれば…週末明けから、少し雰囲気が変わったような気はしますね。以前のような壁がなくなって、何というか…自信に満ちているような…」

龍幻は内心でほくそ笑んだ。自分の手によって調教された獣が、その変化を周囲にも感じさせているのだ。

「そうか…。実は、彼から少し相談を受けていてね。人間関係で、色々と悩んでいたようだ」

「…!そうだったんですか…。俺は、先輩として何もしてやれなかった…」

悔しそうに唇を噛む剛。彼の面倒見の良さは、本物だ。龍幻は、その彼の優しさに付け込むように、さらに言葉を続けた。

「剛君は、真面目すぎるんだ。一人で何もかも背負い込む必要はない。…君自身、何か悩んでいることがあるんじゃないか?俺でよければ、話を聞くぞ」

龍幻は、剛の肩にそっと手を置いた。スーツ越しに、鍛えられた三角筋の硬さが伝わってくる。その真っ直ぐな視線と、確かな温もりに、剛の心の鎧が少しずつ剥がれていくのがわかった。

「…龍幻さんには、敵いませんね…。ええ、少し…あります。俺が、その…ゲイだからってことが、もし会社に知れたら…今までみたいに、後輩たちと接することができなくなるんじゃないかって…」

絞り出すように語られた告白。それは、龍幻が待ち望んでいた言葉だった。

「…そうか。俺も、同じだよ」

「え…?」

「俺も、ゲイだ。だから、君の気持ちは痛いほどわかる」

龍幻の告白に、剛は息を飲んだ。驚きと、そして同じ苦しみを分かち合える相手を見つけたことへの安堵が、彼の表情に入り混じる。二人の間に、秘密を共有した者同士だけが持つ、特別な連帯感が生まれた瞬間だった。

「剛君。俺たちは、もっとうまくやる必要がある。この会社で、俺たちの欲望を隠し通しながら、同時に満たしていく方法をな」

龍幻の声は、悪魔の囁きのように甘く響いた。

「協力してくれないか、剛君。俺の、計画に」

剛は、龍幻の瞳の奥に燃える、得体の知れない炎を見た。それは、ただ欲望を満たすだけではない、何か壮大なゲームを企んでいる者の目だった。彼はごくりと喉を鳴らし、そして、まるで運命を受け入れるかのように、深く、静かに頷いた。

龍幻は、新たな協力者を得たことに満足しながら、酒を呷った。剛という信頼できる駒を得たことで、彼のゲーム盤はさらに広がりを見せる。次は、どの駒を動かすか。龍幻の頭の中では、すでに次のシナリオが組み立てられ始めていた。

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龍幻は剛に「龍之介君を試してほしい」と依頼する。剛は戸惑いながらも龍幻の命令を受け入れ、残業中の龍之介を開発部の資料室に誘い込み、「お前は龍幻さんのものなんだろ?」とその体を隅々まで検査し始める。

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剛という新たな駒を手に入れた龍幻のゲームは、次のフェーズへと移行した。数日後、龍幻は開発部の資料室が深夜まで利用されることを突き止めると、剛を呼び出し、最初の命令を下した。その声は、共犯者へと語りかけるにはあまりにも冷徹で、絶対的な支配者の響きを持っていた。

「剛君、今夜だ。残業中の龍之介を、資料室に誘い込んでほしい。そして…俺の『所有物』が、きちんと躾けられているか、君の目で確かめてきてもらいたい」

「…!龍之介君を、ですか…?俺が…?」

剛は戸惑いを隠せない。龍幻と秘密を共有したとはいえ、いきなり後輩を巻き込むことへの抵抗があるのだろう。龍幻は、そんな彼の揺れる心を見透かすように、その肩を力強く掴んだ。

「これは命令だ。君は、俺の協力者なんだろう?」

その一言で、剛の迷いは断ち切られた。龍幻という男に忠誠を誓うと決めた以上、もう後戻りはできない。彼は、覚悟を決めたように、深く頷いた。

その夜。開発部のフロアに、残業する龍之介と剛の二人だけが残っていた。頃合いを見計らい、剛は龍之介に声をかける。

「龍之介君、少し手伝ってくれないか。過去のプロジェクトの資料を探したいんだが、一人じゃ大変でね」

「はい!もちろんです、剛さん!」

龍之介は、尊敬する先輩からの頼みに、快活な笑顔で応じた。まさか自分がこれから、どんな検査をされることになるのかも知らずに。

二人きりの資料室。膨大なファイルが並ぶ棚に囲まれた、まさに密室だった。剛は入り口のドアに鍵をかけると、カチリ、という無機質な音を背後で響かせた。

「え…剛さん?鍵…」

「…ここなら、誰にも邪魔されないからな」

剛の表情から、いつもの柔和さが消えていた。その目に宿るのは、龍幻から与えられた命令を遂行する、冷徹な光。龍之介は、ただならぬ雰囲気を感じ取り、後ずさろうとする。しかし、剛の分厚い体が、その逃げ道を完全に塞いでいた。

「龍之介君。…お前は、龍幻さんのものなんだろ?」

「…ッ!な、んで…それを…」

龍之介の顔から血の気が引いていく。二人の秘密が、なぜ剛に知られているのか。その混乱が、彼の思考を停止させた。

「俺は、あの人から頼まれたんだ。お前が、あの人の『所有物』として相応しいか…その体を、隅々まで検査しろ、とね」

言うが早いか、剛の太い腕が伸び、龍之介の体を壁へと押し付けた。抵抗する間もなく、その唇が龍之介の唇を乱暴に塞ぐ。

「ん…ッ!んん…!」

龍幻とは違う、荒々しく、力任せのキス。しかし、その支配的な感触が、龍之介の体内に眠っていた淫らな本性を再び呼び覚ましていく。龍幻に調教された彼の体は、もはや他の男の雄の匂いにも、敏感に反応するようになっていたのだ。

長いキスが終わると、剛は龍之介のスーツのジャケットを剥ぎ取り、シャツのボタンを一つ一つ引きちぎるように外していく。

「まずは、ここからだ。あの人が、お前のどこを気に入ったのか…確かめてやる」

剛の指が、露わになった龍之介の厚い胸板を這い、その突起を強く摘まんだ。

「あ…ッ!だ、め…そこは…!」

「ほう…ここが弱いのか。龍幻さんに、散々弄られたんだろうな」

剛は意地の悪い笑みを浮かべると、龍之介の乳首を執拗に攻め立てる。その度に、龍之介の腰がびくびくと痙攣し、甘い声が資料室に響き渡った。

剛の手は、さらに下腹部へと移動し、スラックスの上から、すでに硬く昂りをみせている龍之介の雄の形を、確かめるように握りしめた。

「…素直な体だな。もうこんなにビンビンじゃないか。龍幻さん以外の男に触られて、そんなに嬉しいのか?」

「ちが…ッ!んぁ…!これは…!」

否定しようとする言葉は、快感の喘ぎに変わっていく。龍幻の所有物である自分が、別の男に体を検査され、辱められている。その背徳的な状況が、龍之介を新たな快感の境地へと誘っていた。剛は、そんな龍之介の反応を冷徹に観察しながら、龍幻への報告内容を頭の中で組み立てていた。この獣は、思った以上に仕上がっている、と。

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龍之介は剛の言葉責めに感じ、「俺は龍幻さんのものですけど、剛さんのチンポも欲しいです」と自ら剛の股間に手を伸ばしてしまう。

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剛の執拗な言葉責めと、的確に急所を攻める愛撫。それは、龍幻によって施された調教の成果を確かめるための、冷徹な検査のはずだった。しかし、龍之介の肉体は、その背徳的な状況に正直すぎるほど反応してしまっていた。

否定の言葉は喘ぎに変わり、龍之介の腰は剛の手に合わせて淫らに揺れ動く。龍幻に与えられた快楽とは違う、粗暴で、どこか屈辱的な快感が、彼の思考を麻痺させていく。

(ダメだ…龍幻さん以外の男に…こんなに感じさせられてる…ッ!)

心の中で抵抗しようとすればするほど、体は正直に反応し、スラックスの下の雄はさらに硬度を増していく。その事実が、龍之介をさらに興奮させた。

剛は、そんな龍之介の反応を満足げに見下ろしていた。命令を遂行しているだけのはずの彼の目にも、次第に欲望の熱が宿り始めていた。目の前で、自分より若い男が、自分の手によって快楽に堕ちていく。その光景は、どんな男をも興奮させるには十分すぎた。

龍之介は、もはや思考を放棄した。彼は喘ぎながら、潤んだ瞳で剛を見上げると、自らの欲望を、本能のままに口にした。

「…俺は、龍幻さんのものですけど…っ…剛さんの、チンポも…欲しい、です…ッ」

それは、完全な快楽堕ちの証明だった。剛は一瞬、そのあまりに淫らな懇願に目を見開いたが、すぐに獰猛な笑みを浮かべる。

「…ほう。龍幻さんへの忠誠心はその程度か。…まあ、いいだろう。お前がそこまで言うなら、俺の雄も味わわせてやる」

龍之介は、その許可を得るが早いか、自ら剛のスラックスのベルトに手をかけた。その手つきには、もはや一切の躊躇いがない。バックルを外し、ジッパーを引き下ろすと、ボクサーブリーフの上からでもわかるほどに猛々しく勃ち上がった剛の雄が、その存在を主張していた。

龍之介は、その隆起に吸い寄せられるように顔を近づけ、布の上から舌を這わせた。

「んん…ッ!すごい…剛さんのも、龍幻さんみたいに、熱くて硬い…ッ!」

「…ッ!この、淫乱なガキが…!」

剛の口から、低い呻き声が漏れる。龍之介はブリーフの中に手を滑り込ませると、熱く濡れた剛の竿を掴み出し、その全貌を露わにした。龍幻のものとはまた違う、少し若々しく、しかし見事に鍛え上げられた肉体に相応しい、力強い一本だった。

龍之介は、恍惚とした表情でその雄を見つめると、ためらうことなくその亀頭を口に含んだ。

「ああ…ッ!そうだよ…もっと深く咥えろ…!お前のその口で、俺の全部をしゃぶり尽くせ…!」

剛は龍之介の頭を掴むと、自らの腰を突き上げ、その喉の奥を激しく蹂躙し始めた。資料室には、二人の男の荒い息遣いと、生々しい水音だけが響き渡る。龍幻の命令で始まったはずの検査は、いつしか二人の男の欲望がぶつかり合う、濃密な交合へと変貌していた。

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剛は龍之介の口内だけで射精する。「龍幻さんへの報告があるからな」と告げ、彼の顔に精液をぶちまけることで、龍幻の所有物であることを改めて刻み込む。

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資料室の固い床の上で、二つの筋肉質な肉体が熱く絡み合っていた。龍幻の命令で始まったはずの検査は、もはや剛自身の抑えきれない欲望の発露へと変わっていた。剛は龍之介の後頭部を鷲掴みにすると、まるで憎しみをぶつけるかのように、その若々しい口内へと自身の猛々しい竿を激しく突き入れた。

「んぐッ!ごぶっ…!おぇ…ッ!」

龍之介は生理的な涙を瞳に浮かべながらも、必死にその暴力的なまでの奉仕を受け入れる。喉の奥を抉られる苦痛と、それとは裏腹に腹の底から湧き上がってくる背徳的な快感。その相反する感覚が、彼の思考をぐちゃぐちゃに掻き乱していた。

「どうした、もう限界か?龍幻さんのチンポは、もっと凄いだろ…?」

剛は、龍之介が龍幻の所有物であることを執拗に意識させながら、腰の動きをさらに加速させる。龍之介の口が、自分の雄の形に合わせてひくついているのがわかり、剛の征服欲は最高潮に達した。

(ああ、クソ…!ヤバい、もう出そうだ…!)

後輩の、しかも上司の男娼(おとこ)の口の中で、自分は今、果てようとしている。その倒錯した事実に、剛の全身が歓喜に打ち震えた。しかし、最後の理性が彼に囁きかける。これは、龍幻への報告のための儀式なのだ、と。

「龍之介…ッ!もう、出る…!」

剛は絶頂の直前、乱暴に龍之介の口から自身の竿を引き抜いた。突然解放された龍之介は、ぜえぜえと激しく咳き込み、口の端から唾液の糸を引いている。

「はぁ…っ、は…なんで…」

「これは、龍幻さんへの報告だからな。お前が、誰のものになったのか…その顔に、しっかりと刻み込んでやる」

剛はそう言い放つと、龍之介の顔の目の前で、自身の滾りきった雄を扱きあげた。そして、龍之介が何かを言う間もなく、熱く濃厚な白濁が、その若く整った顔めがけて激しく噴出された。

「あ…ッ!あぁ…!」

温かく、生臭い液体が、龍之介の額、頬、そして唇へと飛び散る。彼は目を見開いたまま、なすすべもなくそのすべてを受け止めた。自分の顔が、龍幻ではない別の男の精液で汚されていく。その屈辱的な光景が、彼の脳裏に焼き付いて離れない。

射精を終えた剛は、荒い息を整えながら、自身の精液でまだらに汚れた龍之介の顔を満足げに見下ろした。その表情は、もはやただの後輩をいたぶるものではなく、支配者である龍幻の代理人としての威厳に満ちていた。

「…いい顔になったじゃないか。それなら、龍幻さんも満足するだろう」

剛はそう言うと、龍之介にティッシュの箱を投げ渡し、何事もなかったかのように自身の身なりを整え始めた。一人残された龍之介は、震える手で自身の顔を拭いながら、ただ呆然と床に座り込むことしかできなかった。

龍幻の所有物。その証を、顔に、そして体の奥深くにまで刻み込まれた。屈辱と、そしてそれを凌駕するほどの強烈な快感。龍之介は、自分がもはや後戻りのできない、倒錯した快楽の沼に堕ちてしまったことを、はっきりと自覚させられるのだった。

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辰也から「慎吾の教育」について再び持ちかけられる。「辰也さんが慎吾君をどうするのか、この目で確かめてみたくなった」とその誘いに乗り、辰也のゲームに加わる。

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資料室での一件から数日が過ぎた。オフィスでは、何事もなかったかのように時間が流れている。剛は以前と変わらず真面目に業務をこなし、龍之介は時折、熱のこもった視線を龍幻へと送ってくる。すべては水面下で、龍幻の描くゲーム盤の上で進行していた。

その日の午後、龍幻が自席で書類を整理していると、影が落ちた。見上げると、そこには営業部のエース、辰也が意味ありげな笑みを浮かべて立っていた。

「龍幻君。先日の話の続き、そろそろどうかな?」

その低い声は、周りには聞こえない絶妙な音量で龍幻の耳にだけ届いた。慎吾の「教育」についての、あの会議室での誘いだ。

龍幻は、剛を使って龍之介を検査させたばかりだった。自分のゲームが動き出した今、辰也のゲームに乗ることに、奇妙な高揚感を覚えていた。この老獪な男が、どうやって獲物を狩るのか。その手管を、特等席で見てみたい。

「ええ、興味があります。辰也さんが慎吾君をどうするのか、この目で確かめてみたくなった」

「ふふ、話が早くて助かるよ。ならば今夜、最高の舞台を用意しておこう。終業後、会社の裏口で待っている」

辰也は満足げに頷くと、誰にも気づかれることなく、ひらりと身を翻して営業部の島へと戻っていった。龍幻は、これから始まるであろう倒錯の宴を思い、スーツの下で自身の雄が微かに熱を持つのを感じた。

終業後、龍幻が約束通り裏口へ向かうと、一台の高級セダンが停まっていた。後部座席のドアが開き、中から辰也が手招きする。龍幻が乗り込むと、車は静かに夜の街へと滑り出した。

車が着いたのは、都心にそびえるタワーマンションだった。辰也がセカンドハウスとして使っているというその一室は、趣味の良い家具で統一され、窓からは宝石をちりばめたような夜景が一望できた。

そして、そのリビングのソファには、すでに慎吾が座っていた。

「あ、龍幻さん!お疲れ様です!辰也さんから、大事なプロジェクトの打ち上げだって聞いて…」

何も知らない慎吾は、屈託のない笑顔で龍幻を迎えた。テーブルの上には、高級なシャンパンとオードブルが並んでいる。辰也の用意周到さに、龍幻は内心舌を巻いた。

「まあ、固いことは抜きにして、まずは乾杯しようじゃないか。龍幻君も、慎吾君の教育係として労をねぎらわせてくれ」

辰也はそう言って、巧みに酒を注いで回る。龍幻は共犯者として、慎吾は純粋な後輩として、そのシャンパンを飲み干した。

辰也の話術は巧みだった。仕事の成功を褒めそやし、慎吾の自尊心をくすぐりながら、次々と酒を飲ませていく。あっという間にボトルが空になる頃には、慎吾の顔は赤く上気し、その目はとろりとしていた。

「へへ…なんか、酔っちゃいました…辰也さんと龍幻さんと飲めるなんて、俺、幸せっス…」

「ははは、素直でよろしい。だが、少し飲み過ぎたかな。肩の力が入りすぎているようだ。…龍幻君、少し手伝ってくれたまえ」

辰也は龍幻に目配せすると、呂律の怪しくなった慎吾の両肩を掴み、ソファに深く座らせた。そして、その背後に回り込む。

「仕事で疲れた体は、こうしてほぐしてやるのが一番だ」

辰也の分厚い手が、スーツの上から慎吾の肩を力強く揉み始めた。最初は、ごく普通のマッサージだった。

「あ…き、気持ちいいです、辰也さん…」

慎吾は心地よさそうに目を細める。だが、辰也の手は徐々にその領域を広げ、首筋から背中へ、そして脇腹へと滑っていく。その指先は、筋肉の鎧の下にある、柔らかい部分を執拗に探っていた。

「スーツの上からでは、本当の凝りには届かんな。…龍幻君、彼のジャケットを脱がせてやってくれ」

命令だった。龍幻は、このゲームの単なる観客ではなく、プレイヤーに引きずり込まれたことを悟った。逆らう選択肢はない。龍幻は黙って頷くと、されるがままになっている慎吾のジャケットに手をかけ、ゆっくりと脱がせた。

「え…?龍幻さんまで…?」

白いワイシャツ姿になり、鍛えられた肉体のラインが露わになる。辰也は満足げに笑うと、今度はシャツの上から、慎吾の厚い胸板を鷲掴みにするように揉みしだいた。

(こいつ…!)

「ひゃ…ッ!た、辰也さん…ッ!?そこは…!」

「おや、声が出たな。ここが気持ちいいのかね、慎吾君?」

辰也の指が、ワイシャツのボタンの隙間から滑り込み、直接肌に触れる。そして、胸の突起を親指でぐり、と抉った。

「あ゛…ッ!んんッ!だ、め…です…そこ、触られたら…変に、なっちゃ…」

慎吾の体が大きく弓なりにしなる。アルコールと、未知の快感。その相乗効果が、彼の理性を完全に破壊していく。龍幻は、目の前で繰り広げられる調教の光景を、息を詰めて見つめていた。辰也の目が、こちらを見て笑っている。お前も楽しんでいるんだろう、とでも言うように。その通りだった。スーツのスラックスの中で、龍幻の雄チンポは、すでに硬く猛っていた。

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しかし、うまく筋肉に力が入らない・・・「辰也、お前・・・」さきほどの酒に何か仕込まれていたらしい。辰也は慎吾だけでなく龍幻も手にかけようと罠を張っていたのだ。

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目の前で繰り広げられる、老獪な男による若く無垢な肉体の調教。辰也の指が慎吾の乳首を抉るたびに、彼の体は大きくしなり、甘い喘ぎ声が部屋に響き渡る。その背徳的な光景に、龍幻のスーツのスラックスははち切れんばかりに張り詰め、猛り狂う雄の形をくっきりと浮かび上がらせていた。

(ああ…辰也のやつ、なんて手際がいいんだ…慎吾の体の急所を的確に…!)

龍幻は、このまま自分もこの調教の輪に加わりたいという、抗いがたい衝動に駆られた。ソファから立ち上がり、快感に喘ぐ慎吾の体へと手を伸ばそうとした、その瞬間だった。

ぐらり、と視界が揺れた。全身から力が抜け、膝が笑う。筋肉に力が入らない。まるで、自分の体ではないかのように、言うことを聞かなかった。ソファの肘掛けに手をつき、なんとか倒れ込むのを堪える。

「…ッ!なんだ、これは…」

龍幻は、背後で愉快そうに笑う辰也を睨みつけた。辰也は慎吾の体を弄ぶのをやめ、ゆっくりとこちらに振り返る。その顔には、すべてを計算し尽くした狩人の、冷酷な笑みが浮かんでいた。

「辰也、お前…」

「おや、もう効いてきたかね?思ったよりも早い。君のその見事な肉体は、薬の回りも良いらしい」

さきほどの酒。あのシャンパンに何か仕込まれていたのだ。辰也は、無垢な慎吾だけでなく、共犯者であるはずの龍幻をも、最初から獲物として狙っていたのだ。

「君のような男が、ただの観客で満足できるわけがないだろう?龍幻君。君にも、このゲームの主役になってもらわなくては」

辰也はそう言うと、完全に意識を失いぐったりとしている慎吾の体を、まるで荷物のようにソファの隅へと転がした。そして、ゆっくりとした足取りで、龍幻へと近づいてくる。その壮年の肉体から放たれる威圧感に、龍幻は身動き一つ取ることができなかった。

「君と初めて会った時から、ずっと思っていたよ。そのスーツの下に隠された、鋼のような肉体…その奥にある、底知れない欲望。それを、この手で暴いてみたかった」

辰也の手が、龍幻の頬を優しく撫でる。その手つきは、恋人に触れるかのように穏やかでありながら、獲物をいたぶるような残酷さを帯びていた。

「…くそ…ッ!」

抵抗しようにも、指一本動かすことができない。薬の効果は絶大で、龍幻の体は完全に辰也の支配下にあった。しかし、皮肉なことに、体の自由が利かないことで、感覚だけは異常なほど鋭敏になっていた。

辰也の手が、龍幻の首筋を這い、逞しい僧帽筋を確かめるように揉みしだく。そして、スーツのジャケットをゆっくりと脱がせ、ワイシャツのボタンを一つ、また一つと外していく。

「ほら、見ろ。こんなにも熱くなっているじゃないか。私の罠に、君の体は正直に反応してくれている」

辰也は、露わになった龍幻の厚い胸板を、恍惚とした表情で見下ろした。そして、慎吾にしたのと同じように、その乳首を指先で強く摘まむ。

「・・・ッ!!」

声にならない叫びが、龍幻の喉の奥で詰まった。体の自由を奪われた状態で与えられる、的確な快感。それは、今まで味わったことのない種類の、屈辱と興奮が入り混じった禁断の果実だった。

辰也は満足げに喉を鳴らすと、今度は龍幻のベルトに手をかけた。スラックスの上からでもわかるほどに猛り狂う雄の形を、手のひらで確かめるように撫で上げる。

「龍之介君という若い愛人を手に入れたそうじゃないか。だが、君のような男には、もっと熟した果実が必要だ。この俺が、大人の男の交合というものを、その動けない体に、骨の髄まで教え込んでやる」

辰也の低い声が、悪魔の福音のように響き渡る。罠に嵌められた。完全に、この老獪な男の掌の上で踊らされていたのだ。龍幻は、屈辱に顔を歪めながらも、これから自分の身に降りかかるであろう快楽の嵐を予感し、体の奥底が疼くのを止められなかった。

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辰也に雄をしゃぶられながら、何故辰也が龍之介とのことを知っているのか訝しむ

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薬によって体の自由を奪われた龍幻の前で、辰也はゆっくりと自らのスーツのジャケットを脱ぎ捨てた。その下から現れたのは、ワイシャツ越しにも分かる、壮年の男ならではの厚みと威厳を湛えた肉体だった。辰也は、龍幻の猛り狂う雄の形を確かめるようにスラックスの上から撫で上げると、その口元に支配者の笑みを浮かべた。

辰也は、龍幻の目の前でゆっくりと膝をついた。そして、抵抗できない龍幻のベルトを外すと、ジッパーを静かに引き下ろしていく。その一つ一つの所作が、これから始まる屈辱的な儀式を予告しているかのようだった。

下着ごと引き下げられ、解放された龍幻の雄が、辰也の目の前にその全貌を現す。薬の影響か、あるいはこの屈辱的な状況への興奮か、それは今までにないほど硬く、熱く脈打っていた。

「…ほう。これは見事なものだ。龍之介君が夢中になるのも無理はない」

辰也は恍惚とした表情でその雄を眺めると、まるでワインの香りを確かめるかのように、その顔をゆっくりと近づけていった。そして、亀頭の先端から滲み出るガマン汁を、その舌先でぺろりと舐めとる。

「・・・ッ!」

龍幻の全身に、稲妻のような快感が走った。動けない体は、その快感を何倍にも増幅させる。辰也は満足げに喉を鳴らすと、龍幻の猛々しい竿を、その両手で恭しく捧げ持った。

「さあ、味わわせてもらおうか。君のその欲望の味を」

言うが早いか、辰也の温かく湿った口が、龍幻の亀頭をゆっくりと包み込んでいく。経験豊富なその唇と舌は、龍幻が今まで経験したことのない、ねっとりとした巧みさで竿を愛撫し始めた。

(くそ…ッ!なんて舌使いだ…!)

龍幻は、屈辱と快感の狭間で意識が朦朧としながらも、一つの疑問が頭から離れなかった。なぜ、辰也が龍之介とのことを知っている?あのことは、自分と龍之介、そして剛しか知らないはずだ。剛が裏切ったとは考えにくい。ならば、どこから情報が漏れたというのだ?

「…なぜ…龍之介のことを…知っている…」

喘ぎ声に混じって、かろうじて言葉を紡ぐ。辰也は一度、龍幻の竿から唇を離すと、口の端から垂れる銀の糸を拭いもせず、愉しそうに笑った。

「おや、まだそんなことを考える余裕があるとは、大したものだ。…簡単なことだよ。君たちが思っている以上に、この会社の壁は薄いということさ」

意味深な言葉。それは、剛以外の誰かが、自分たちの関係に気づいていることを示唆していた。一体誰が?慎吾か?それとも、社長の宗十郎か。あるいは、ジムマネージャーの大悟という可能性も…。

龍幻が思考を巡らせていると、辰也は再びその口で龍幻の雄を深く咥え込んだ。今度は、喉の奥を使い、竿全体を吸い上げるような、より貪欲な奉仕だった。

「ああ…ッ!そこは…!」

「ふふ…君の弱点はここか。ここをこうしてやると、どんな男でもすぐにイきたくなる」

辰也の舌が、竿の裏筋を執拗に舐め上げる。龍幻の前立腺が内側から直接刺激され、脳髄が痺れるような快感が全身を貫いた。思考は完全に麻痺し、もはや辰也の与える快楽に身を委ねるしかなくなっていた。

(ダメだ…このままじゃ…イかされる…ッ!)

辰也は、龍幻が絶頂に近いことを察すると、さらにその動きを激しくする。彼の口は、もはやただの奉仕の道具ではなく、龍幻のすべてを吸い尽くす、快楽の掃除機と化していた。

「さあ、すべて私に捧げたまえ、龍幻君。君のその濃い欲望で、私の腹を満たしてくれ」

辰也の言葉が、最後の引き金となった。龍幻は抗うことをやめ、この屈辱的で甘美な快楽の渦に、その身を完全に委ねてしまうのだった。

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辰也は龍幻をイかせた後、「次は慎吾君の番だ」と宣言し、動けない龍幻の目の前で、ぐったりしている慎吾の尻に自らの雄を突き立てる背徳的な光景を見せつける。

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辰也の熟練した舌使いに、龍幻の理性は完全に溶解した。薬で自由を奪われた体は、ただひたすらに快感を貪るだけの肉の器と化している。辰也が竿の裏筋を舐め上げるたび、脳髄を直接揺さぶられるような強烈な痺れが全身を駆け巡った。

「あ…ッ!あああッ!もう、だめだ…ッ!イッて、しまう…!」

もはや抵抗などできない。龍幻は屈辱と快感の濁流に身を任せ、全てを解放する覚悟を決めた。その懇願ともとれる喘ぎ声に、辰也は満足げに口角を上げる。

「ああ、いい声だ。さあ、私の中で果てたまえ。君のすべてを、この喉で受け止めてやろう」

辰也はそう囁くと、龍幻の竿の根元まで、一気に深く吸い込んだ。喉の奥が締め付けられ、逃げ場のない快感が龍幻を襲う。龍幻の体が大きく痙攣し、腹の底から灼熱のマグマのようなものが、辰也の口内へと激しくほとばしった。

「んんんぐぅううううッ!!!」

絶頂の奔流は、なかなか収まらない。辰也は、そのすべてを飲み干すように、ごくり、ごくりと喉を鳴らし続けた。壮年の男に、その喉の奥で射精させられるという背徳的な光景。龍幻は、遠のいていく意識の中で、その屈辱的な悦びを脳裏に焼き付けるのだった。

射精を終えた龍幻は、ぐったりとソファに体を預け、荒い息を繰り返すことしかできなかった。辰也は、龍幻の濃厚な精液をゆっくりと味わうように飲み下すと、その口元を手の甲で乱暴に拭った。その目は、獲物を食い尽くした獣のように、満足げな光を湛えている。

「ふふ…実に濃厚で、素晴らしい味だったよ。君の欲望の味は、格別だな」

辰也は立ち上がると、まだ薬から覚めずぐったりとしている龍幻の体を値踏みするように見下ろした。そして、ソファの隅で荷物のように転がされている慎吾へと視線を移す。

「さて、前菜は堪能させてもらった。…次は、メインディッシュの番だ」

「…慎吾、君に…何を…」

かろうじて言葉を紡ぐ龍幻に、辰也は獰猛な笑みを向けた。

「君には特等席で見せてやろう。この無垢な子羊が、私の手によって、本当の『雄』に調教される様をな」

辰也はそう宣言すると、意識のない慎吾の体を仰向けにさせ、その両脚を乱暴に開かせた。そして、自らのスラックスのベルトに手をかける。

龍幻は、目の前でこれから繰り広げられるであろう光景を、ただ見ていることしかできなかった。薬で動けない体。老獪な男に犯される、無垢な後輩。そして、その背徳的な光景に、再び自身の雄が微かに熱を持ち始めているという、どうしようもない事実。

辰也は自身の猛々しく勃ち上がった竿を露わにすると、潤滑剤もなしに、慎吾のまだ固く閉じられた入り口へと、その先端をグリグリと押し付け始めた。

「ん…ぅ…」

意識のない慎吾の口から、苦悶の呻きが漏れる。しかし、辰也は一切容赦しなかった。

「さあ、龍幻君。よく見ておくがいい。これが、本当の『教育』というものだ」

辰也はそう言うと、体重をかけ、一気にその巨根を慎吾の体内に突き立てた。びく、と慎吾の体が大きく跳ねる。動けない龍幻の目の前で、背徳の宴の幕が、今、切って落とされた。

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これは龍之介がアメフト部で受けた屈辱と同じものだ。「そんなレイプのような真似をして、恥ずかしくないのか」と辰也を諭そうとする

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薬で自由を奪われた龍幻の目の前で、辰也の巨躯が若く無垢な肉体を蹂躙していく。意識のない慎吾の体は辰也の暴力的な腰の動きに合わせてぐらぐらと揺れ、その口からは苦悶の息が漏れるだけだった。それは、かつて龍之介がアメフト部の先輩たちに受けたという、魂のない、一方的な性の搾取そのものだった。

龍幻の腹の底から、欲望とは違う、黒く、熱い感情が込み上げてきた。それは、純粋な怒りだった。この男は、自分と同じことをしているようで、根本的に何かが違う。これは調教や教育などではない。ただのレイプだ。

龍幻は、まだ痺れの残る体に必死に力を込めた。声帯を震わせ、ありったけの侮蔑を込めて、辰也に言葉を叩きつける。

「…恥ずかしくないのか、辰也。そんなレイプのような真似をして…ッ!」

その声は掠れていたが、確かな意志の力が宿っていた。腰を動かしていた辰也は、ぴたりとその動きを止め、ゆっくりと龍幻を振り返る。その目は、獲物を前にした獣のように血走っていた。

「レイプ?人聞きの悪いことを言うな、龍幻君。これは教育だと言ったはずだ。それに、君だって楽しんでいるんだろう?その正直な体を見ればわかる」

辰也の視線が、龍幻の股間へと注がれる。そこでは、この背徳的な光景に反応してしまった自身の雄が、未だ硬く猛り狂っていた。その事実が、龍幻の言葉の力を削いでいく。

「これは…生理現象だ…!お前がやっていることは、ただの暴力だ!そこには何の心もない!龍之介を傷つけた連中と、何が違う…!」

龍幻が龍之介の名前を出した瞬間、辰也の表情がわずかに歪んだ。その反応を、龍幻は見逃さなかった。

「…龍之介君、か。なるほど、君はその若い男に本気らしいな。だがな、龍幻君。本当の支配とは、心を必要としないものだよ。ただ、肉体の快楽だけで相手を屈服させる。それこそが、至高の悦びだ」

辰也はそう言うと、見せつけるように、慎吾の体内で自身の竿をぐり、と一回転させた。

「ん…ぅう…ッ!」

意識のない慎吾の体が、びくん、と大きく痙攣する。

「見ろ。この男の体は、私の雄を受け入れ、悦んでいるじゃないか。心など、後からついてくるものだよ」

「…違うッ!」

龍幻は吼えるように叫ぶと、最後の力を振り絞り、ソファから体を起こそうとした。しかし、薬の効果はまだ切れておらず、その体は再びぐにゃりと崩れ落ちる。

「無駄なことだ。君は、ただそこで見ていればいい。この子羊が、私の手によって快楽の化身へと生まれ変わる様をな。そして、いずれ君も、私の前で同じように喘ぐことになるのだから」

辰也はもはや龍幻に興味を失ったかのように、再び慎吾の体へと向き直った。そして、先ほどよりもさらに激しく、容赦のない腰の動きを再開する。二つの肉体がぶつかり合う生々しい音と、意識のない慎吾の苦しげな息遣いだけが、豪華なマンションの一室に響き渡った。

龍幻は、無力感に奥歯を噛み締めた。自分の言葉は、この男には届かない。そして、自分の体も、この男の前では無力だ。屈辱。後悔。そして、目の前で繰り広げられる背徳の光景に興奮してしまっている自分自身への、どうしようもない嫌悪。様々な感情が渦巻き、龍幻の意識は再び混濁していく。この悪夢のような夜は、まだ始まったばかりだった。

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慎吾が目を覚まし、今の状況に驚愕する。自分の身より先に龍幻の身を案ずる姿に辰也が嫉妬する。

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豪華なマンションの一室に、肉と肉がぶつかり合う生々しい音だけが響き渡っていた。龍幻はソファに沈んだまま、薬で痺れる体と、目の前で繰り広げられる背徳的な光景に興奮してしまう自分自身への嫌悪感で、意識を混濁させていた。辰也の支配は絶対的で、この悪夢から逃れる術はどこにもないように思われた。

辰也は、もはや龍幻の存在など忘れたかのように、ただひたすら慎吾の若く逞しい肉体を貪っていた。その腰の動きは暴力的で、まるで所有印を体の奥深くまで刻みつけるかのようだ。その激しい衝撃が、薬で深く眠らされていた慎吾の意識を、無理やり現実へと引き戻した。

「ん…ぅ…?」

慎吾の瞼が、かすかに震えた。朦朧とした意識の中、最初に感じたのは、体の中心を貫く熱い杭のような異物感と、全身を揺さぶる激しい衝動だった。何が起きているのか、理解が追いつかない。

ゆっくりと開かれた瞳に、見慣れない部屋の天井が映る。そして、自分の上に覆いかぶさり、獣のように腰を動かしているのが、尊敬する先輩である辰也だということに気づき、彼の思考は完全に停止した。

「た、つや、さん…?な、にを…ッ!あッ!」

驚愕の声を上げようとした瞬間、辰也がさらに深く腰を突き入れた。内臓を直接抉られるような衝撃に、慎吾の口からは悲鳴にも似た喘ぎ声が漏れる。パニックと恐怖で、彼の全身が硬直した。

だが、その混乱の極みの中で、慎吾の視界の端に、ソファでぐったりとしている龍幻の姿が映った。スーツは乱れ、その顔には苦悶の色が浮かんでいる。その姿を見た瞬間、慎吾の頭から自分自身の恐怖が吹き飛んだ。

「龍幻さんッ!大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

自分の体内で辰也の巨根が動いているのも構わず、慎吾は必死に龍幻へと手を伸ばし、声を張り上げた。自分の身に何が起きているかよりも、尊敬するもう一人の先輩の安否が、彼にとっては最優先事項だったのだ。

その健気な叫び声は、辰也の動きをぴたりと止めた。彼はゆっくりと慎吾の体から顔を上げると、その血走った目で、龍幻を気遣う慎吾の顔を睨みつけた。

「…ほう。この状況で、私ではなく、そいつを心配するか。大したものだな、慎吾君」

その低い声には、明らかな嫉妬の炎が燃え上がっていた。自分が手ずから「教育」してやっているというのに、その意識は別の男に向いている。辰也の歪んだプライドが、その事実を許さなかった。

「いいだろう。そんなにお望みなら、お前が見るべき男が誰なのか…その体に、二度と忘れられぬよう教えてやる」

辰也はそう言うと、慎吾の顎を鷲掴みにし、無理やり自分の方を向かせた。そして、先ほどまでとは比べ物にならないほど、乱暴で、容赦のないピストンを再開する。

「あ゛ッ!や、やめ…!たつや、さん…ッ!あ、ああああッ!」

「私の名だけを呼べ!お前の目は私だけを見て、お前の体は私の雄だけを感じていればいいんだ!」

嫉妬に狂った辰也の支配は、さらに暴力的になっていく。龍幻は、目の前で繰り広げられる光景に、怒りと、そして慎吾の健気な心に胸を打たれながらも、まだ動けない自分の体をただ呪うことしかできなかった。この地獄のような宴は、辰也の嫉妬によって、さらに混沌の度を深めていく。

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突如、マンションのインターホンが鳴り響く。辰也は舌打ちし、いったん動きを止めてモニターを確認する。予期せぬ来訪者が、この混沌とした状況を中断させる。(セックスはしない)

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嫉妬に狂った辰也の腰の動きは、もはや暴力と呼ぶにふさわしいものだった。慎吾はなすすべもなくその肉体を受け入れ、苦痛と、そして抗いがたい快感の狭間で喘ぎ声を上げ続けている。龍幻は、慎吾の健気な心を踏みにじる辰也への怒りと、薬で動けない自分への無力感に奥歯を噛み締めていた。この地獄のような宴は、辰也が飽きるまで終わらないかに思われた。

その、絶望的な空気を切り裂くように、けたたましい電子音が部屋に鳴り響いた。

ピーンポーン、ピーンポーン。

マンションのインターホンだった。予期せぬ来訪者の出現に、獣のように慎吾を貪っていた辰也の動きが、ぴたりと止まる。

「…チッ、誰だ、このタイミングで…」

辰也は忌々しげに舌打ちすると、慎吾の体からゆっくりと自身の竿を引き抜いた。その先端からは、二人の男の体液が混じり合ったものが、とろりと滴り落ちている。

辰也は乱れたワイシャツのまま、壁に取り付けられたモニターへと歩み寄った。その背中には、邪魔者を排除しようとする苛立ちがありありと浮かんでいる。慎吾は解放されたものの、まだ状況が飲み込めていないのか、呆然と開脚させられたままの姿で荒い息を繰り返していた。

モニターを覗き込んだ辰也の顔が、わずかに険しくなる。そこに映っていたのは、予想外の人物だったらしい。龍幻は、少しずつ痺れが切れ始め、指先が動かせるようになってきた自分の体に意識を集中させながら、辰也の次の行動を窺った。

「…面倒なことになったな」

辰也はそう呟くと、通話ボタンには触れず、振り返って龍幻と慎吾の姿を見やった。その目は、この混沌とした状況をどう収拾するか、高速で思考を巡らせている。

「龍幻君、君はそこの寝室に隠れていろ。慎吾君はバスルームだ。いいな、物音一つ立てるなよ」

その声は、有無を言わさぬ命令だった。慎吾はまだ呆然としていたが、龍幻はわずかに動くようになった腕で体を支え、ゆっくりと立ち上がろうと試みる。この来訪者は、この地獄から脱出するための、千載一遇のチャンスかもしれない。

「おっと、無駄な抵抗はしないことだ。君の薬が完全に切れるまで、まだ時間はかかる。ここで騒ぎを起こせば、君たちの社会的な立場がどうなるか…わかるだろう?」

辰也の脅しは的確だった。龍幻は悔しさに唇を噛み締めながらも、彼の指示に従うしかない。慎吾の腕を引き、彼をバスルームへと押し込むと、自らも寝室のドアへと向かった。

ドアが閉まる直前、龍幻は見た。辰也が、何事もなかったかのようにスーツのジャケットを羽織り、人の良い笑みを浮かべて玄関のドアを開けるのを。この混沌とした状況を中断させた来訪者は、一体誰なのか。そして、この後、事態はどこへ向かうのか。龍幻は、暗い寝室の中で息を潜め、固唾を飲んでその時を待つしかなかった。

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辰也は玄関を開ける。そこにいたのは、社長の宗十郎だった。「少々込み入った話をしたくてね」と笑う宗十郎はすべてお見通しで、龍幻たちを助けようと来てくれたのだ。

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暗い寝室の中、龍幻は壁に背を預け、息を潜めていた。薬で痺れていた体の感覚が、指先からゆっくりと、しかし確実に蘇ってくる。全身を駆け巡る血液の熱っぽさが、屈辱と、そして消し去ることのできない興奮の残り火を物語っていた。玄関の方から、二人の男の声が聞こえてくる。

「しゃ、社長…!どうして、こちらをご存知で…?」

「はっはっは、儂を誰だと思っているのかね、辰也君。君たちがどこで何をしていようと、儂の耳には入ってくるものだよ。…さて、少々込み入った話をしたくてね。立ち話もなんだろう、上がらせてもらうよ」

辰也の動揺しきった声と、それとは対照的な、宗十郎のどこまでも余裕綽々な声。その声には、有無を言わせぬ圧があった。龍幻は、辰也が抵抗できずに宗十郎を部屋に招き入れる気配を察した。

リビングから、宗十郎の革靴がフローリングを歩く音が聞こえる。続いて、彼が感心したように、しかしどこか皮肉を込めて呟く声が響いた。

「ほう、良い部屋だ。夜景も素晴らしい。…おや、ずいぶんと盛り上がっていたようだね。高級なシャンパンの香りと…そして、若い男たちの汗の匂いがする」

その言葉は、辰也の心を的確に抉っただろう。宗十郎はすべてを知っている。この部屋で何が行われていたのかを、完全に見抜いているのだ。

龍幻は、壁を伝いながら、ゆっくりと立ち上がった。まだ足元は覚束ないが、もはや隠れている意味はない。この状況を打開できるとすれば、それは社長である宗十郎の裁定以外にありえなかった。

「さて、辰也君。隠れている客人たちにも、そろそろ出てきてもらおうじゃないか。龍幻君、そして…バスルームの慎吾君もね」

その声が響き渡った瞬間、龍幻は寝室のドアを開けた。リビングの眩い光の中に、悠然とソファに腰掛ける宗十郎と、その前で顔面蒼白になって立ち尽くす辰也の姿が見える。

ほどなくして、バスルームのドアも恐る恐る開き、乱れたシャツのままの慎吾が、怯えた子犬のような目をして姿を現した。

「…ふむ。儂の目に狂いはなかったようだ。二人とも、実に『良い顔』になったじゃないか」

宗十郎は、三人の姿を満足げに見渡した。その視線は、まるで自分の所有物である駒の配置を確認するかのようだ。

「社長…これは、その…」

「言い訳はいい、辰也君。君のやり方は、少々乱暴が過ぎるな。儂の許可なく、儂の可愛い社員たちに手を出した。…この件、どう落とし前をつけるかね?」

その静かな問いかけは、どんな怒声よりも辰也を震え上がらせた。彼は観念したように、その場に膝から崩れ落ち、深く頭を垂れた。絶対的な権力者の前では、彼の老獪さも自信も、何の意味もなさない。

「…申し訳、ございません…」

「よろしい」

宗十郎はにこやかに言うと、立ち上がって龍幻と慎吾のそばへ歩み寄った。そして、二人の逞しい肩を、父親のような温かみのある手で、しかし力強く抱き寄せた。

「二人とも、怖い思いをしたな。だが、これもまた成長のための試練だ。…龍幻君、君のその目は気に入った。屈辱の中でも、決して折れぬ光を宿している」

宗十郎の囁きは、龍幻の心を直接揺さぶった。この男は、自分を助けに来た救世主なのか、それとも、辰也以上の、さらに狡猾な支配者なのか。

「さあ、今夜はもうお開きだ。二人を家まで送らせよう。…辰也君、君には後日、改めて儂の部屋で、ゆっくりと『話』を聞かせてもらうとしようか」

その言葉が、辰也にとっての地獄の宣告であることは、誰の目にも明らかだった。宗十郎に促され、龍幻と慎吾は、まだどこか夢見心地のまま、この悪夢の部屋を後にする。

ハイヤーの後部座席で、龍幻は窓の外を流れる夜景を見つめていた。隣では、慎吾がまだショックから立ち直れないのか、小さく体を震わせている。混沌とした夜は、社長である宗十郎という絶対的な存在によって、強制的に幕を下ろされた。しかし、龍幻は確信していた。これは終わりではない。辰也のゲームが終わり、宗十郎という男をプレイヤーに加えた、新たなゲームが始まったに過ぎないのだと。そしてそのゲーム盤の上で、自分は一体、どの駒の役割を担うことになるのか。底知れない期待と、わずかな恐怖が、龍幻の心を支配していた。

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慎吾を自宅まで送り届け、龍之介と同じ心の傷を負ってしまった慎吾の心に寄り添う。また、龍之介にも電話で連絡を取り来てくれるよう頼む。龍之介なら同じ傷を持つ慎吾の心を癒せるかもしれないと。

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ハイヤーが都心の喧騒を滑るように走り抜けていく。龍幻は、辰也のマンションで起きた悪夢のような出来事を反芻していた。窓の外のネオンが、まるで現実感を失った心象風景のように、ぼんやりと滲んで見えた。隣の席では、慎吾が膝の上で固く拳を握りしめ、小さな子供のように体を震わせている。

彼の心は、今、ずたずたに引き裂かれているだろう。尊敬していた先輩からの、一方的で暴力的な性の搾取。それは、かつて龍之介が受けた心の傷と、全く同じ種類のものだった。このまま彼を一人で家に帰すわけにはいかない。龍幻は、運転手に自分のマンションの住所ではなく、慎吾の家の最寄り駅を告げた。

「慎吾君、今夜は俺も君の家に泊めてもらう。一人にはしておけない」

「…龍幻、さん…でも…」

「いいから。君は何も悪くないんだ。今は、ただ休むことだけを考えろ」

龍幻の力強い言葉に、慎吾はこくりと頷くだけで、それ以上は何も言わなかった。

慎吾の部屋は、鍛え上げられた肉体を持つ男が住んでいるとは思えないほど、きれいに片付いていた。だが、部屋の主の心と同じように、今はただ静まり返っている。龍幻は慎吾をソファに座らせると、黙って温かいココアを淹れてやった。

湯気の立つマグカップを両手で包み込みながら、慎吾はぽつりと呟いた。

「俺…汚されちゃいました…辰也さんに…」

その声はか細く、今にも消えてしまいそうだった。龍幻は、彼の隣に腰を下ろし、その広い背中を優しく撫でる。

「君は汚れてなんかいない。悪いのは、全て辰也だ」

慰めの言葉は、しかし、今の彼には届かないだろう。同じ痛みを知る者でなければ、本当の意味で彼の心に寄り添うことはできない。龍幻はポケットからスマートフォンを取り出すと、一つの番号を呼び出した。

数コールの後、電話の向こうから、少し眠そうな、しかし聞き慣れた声がした。

「夜分にすまない、龍之介君。俺だ」

『龍幻さん!?どうしたんスか、こんな時間に…』

「頼みがある。今から、慎吾君の家まで来てくれないか。…君の力が必要なんだ」

龍幻の切迫した声に、龍之介は何かを察したようだった。詳しい事情は聞かず、「すぐ行きます」とだけ答え、電話は切れた。

それから三十分ほど経っただろうか。部屋のインターホンが鳴り、息を切らした龍之介が駆け込んできた。彼はリビングの惨状…ソファで虚ろな目をして座り込む慎吾と、その隣で険しい表情を浮かべる龍幻を見て、すべてを悟ったようだった。

「慎吾さん…」

龍之介は、そっと慎吾のそばに膝をついた。慎吾は、顔を上げようとしない。

「…辛かった、ッスよね。俺も…同じだったから。何も考えられなくなって、自分が自分でなくなるような…あの感じ、よくわかります」

龍之介の静かな告白に、慎吾の肩がびくりと震えた。彼はゆっくりと顔を上げ、驚いたように龍之介の顔を見つめる。

「龍之介君が…同じ…?」

「はい。でも、俺は…龍幻さんのおかげで、乗り越えられた。あれは屈辱なんかじゃなくて…快感なんだって、教えてもらったから。だから…慎吾さんも、大丈夫ッスよ」

龍之介は、そう言うと、慎吾の震える手を、両手で優しく包み込んだ。同じ傷を持つ者同士だけが分かり合える、特別な空気が二人の間に流れる。龍幻は、その光景をただ黙って見守っていた。

「でも…俺は…あんなに乱暴に…」

「じゃあ、俺が教えてあげます。本当のセックスが、どれだけ気持ちいいものなのか。龍幻さんが俺にしてくれたみたいに…今度は俺が、慎吾さんの心を、体ごと癒してあげますから」

龍之介の言葉には、不思議な説得力があった。それは、彼自身が地獄から生還した者だからこそ持てる、強さと優しさだった。慎吾の瞳に、ほんの少しだけ、光が戻ったように見えた。

龍幻は、二人の若く逞しい獣が、互いの傷を舐め合い、そして新たな関係を築こうとしているのを静かに見守っていた。辰也の起こした事件は、最悪の悲劇だった。だが、それは同時に、龍幻のゲーム盤に、新たな駒の動きを生み出すきっかけにもなっていたのだ。この夜、三人の男たちの絆は、歪んだ形で、しかしより強く結ばれようとしていた。

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龍之介に慎吾を抱かせ、その光景を目の前で見せつけることで、慎吾を完全に快楽堕ちさせると同時に、龍之介の支配者としての自分を再認識させる。

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龍之介の言葉は、静かだが確かな熱を帯びて、部屋の空気を震わせた。同じ痛みを知る者だけが放てる、魂の共鳴。慎吾の瞳に宿っていた絶望の闇に、小さな灯火がともるのを龍幻は見た。

だが、龍幻の心に芽生えたのは、純粋な安堵だけではなかった。それは、より黒く、歪んだ支配欲。辰也の暴力的な支配とは違う。心を掌握し、魂ごと屈服させた上で与える快楽。それこそが真の支配だと、この場で証明してやりたい。そして、その執行者となるのは、自分が手ずから調教した、この若く美しい獣、龍之介だ。

龍幻は、ソファに深く腰掛けたまま、静かに、しかし有無を言わせぬ響きで龍之介に命じた。

「龍之介。…俺がお前にしたように、今度は慎吾君にしてやれ。辰也に刻まれた屈辱の記憶を、お前の与える快感で、すべて上書きしてやるんだ。…俺は、そのすべてをここで見届ける」

その命令に、龍之介は一瞬だけ龍幻を見つめた。その瞳には、忠実な獣が主人に向ける絶対的な信頼と、これから始まる神聖な儀式への覚悟が宿っていた。彼は深く頷くと、再び慎吾へと向き直る。

「慎吾さん。…俺に、全部預けてください。大丈夫。絶対に、気持ちよくしてあげますから」

龍之介はそう言うと、慎吾の体を優しくソファに横たわらせた。慎吾は戸惑いながらも、その手つきに抗うことはない。龍幻という絶対的な支配者が見守る中、同じ傷を持つ龍之介に身を委ねるしかないという、諦めと、そして微かな期待が彼の心を支配していた。

龍之介の愛撫は、辰也のそれとは全く違っていた。乱暴に引き裂かれたシャツを丁寧に脱がせると、その下から現れた逞しくも美しい肉体を、まるで芸術品を愛でるかのように、その指先でそっと撫でる。

「…ッ!」

「すごい筋肉ッスね、慎吾さん。毎日、ちゃんと鍛えてるのがわかる。…辰也のやつは、こんな素晴らしい体を、傷つけることしかできなかったんスね」

龍之介は、慎吾の体を褒め称えながら、その厚い胸板にゆっくりと顔を埋めた。そして、汗の匂いを確かめるように深く息を吸い込むと、辰也に辱められたであろう乳首を、ペロリと舌先で舐め上げた。

「あ…ッ!ひ、ぁ…!や、そこは…!」

「大丈夫。俺は、優しくしかしないから。…ここ、気持ちいいでしょ?俺も、龍幻さんにこうされて…頭が真っ白になるくらい、感じたんスよ」

龍之介の舌は、執拗に、しかしどこまでも優しく慎吾の胸の突起を弄ぶ。辰也に抉られた時のような痛みはなく、ただ体の芯を蕩かすような、甘い快感だけが広がっていく。慎吾の口から、堪えきれない喘ぎ声が漏れ始めた。

龍幻は、その光景をソファから静かに見下ろしていた。自分の教えを忠実に実行する龍之介。その手によって、徐々に快楽の色に染まっていく慎吾。すべてが自分の筋書き通りに進んでいるという万能感が、龍幻の下腹部を熱くさせた。スーツのスラックスの中で、自身の雄がゆっくりと硬度を増していく。

龍之介の手は、慎吾のスラックスのベルトへと伸びた。

「慎吾さん。…辰也に無理やりこじ開けられた場所、俺がちゃんと、愛情で満たしてあげます。だから…もっと力を抜いて?」

その囁きは、もはや抵抗を許さない催眠術のようだった。慎吾はこくりと頷くと、自ら腰を浮かせて、龍之介がズボンを脱がしやすいように協力する。彼の心は、完全に龍之介に、いや、その背後にいる龍幻に支配されつつあった。

下半身を露わにされた慎吾の体は、辰也の暴行の痕跡もなく、ただ美しく引き締まっている。しかし、その後ろの入り口は、まだ固く閉じられたままだった。龍之介は、潤滑剤をたっぷりと手に取ると、そこに指を添えた。

「んん…ッ!りゅ、のすけ、くん…!」

「大丈夫。痛くしない。龍幻さんに教えてもらった、一番気持ちいいやり方で、慎吾さんをめちゃくちゃにしてあげる…」

龍之介はそう言うと、自らも服を脱ぎ捨て、その若く逞しい肉体を露わにする。そして、すでに熱く猛っている自身の竿を慎吾の眼前で扱くと、龍幻の方をちらりと見上げた。その目は、これから獲物を食らう獣のそれであり、同時に、主人に許可を求める忠犬のようでもあった。

龍幻は、無言のまま、顎で「続けろ」と合図する。その瞬間、龍之介は獰猛な笑みを浮かべると、慎吾の脚を大きく開き、その間にゆっくりと腰を沈めていった。二つの獣が、支配者の見守る中で、今、一つになろうとしていた。

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龍幻も加わり、慎吾の乳首を攻める。龍之介と二人で慎吾を前後から抱くことで、愛情を感じさせる。

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支配者の眼差しが、二匹の獣の交合を見守っていた。龍幻の命令を受け、龍之介はその若く逞しい肉体を慎吾の上に重ね、辰也によって刻まれた屈辱の記憶を、自らの雄で塗り替えようとしていた。慎吾は、同じ傷を持つ龍之介の優しさに身を委ね、抗うことをやめている。すべては、龍幻の描いた筋書き通りに進んでいた。

だが、龍幻はもはやただの観客ではいられなかった。目の前で繰り広げられる光景は、彼の腹の底に眠る支配欲を完全に目覚めさせ、スーツのスラックスをはち切れんばかりに押し上げている。この儀式を完成させるためには、自分自身も参加しなくてはならない。

龍幻は、音もなくソファから立ち上がると、二つの肉体が絡み合うすぐそばに膝をついた。その気配に気づいた龍之介が、汗ばんだ顔を上げて主人を見つめる。その瞳は、興奮で爛々と輝いていた。

「…龍之介、見事だ。だが、まだ足りない。慎吾君の体は、もっと快感を知りたがっている」

「はいッ!龍幻さん…!」

龍幻はそう言うと、龍之介がまだ触れていない、慎吾のもう片方の乳首に指を伸ばした。龍之介の優しい愛撫とは対照的に、龍幻の指は支配者のそれだった。親指と人差し指で突起を強く摘まみ、ねじるように刺激する。

「あ゛ッ!りゅ、龍幻さんまで…ッ!?」

「そうだ。龍之介の優しさと、俺の支配。その両方を、お前の体で同時に受け止めるんだ。辰也の暴力とは違う、本当の快感を教えてやる」

右からは龍之介の舌によるねっとりとした甘い愛撫、左からは龍幻の指による痛みすら伴う鋭い刺激。二方向から同時に与えられる快感の奔流に、慎吾の思考は完全にショートした。

「あ、ああッ!だめ、だめだめッ!おかしくなるッ!頭が、ぐちゃぐちゃに…ッ!」

「いいんスよ、慎吾さん。全部俺たちに任せて、気持ちいいことだけ考えてれば…」

龍之介はそう囁くと、たっぷりと潤滑剤をつけた自身の猛々しい竿を、慎吾の入り口にゆっくりと押し当てた。

「んんんッ…!は、入ってくる…龍之介君の、熱いのが…ッ!」

辰也に無理やりこじ開けられた時のような痛みはない。むしろ、同じ傷を持つ男の雄が、自分の内側を優しく押し広げていく感覚は、背徳的な安らぎすら感じさせた。

龍之介が慎吾の体と完全に結合したのを見届けると、龍幻は慎吾の前に回り込み、その体を正面から抱きしめた。

「…ッ!龍幻、さん…?」

「そうだ。俺が前から、龍之介が後ろから。お前を、俺たちの愛情で挟み込んでやる。もう、お前は一人じゃない」

龍幻の厚い胸板が、慎吾の汗ばんだ胸にぴったりと密着する。耳元で囁かれる低い声。背後からは、龍之介がゆっくりと腰を動かし始め、内側から確かな快感を送り込んでくる。前後から、二人の屈強な男に抱かれている。その事実は、慎吾の最後の理性を完全に吹き飛ばした。

「あ…ああッ!すごい…龍幻さんの匂いと、龍之介君のチンポで…俺、俺…ッ!」

「慎吾さん、すごい締まりだ…ッ!気持ちいい…!」

「そうだ、慎吾。もっと感じろ。これは暴力じゃない。お前を快楽で堕とすための、俺たちの愛情だ」

龍幻はそう言うと、慎吾の唇を深く塞いだ。背後では龍之介が力強く腰を突き上げ、慎吾の体内で確かな存在感を主張する。慎吾は、龍幻とのディープキスに溺れながら、龍之介に内側から突き上げられる強烈な快感に、ただ身を捩らせることしかできなかった。

辰也に受けた屈辱の記憶は、もはやどこか遠い世界の出来事のようだった。今、彼の全身を支配しているのは、二人の男によって与えられる、どこまでも甘く、背徳的な快感の波だけ。慎吾の心も体も、龍幻という支配者の前で、今、完全に堕ちようとしていた。

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今夜はここまでだと龍幻が宣言し、三人で体を寄せ合って眠ることにする。翌朝、今後の三人の関係について話し合うことを約束する。(セックスはしない)

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三つの肉体が、一つの獣のように絡み合っていた。龍幻の支配、龍之介の優しさ、その両方を前後から注ぎ込まれ、慎吾の理性は完全に溶解し、ただ快感の波に身を委ねるだけの存在と化していた。彼の口からは、もはや言葉にならない甘い喘ぎ声が絶え間なく漏れ続けている。

「慎吾さん…ッ!もう、ダメだ…俺、出そう…ッ!」

「俺も限界だ…慎吾、お前の奥で、龍之介と同時に果てる…!」

「ああッ!きて…!龍幻さんのも、龍之介くんのも、ぜんぶ…俺の中にくださいぃッ!」

慎吾が快楽に涙しながら叫んだ瞬間、三人の男の体は同時に大きく痙攣した。龍之介が慎吾の体内で灼熱の精をほとばしらせ、龍幻は慎吾との濃厚な口づけの最中、その奥へと自身のすべてを注ぎ込む。三つの魂が、快感の絶頂で一つに溶け合った。

長い射精が終わり、部屋には三人の男の荒い息遣いと、むせ返るような精液の匂いだけが満ちていた。龍之介は慎吾の背中にぐったりと体を預け、龍幻は慎吾を抱きしめたまま、その額に滲んだ汗を優しく拭う。誰もが、心と体のすべてを使い果たしていた。

龍幻は、二つの若く逞しい肉体の温もりを感じながら、静かに宣言した。

「…今夜は、もうここまでだ」

その声には、絶対的な支配者の威厳と、同時に、疲れ果てた獣たちを労るような父親のような優しさが宿っていた。龍之介と慎吾は、こくりと頷くだけで、もう言葉を発する力も残っていないようだった。

龍幻は、まず慎吾の体を清めてやった。辰也に乱暴に扱われた場所を、今度は慈しむように丁寧に拭い、その傷ついた心ごと癒していく。次に、龍之介の体を拭き、その献身的な奉仕を労った。

そして、三人は一つのベッドに川の字になって横たわった。シングルベッドには窮屈だったが、その密着感が、かえって三人の間に生まれた新たな絆を確かめるようだった。中央に慎吾を寝かせ、龍幻と龍之介がその両脇を固める。もう誰も、この男を傷つけることはできない、とでも言うように。

慎吾は、両側から伝わる屈強な男たちの体温と、規則正しい心音に包まれながら、いつの間にか穏やかな寝息を立て始めていた。その寝顔には、もう絶望の色はない。

龍幻は、暗闇の中で隣に眠る龍之介に、そっと囁いた。

「龍之介。よくやってくれた。お前のおかげで、慎吾は救われた」

「…龍幻さんが、俺を救ってくれたから…俺も、誰かを救いたかっただけッスよ」

その言葉は、龍幻の胸を熱くした。自分の歪んだ支配欲から始まったゲームは、いつしか、傷ついた魂が互いを癒し合う、奇妙な共同体を生み出していた。

「…明日、目が覚めたら、これからのことを話そう。俺たち三人が、どういう関係でいるべきか」

「…はい」

龍之介の短い返事には、龍幻への絶対的な信頼がこもっていた。龍幻は、二人の若く逞しい獣をその腕の中に抱きながら、静かに目を閉じた。辰也、宗十郎、そしてまだ見ぬ男たち。ゲームはまだ終わらない。だが、今の自分には、この上なく頼もしい二人の共犯者がいる。龍幻は、これから始まるであろう新たな混沌の日々を思い、口元に静かな笑みを浮かべるのだった。

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龍之介と慎吾が、龍幻に「恩返し」をしたいと申し出る。二人がかりの奉仕に、龍幻はなすすべもなく快感に堕とされ、射精させられる。

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穏やかな朝の光が、三つの筋肉質な肉体が絡み合うベッドを照らし出していた。龍幻は、両脇で安らかな寝息を立てる二人の若く逞しい獣たちの重みと温もりを感じながら、ゆっくりと意識を浮上させた。昨夜の混沌とした出来事が、夢ではなかったことを肌で感じる。

最初に身じろぎしたのは、慎吾だった。彼はゆっくりと瞼を開くと、自分が龍幻と龍之介に挟まれて眠っていることに気づき、頬を赤く染めた。だが、その表情に昨夜のような絶望の色はない。むしろ、守られているという安心感が浮かんでいた。

「おはよう、ございます…龍幻さん、龍之介君…」

「おはようッス、慎吾さん。よく眠れましたか?」

龍之介も目を覚まし、優しい声で尋ねる。三人の間には、昨夜の濃密な交わりを経て生まれた、奇妙で、しかし確かな連帯感が流れていた。

龍幻が体を起こすと、龍之介と慎吾もそれに倣った。そして、二人はまるで示し合わせたかのように、ベッドの上で龍幻に向かって深々と頭を下げた。

「龍幻さん。昨日は、ありがとうございました。俺たち、龍幻さんのおかげで救われました」

「はい。このご恩は、絶対に忘れません」

その真摯な態度に、龍幻は静かに頷いた。だが、二人の言葉はそれだけでは終わらなかった。

「だから…その、恩返しがしたいんです。俺と慎吾さんで…龍幻さんを、めちゃくちゃに気持ちよくさせてあげたい」

「俺たちを救ってくれた、龍幻さんの雄チンポに…奉仕させてください…!」

その申し出は、龍幻にとって完全に予想外だった。自分が支配し、救ってやったはずの獣たちが、今度は自分を悦ばせたいと、その瞳を欲望に潤ませて懇願してきている。その健気で、しかし淫らな申し出に、龍幻の下腹部で眠っていた雄が、ゆっくりと熱を帯び始めた。

「…お前たち、自分が何を言っているのか、わかっているのか?」

「はい。俺たちは、もう龍幻さんのものですから。主人が気持ちよくなるのは、当然のことッスよね?」

龍之介はそう言うと、慎吾に目配せした。二人は、龍幻の返事を待たずに行動を開始する。龍幻の逞しい体の両脇に陣取ると、まるで神に祈りを捧げるかのように、その肉体に触れ始めた。

「…ッ!おい、待て…」

龍幻が制止する間もなく、慎吾の手が龍幻の厚い胸板を優しく撫で、その指先が胸の突起を探り当てる。同時に、龍之介の手は龍幻の逞しい太腿をゆっくりと揉みほぐし、その指は徐々に内側へと、敏感な部分へと進んでいく。

「龍幻さんの体…すごい…岩みたいに硬いのに、あったかいです…」

「この脚が、俺たちを導いてくれたんスよね…。感謝しないと…」

二人がかりの、丁寧で、どこまでも献身的な愛撫。龍幻は、今まで自分が他人に与える側でしか知らなかった快感が、自分の体を内側から蕩かしていくのを感じていた。抵抗する意志は、瞬く間に快楽の波に呑み込まれていく。

龍幻の雄は、もはや隠しようもなく猛々しく勃ち上がっていた。その姿を認めると、龍之介と慎吾は顔を見合わせ、満足げに微笑んだ。

「準備、できたみたいッスね」

「じゃあ…いただきます」

二人は同時に龍幻の股間へと顔を埋めた。龍之介が、その太く硬い竿を根元から先端まで、まるで味わうかのようにぺろりと舐め上げる。慎吾は、竿の下にぶら下がる二つの重い金玉を、その温かい口で優しく包み込んだ。

「ああ…ッ!お前たち…なんてことを…!」

前後左右、あらゆる角度から同時に与えられる、濃厚な奉仕。片方は竿をしゃぶり、片方は金玉をしゃぶる。その背徳的で巧みな連携プレーに、龍幻はなすすべもなく快感に堕とされていった。

龍之介が、龍幻に教わった通りに舌を使い、竿の裏筋を執拗に攻め立てる。その度に、龍幻の腰がびくん、と大きく跳ねた。慎吾は、金玉をしゃぶりながら、空いた手で龍幻の内腿を優しく撫で続け、逃げ場のない快感で彼を追い詰めていく。

「ダメだ…!そんなにされたら…すぐにイッちまう…ッ!」

「いいんですよ、龍幻さん。俺たちが、龍幻さんの全部、受け止めてあげますから…」

「龍幻さんの濃いの…俺たちの口の中に、いっぱいください…!」

二人の淫らな囁きが、龍幻の理性の最後の砦を破壊した。支配者であるはずの自分が、手ずから調教した二匹の獣によって、快楽の絶頂へと導かれている。その倒錯した事実に、龍幻の脳髄は焼き切れそうだった。

「うおおおおおッ!出る…!お前たちの口に、出るぞォッ!」

龍幻の体が大きくしなり、腹の底から灼熱のマグマがほとばしる。龍之介と慎吾は、そのすべてを、一滴残らず受け止めるように、必死にその口で吸い尽くした。絶対的な支配者が、愛する獣たちの前で無様に果てる。それは、三人の間に生まれた新たな関係性を象徴する、神聖な儀式でもあった。

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辰也の件を報告しに来た剛が、三人のただならぬ関係を目撃してしまう。龍幻に「俺も仲間に入れてください」と懇願し、四人での背徳的な関係が始まる。

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絶対的な支配者であるはずの龍幻が、手ずから調教した二匹の若く美しい獣たちの前で、無様に快楽のままに果てさせられる。その背徳的な儀式が終わった後、ベッドの上には濃厚な精液の匂いと、三人の男の荒い息遣いだけが残されていた。龍幻は、もはや指一本動かすこともできず、ただ恍惚とした倦怠感に身を委ねていた。

龍之介と慎吾は、龍幻のすべてを受け止めた後、その口元についた白濁を互いの舌で拭い合い、まるで戦果を分かち合うかのように微笑み合った。そして、疲れ果てた主人の体を労わるように、その両脇で再び静かに横になる。

三つの肉体が再び一つの塊となり、穏やかな時間が流れようとしていた、その時だった。ピーンポーン、と無機質なインターホンの音が、静寂を破った。

龍幻の全身に、緊張が走る。まさか、辰也か、あるいは宗十郎が、この場所を突き止めたというのか。龍之介と慎吾も、弾かれたように体を起こし、互いに顔を見合わせた。

「…誰だ?」

「わかりません…俺、誰も呼んでないです…」

三人は息を殺し、玄関の方へと意識を集中させる。インターホンは、一度きり鳴っただけで、それ以上は沈黙を守っていた。だが、その沈黙がかえって不気味だった。

数秒後、ガチャリ、とドアノブが回る音がした。鍵はかかっているはずだ。しかし、次の瞬間、カチリと軽い音がして、ドアがゆっくりと開かれた。合鍵。この部屋の合鍵を持つ人物。

リビングに、がっしりとした体躯の男が姿を現した。それは、開発部の、あの真面目な先輩、剛だった。

剛は、手にした合鍵を握りしめたまま、その場に立ち尽くしていた。彼の視線の先にあるのは、ベッドの上で裸のまま絡み合う、三人の男の姿。その目は、信じられないものを見たかのように、大きく見開かれていた。

「りゅ、龍幻さん…?龍之介君に…慎吾君まで…。これは、一体…」

剛は、辰也の件を龍幻に報告するために、昨夜から何度も連絡を取ろうとしていた。しかし、一向に連絡がつかないため、心配になって以前「何かあった時のために」と半ば強引に渡されていた慎吾の部屋の合鍵を使って、様子を見に来たのだ。

龍幻は、ゆっくりとベッドから降り、乱れた衣服を整えながら剛の前に立った。その表情に、動揺の色はない。むしろ、この予期せぬ来訪者を、新たなゲームの駒としてどう動かすか、その思考が始まっていた。

「見ての通りだ、剛君。…君も、こちら側に来る覚悟はできたか?」

その問いは、あまりにも直接的で、そして有無を言わさぬ響きを持っていた。剛は、ベッドの上で挑発的な視線を送ってくる龍之介と、恥ずかしそうにシーツで体を隠す慎吾、そして目の前で絶対的な支配者として君臨する龍幻の姿を、順番に見つめた。

資料室での、龍之介との濃密な記憶が蘇る。龍幻への忠誠を誓ったはずの自分が、その命令を逸脱して欲望のままに後輩を貪った罪悪感。そして、この三人の間に流れる、自分だけが疎外されているかのような、甘く背徳的な空気。嫉妬と、そして抗いがたい欲望が、剛の心を支配した。

剛は、その場にゆっくりと膝をつくと、まるで王に許しを乞う騎士のように、龍幻を見上げた。

「龍幻さん…。俺も、仲間に入れてください。…俺も、あんたの『所有物』になりたい」

その懇願は、剛の魂からの叫びだった。龍幻は、その忠誠心に満足げに頷くと、龍之介と慎吾を手招きした。

「ならば、その覚悟を見せてもらおうか。お前たち、新しい仲間を歓迎してやれ」

龍之介と慎吾は、喜々としてベッドから降り立つと、膝をついたままの剛を、まるで獲物をいたぶるかのように取り囲んだ。四人での、新たな背徳の宴が、今、始まろうとしていた。

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四人は入り乱れ、互いの肉体を貪り合う。龍幻は、三人の男たちに前後から同時に奉仕され、王としての絶頂を迎える。

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龍幻の命令は、絶対だった。それは、この部屋にいる全ての者を支配する、王の勅命。龍之介と慎吾は、恍惚とした表情で頷き合うと、床に膝をついたままの剛を、まるで獲物を品定めするかのように取り囲んだ。

剛は、二人の後輩から注がれる、粘つくような視線に身を固くした。先輩としてのプライドが、この屈辱的な状況に抵抗しようとする。しかし、龍幻という絶対的な支配者の前では、それも無意味だった。

「剛さん。…覚悟、できたんスよね?」

「俺たちみたいに…龍幻さんのものになる覚悟…」

二人の声は、甘く、そして残酷に響く。龍之介の手が、剛のスーツのジャケットにかけられ、ゆっくりと剥ぎ取られていく。続いて、慎吾がネクタイを乱暴に引き抜き、シャツのボタンを一つ、また一つと外していく。

「…ッ!お前たち…!」

露わになった剛の厚い胸板を、二人の後輩の手が、まるで検査するかのように撫で回す。龍之介は、資料室で自分がされたように、その乳首を指で強く弾いた。

「あ…ッ!」

「へぇ、剛さんもここ、弱いんスね。やっぱり、鍛えてる男はみんな同じなのかな」

「すごい筋肉…!でも、龍幻さんの命令なら、この体も俺たちの好きにしていいんですよね…?」

後輩たちによる、無邪気で、だからこそ残酷な言葉責め。剛のプライドは、快感と共に少しずつ削り取られていく。

やがて三人の男たちは、龍幻が見守るベッドの上で、一つの塊となって絡み合った。龍之介が剛の口を塞ぎ、慎吾がその逞しい下半身を弄ぶ。剛は、屈辱と背徳の快感に、なすすべもなく堕とされていった。

その光景を玉座から見下ろすように眺めていた龍幻も、もはや我慢の限界だった。彼は自らも衣服を脱ぎ捨てると、三つの肉体が蠢くその輪の中へと、王の帰還のように加わった。

四つの筋肉質な肉体が、入り乱れる。誰の汗なのか、誰の喘ぎ声なのか。境界線は曖昧になり、部屋はただ、雄たちの熱と欲望だけで満たされていった。慎吾が龍幻の竿をしゃぶり、龍之介が剛の尻を舐め、剛が慎吾の金玉を弄ぶ。背徳の輪は、どこまでも回り続ける。

一通り互いの肉体を貪り合った後、三匹の獣は、まるで示し合わせたかのように、その欲望の矛先を絶対的な支配者である龍幻へと向けた。

「龍幻さん…今度は、俺たちが、あんたに奉仕する番ッスよ」

「俺たちをめちゃくちゃにした、龍幻さんの雄チンポに…恩返しさせてください」

「あんたの『所有物』として…俺のすべてを捧げます」

龍幻は、その忠誠心に満足げに頷くと、ベッドの中央に王のように仰向けになった。三人の男たちが、その肉体の周りに集う。これから始まるのは、王に捧げられる、最高にして最上の奉仕だった。

龍之介が、その太く猛々しい竿を、根元から丁寧にしゃぶり上げる。慎吾が、二つの重い金玉を、その無垢な口で包み込む。そして剛が、龍幻の胸の突起を舐めながら、その逞しい体をマッサージするように愛撫し続けた。

「ああ…ッ!そうだ…そこだ…!三方向から同時に攻められると、こんなにも気持ちいいものなのか…!」

竿をしゃぶられ、金玉を吸われ、全身を愛撫される。逃げ場のない、完璧な快感の包囲網。絶対的な支配者であるはずの龍幻が、今、三匹の獣たちによって、ただの快楽を求める肉の器へと変えられていく。

龍之介の舌が、巧みに竿の裏筋を抉る。慎吾の口が、金玉を吸い上げながら、時折歯を立てて甘噛みしてくる。剛の指が、龍幻の前立腺を、内腿の付け根から的確に刺激する。

「やめ…ろ…ッ!そんなことされたら、俺は…俺でなくなっちまう…!」

「いいんですよ、龍幻さん。俺たちの前では、ただのスケベな雄でいてください」

「あんたが俺たちを堕としたみたいに…今度は俺たちが、あんたを堕としてあげる…!」

「さあ、王よ…我々に、あなたのすべてをお与えください…!」

三人の淫らな囁きが、龍幻の理性を完全に焼き切った。王としての威厳も、支配者としてのプライドも、この圧倒的な快感の前では無力だった。

「うおおおおおッ!イグッ!お前たちの顔に、ぶちまけてやるぅうううッ!」

龍幻の体が大きくしなり、王の権威の象徴とも言える、濃厚で熱い精液が、三人の男たちの顔と体に、まるで祝福を与えるかのように降り注いだ。三匹の獣は、そのすべてを、恍惚とした表情で浴び続ける。絶対的な支配者が、忠実な僕たちの前で無様に果てる。それは、四人の間に生まれた、歪で、しかし確固たる主従関係が完成した瞬間だった。

疲れ果てた四つの肉体は、やがて一つの塊となって、静かな眠りに落ちていった。龍幻のゲームは、新たな共犯者たちを加え、さらに予測不可能な領域へと突入していく。

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解散する前に、三人へお願いをする「俺は王でも支配者でもない、ただ君たちが愛おしいだけだ、主従のような扱いはやめてくれ」と。それを聞き三人は顔を見合わせクスッと笑いあう。

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四つの筋肉質な肉体が絡み合い、互いのすべてを貪り尽くした後の静寂。ベッドの上には、濃厚な雄の匂いと、満足しきった獣たちの穏やかな寝息だけが満ちていた。朝の光がゆっくりと部屋を白ませ始め、龍幻は現実へと意識を引き戻される。

両腕の中には、龍之介と慎吾の温かい体。床に目をやれば、剛がブランケット一枚で雑魚寝している。昨夜の出来事は夢ではない。王として君臨し、三匹の忠実な獣たちにすべてを捧げさせ、そして自分もまた、彼らにすべてを捧げた。その記憶は、龍幻の体の芯に、まだ熱い痺れとなって残っていた。

やがて、龍幻が身じろぎした気配で、三人の男たちも次々と目を覚ました。彼らは一様に、昨夜の支配者である龍幻の顔色を窺うように見つめる。そして、まるで示し合わせたかのように、ベッドの上や床の上から、龍幻に向かって深く頭を下げた。

「おはようございます。我が主よ」

「昨夜は…ありがとうございました」

「本日のご命令を…」

そのあまりに恭しい態度に、龍幻は思わず苦笑した。この主従関係は、確かに背徳的で興奮するものだ。だが、自分が本当に望んでいたのは、これだったのだろうか。

帰り支度を整え、三人が玄関のドアに手をかけた、その時だった。

「待ってくれ」

龍幻の静かだが、有無を言わさぬ声に、三人はびくりと肩を震わせて振り返った。龍幻は、一人一人の顔を真っ直ぐに見つめながら、ゆっくりと、しかしはっきりと告げた。

「俺は、お前たちの王でも支配者でもない。ただ…君たちが、愛おしいだけだ。だから、そんな主従のような扱いはやめてくれ」

それは、龍幻の偽らざる本心だった。彼らを支配したいという欲望は確かにある。だが、それ以上に、傷ついた彼らの魂ごと、その逞しい肉体ごと、対等な存在として愛したいという気持ちが、今は勝っていた。

龍幻の真摯な告白に、三人は一瞬、きょとんとした顔で互いを見合わせた。沈黙が流れる。龍幻は、自分の言葉が彼らを混乱させてしまったのかと、わずかに不安になった。

しかし、次の瞬間。誰からともなく、くすり、と笑い声が漏れた。それはやがて、抑えきれないといった様子の、明るい笑い声へと変わっていく。

「ぷっ…あはは!何言ってるんスか、龍幻さん。真面目な顔して」

「そうですよ。俺たちがやりたくてやってることなのに。だって、龍幻さんに尽くしてる時が、一番興奮するんですから」

「ええ。あなたに身も心も捧げることが、我々にとっての悦びなんです。それを『対等』と呼ぶなら、それでも構いませんがね」

三人の答えは、龍幻の予想を遥かに超えていた。彼らにとって、龍幻への奉仕は、屈辱や義務などではない。歪んでいるかもしれないが、それは紛れもない愛情表現であり、彼ら自身の悦びでもあったのだ。

「…そうか。…敵わないな、お前たちには」

龍幻は、観念したように笑った。そして、三人の逞しい肩を、それぞれ力強く叩く。

「なら、好きにしろ。ただし、お前たちも俺に遠慮するな。俺たちの関係は、どこまでも対等だ。いいな?」

「はいッ!」

「もちろんです!」

「承知いたしました」

こうして、四人の男たちの奇妙な共犯関係は、「対等な主従関係」という、さらに倒錯した絆で結ばれることになった。

月曜の朝。オフィスは何事もなかったかのように、日常の顔をしていた。しかし、四人の男たちの間には、目に見えない熱い糸が張り巡らされている。すれ違いざまに交わされる視線、コピー機の前で偶然触れ合う指先。その一つ一つが、彼らだけの秘密の合図だった。

昼休み、営業部が少しざわついていることに龍幻は気づいた。辰也が、無断で会社を休んでいるらしい。誰もが訝しんでいるが、その理由を知る龍幻は、ただ静かにその噂を聞いていた。宗十郎による「処罰」が、すでに下されたのだ。

辰也という駒は、盤上から取り除かれた。だが、ゲームは終わらない。宗十郎、そしてまだ牙を隠しているであろうジムマネージャーの大悟。新たなプレイヤーたちの存在が、龍幻の心を昂らせていた。

午後の業務中、内線電話が鳴った。ディスプレイに表示された名前を見て、龍幻は静かに口角を上げた。

『社長室』。

「龍幻君かね。少し、いいかな」

その声は、全てを知る者の、揺るぎない響きを持っていた。龍幻は、新たなゲームの始まりを確信し、ゆっくりと受話器を置くと、静かに立ち上がった。

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社長室で、辰也がプロジェクト資金を横領していたことが告げられる。宗十郎から、辰也の後任として営業部の管理の一部を任され、内部調査を命じられる。(セックスはしない)

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内線電話の受話器を置いた龍幻の指先は、微かに震えていた。それは恐怖からではない。これから始まる新たなゲームへの、武者震いだった。宗十郎。この会社の絶対的な王が、自分を名指しで呼び出している。辰也の件で、一体何を語るというのか。

龍幻は静かに立ち上がると、動揺を悟られぬよう、ゆっくりとした足取りで社長室へと向かった。総務部のフロアを抜け、役員専用の廊下を進む。磨き上げられた大理石の床に、自分の革靴の音だけが冷たく響いた。廊下の突き当たりにある、重厚なマホガニーの扉。龍幻は一度、短く息を吸い込むと、その扉をノックした。

「入りたまえ」

中から聞こえたのは、どこまでも落ち着いた、しかし有無を言わさぬ低い声だった。

龍幻が部屋に足を踏み入れると、高級な革とシガーの香りが鼻腔をくすぐった。部屋の奥、大きなデスクに悠然と腰を下ろした宗十郎が、人の良さそうな笑みを浮かべて龍幻を迎える。しかし、そのラウンド髭に縁取られた口元とは裏腹に、瞳の奥にはすべてを見透かすような、冷徹な光が宿っていた。

「急に呼び立ててすまなかったね、龍幻君。まあ、まずはそこに掛けたまえ」

「失礼します」

龍幻は、デスクの前に置かれた革張りのソファに深く腰を下ろした。宗十郎は、指に挟んだシガーをゆっくりと燻らせながら、本題を切り出す。その口調は、まるで天気の話でもするかのように、ひどく穏やかだった。

「辰也君のことだがね。君も噂は聞いているだろう。彼が会社を無断で休んでいる理由…実は、プロジェクト資金の横領が発覚してね。今朝、本人も事実を認めた。まあ、儂の会社から金を盗むとは、随分と度胸のある男だったよ」

淡々と語られる衝撃の事実。辰也の失脚は、単なる社内の色恋沙汰などではなかった。宗十郎は、彼の罪を白日の下に晒し、ビジネス上の問題として、冷徹に処理したのだ。

「…そうだったのですか」

「うむ。それでだ、龍幻君。辰也君が抜けた穴は大きい。営業部は今、混乱しているだろう。そこで、君に白羽の矢を立てさせてもらった」

宗十郎は、シガーの灰を灰皿に落とすと、その鋭い目で真っ直ぐに龍幻を射抜いた。

「君に、辰也の後任として、営業部の管理の一部を任せたい。総務部の君に頼むのは異例の人事だが、君のその冷静な判断力と、人を見る目を見込んでのことだ。これは、儂からの信頼の証だと思ってくれたまえ」

その言葉は、龍幻にとって破格の提案だった。だが、同時に、これは宗十郎からのテストでもあることを、龍幻は本能で理解した。この男は、自分を試しているのだ。

「…身に余る光栄です。謹んで、お受けいたします」

「よろしい。話が早くて助かる」

宗十郎は満足げに頷くと、身を乗り出し、声を潜めた。その目は、共犯者に密命を告げる者のそれだった。

「そして、君に頼みたいのは、単なる管理だけではない。…内部調査だ。辰也の横領に、他の協力者がいなかったか。営業部の中に、まだ膿が残っていないか。君のその目で、隅々まで探り出してほしい。そのためなら、多少強引な手法も許可しよう」

内部調査。それは、龍幻に社内での絶対的な権限を与えるに等しかった。宗十郎は、龍幻を自らの忠実な猟犬として、社内に放とうとしているのだ。辰也の件で龍幻が抱いた個人的な感情すらも、すべて計算に入れた上で。

「…承知いたしました。必ずや、社長のご期待に応えてみせます」

龍幻は、込み上げてくる興奮を抑え、深く頭を下げた。この男のゲーム盤の上で、自分はただの駒ではない。王の懐刀として、他の駒を自由に動かすことのできる、強力なプレイヤーとしての役割を与えられたのだ。

社長室を後にした龍幻の足取りは、来た時とは比べ物にならないほど力強かった。自席に戻ると、彼は誰にも気づかれぬよう、口元に獰猛な笑みを浮かべる。

新たな権限。そして、内部調査という大義名分。これを使えば、今まで以上に自由に、そして大胆に、社内の男たちを調べ上げることができる。辰也と親しかった者は誰か。金の流れに不審な点はないか。そして、その調査の過程で、彼らの肉体を、魂を、隅々まで検査することも可能になるだろう。

龍幻の視線が、営業部のフロアへと注がれる。そこには、まだ何も知らずに業務に励む、新たな獲物たちの姿があった。彼のゲームは、宗十郎という最強の後援者を得て、さらに危険で、そして甘美なステージへと移行しようとしていた。

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まずは情報を集めるため、辰也が残したパソコンのデータや書類を徹底的に洗い直す。その過程で、彼が頻繁に密会していた取引先の男の存在を突き止める。(セックスはしない)

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社長室を出た龍幻の心は、新たな権限を与えられたことへの高揚感と、宗十郎という男の底知れなさに対する微かな畏怖とで満ちていた。内部調査という大義名分。それは、この会社の男たちのすべてを、合法的に、そして徹底的に調べ上げるための最強の武器だった。

自席に戻った龍幻は、すぐに行動を開始した。まずは、全ての元凶である辰也の残したデジタル・フットプリントを辿ることからだ。総務部としての権限を使い、社内サーバーに残された辰也のPCのバックアップデータへのアクセスを申請する。理由は「辰也担当プロジェクトの引き継ぎのため」。誰にも怪しまれることはない。

深夜、ほとんどの社員が帰宅し、静まり返ったオフィス。龍幻は一人、辰也が使っていたデスクの前に座っていた。電源を入れると、見慣れたデスクトップ画面が現れる。その壁紙は、辰也が所属していたボディビルチームの集合写真だった。筋肉質な男たちが、オイルで光る肉体を誇示するようにポーズを決めている。龍幻は、その写真の中に、辰也の欲望の根源を見るような気がした。

龍幻は、冷静に、そして methodical にデータを洗い始めた。メールの送受信履歴、スケジュール帳、経費精算の記録、そしてプライベートなフォルダと思しき場所に隠されたファイル。辰也という男は、見かけによらず几帳面だった。その几帳面さが、彼の不正の証拠を克明に残していた。

架空の接待費、水増しされた出張費。横領の手口は古典的だったが、その額は龍幻の想像を遥かに超えていた。そして、その金の流れを追っていくうちに、龍幻はある一つの名前に頻繁に行き当たることに気づいた。

『株式会社ハイマウント・トレーディング、担当:大和猛』

取引先の一社。筋力トレーニング用のサプリメントや海外製の器具を卸している会社だ。辰也のスケジュールには、週に一度、時には二度、この大和猛という男と「打ち合わせ」という名目で会っていた記録が残されている。だが、その打ち合わせ場所は、決まって会社近くの高級ホテルだった。

龍幻は、さらに深く掘り下げていく。そして、ついに隠しフォルダの奥深くから、決定的なファイルを見つけ出した。それは、辰也が個人的に撮影したであろう、数枚の写真データだった。

写真に写っていたのは、ホテの一室と思われる場所で、バスローブ一枚の姿でソファに寛ぐ、辰也と、そしてもう一人の男。その男は、四十代半ばだろうか。短く刈り込んだ髪、日に焼けた肌、そして、バスローブの上からでもわかるほどの、分厚い胸板と太い腕。まるで、獰猛な熊のような体躯の男だった。その男こそが、大和猛なのだろう。

二人は、親密そうに肩を組み、グラスを掲げている。その表情は、単なるビジネスパートナーのそれではない。共犯者の、そしてそれ以上の、肉体関係を匂わせるような濃密な空気が、写真から滲み出ていた。

(こいつか…)

龍幻は、ディスプレイに映る大和猛という男の顔を、脳裏に焼き付けた。辰也の横領の共犯者である可能性が極めて高い。そして、辰也が失脚した今、この男が次に接触してくるのは、後任である自分かもしれない。

龍幻は、必要なデータを全て自身の端末にコピーすると、何事もなかったかのようにPCの電源を落とした。外は、すでに白み始めている。新たな獲物の存在を突き止めた興奮が、徹夜の疲労を忘れさせていた。

この大和猛という男は、一体何者なのか。辰也と同じように、男の肉体を求める男なのか。そして、彼の背後には、さらに大きな組織が関わっているのか。内部調査は、龍幻の予想を超えて、危険で、そして甘美な領域へと足を踏み入れようとしていた。龍幻は、スーツの下で疼き始めた自身の雄を感じながら、静かに口元を吊り上げた。

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大和猛に揺さぶりをかけるため、あえて龍之介を伴って彼の会社を訪れる。若い獣である龍之介の肉体を見せつけ、大和猛がどんな反応を示すか観察する。

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徹夜明けのオフィスは、朝日が差し込み、新しい一日が始まったことを告げていた。龍幻は、辰也のデスクから自席に戻ると、コピーしたばかりのデータを前に深く息を吐いた。大和猛。辰也の共犯者であり、肉体関係の相手でもあったであろう、熊のような男。新たな獲物の発見は、龍幻の疲労した体に、危険な活力を与えていた。

この男に、どう揺さぶりをかけるか。正攻法で接触しても、尻尾を掴ませるような相手ではないだろう。ならば、こちらも獲物をぶら下げて、相手の欲望を直接刺激するしかない。龍幻は内線電話の受話器を取り、開発部の番号をプッシュした。

呼び出したのは、もはや彼の忠実な獣となった龍之介だった。人気の無い給湯室で、龍幻は単刀直入に計画を告げた。

「龍之介。今から俺と、ある会社に行ってもらう。お前には、そこで餌になってもらう」

「餌…ッスか?」

「そうだ。お前のその若く逞しい肉体を見せつけ、相手がどんな反応を示すか見る。危険な男だ。だが、お前が俺の『所有物』であることを忘れなければ、何も恐れることはない」

龍幻の冷徹な言葉に、龍之介は一瞬だけ息を飲んだ。しかし、彼の瞳に浮かんだのは恐怖ではなく、主人に重要な役目を与えられたことへの、歓喜の光だった。

「はいッ!龍幻さんのためなら、なんだってします。俺のこの体、好きに使ってください!」

その絶対的な忠誠心に、龍幻は満足げに頷いた。この獣は、自分の手によって完璧に仕上がっている。

タクシーで向かったのは、都心のオフィスビルに入る「株式会社ハイマウント・トレーディング」。龍幻は辰也の後任として引き継ぎの挨拶に来た、と受付で告げた。アポイントはなかったが、マッスルキングダムという大口の取引先の名前を出すと、担当者である大和猛はすぐに会ってくれることになった。

通された応接室は、無機質で飾り気のない空間だった。龍幻と龍之介がソファに腰を下ろし待っていると、ドアが開き、写真で見たあの男が姿を現した。

短く刈り込んだ髪。日に焼けた肌。そして、着ているワイシャツのボタンがはち切れんばかりに盛り上がった、分厚い胸板と極太の腕。写真で見た以上の、圧倒的な威圧感。まるで獰猛な熊が、自らの縄張りに足を踏み入れた侵入者を確かめるかのように、その鋭い目で龍幻と龍之介を値踏みするように見つめている。

「…俺が、大和だ。辰也さんの後任とは、おたくらかね」

その声は、腹の底から響くような、地を這うバスだった。

「お初にお目にかかります。私が龍幻です。そしてこちらが、期待の新人、龍之介君です」

龍幻は立ち上がり、名刺を差し出した。大和はそれを受け取ると、龍幻のスーツ越しの体躯をちらりと一瞥し、次に、その視線を龍之介へと移した。

その視線は、粘りつくように、龍之介の全身を舐め回した。スーツの上からでもわかる肩幅の広さ、胸の厚み、そして、椅子に座っていてもわかる、逞しい脚のライン。大和の喉が、ごくりと鳴るのを龍幻は見逃さなかった。

「ほう…マッスルキングダムは、良い人材を揃えているようだ。特に、そこの若いのは…見所がある」

「あ、ありがとうございますッ!」

龍之介は、計画通り、無邪気な笑顔で応じる。その隙だらけの態度が、大和の欲望をさらに煽っているのが、龍幻には手に取るようにわかった。

「ええ。彼は元アメフト部でしてね。まだまだ粗削りですが、体つきだけは一級品ですよ。なんなら、ジャケットを脱がせてご覧に入れますが?」

龍幻の挑発的な提案に、大和の目が、ギラリと獣のような光を放った。

「はっはっは、そいつは面白い。…だが、商品の品定めは、もっと落ち着いた場所でするべきだろう」

大和はそう言うと、ソファに深く腰掛け、長い脚を組んだ。その態度は、完全に龍之介という「商品」に興味を示したバイヤーのそれだった。

「辰也さんには、公私共にお世話になっていた。あんたが後任なら、改めて『挨拶』をさせてもらわんとな。今夜あたり、どうだ?もちろん、その期待の新人君も一緒にだ」

揺さぶりは、成功した。大和は、見事に餌に食いついてきたのだ。龍幻は、込み上げてくる興奮を抑え、冷静に、そして意味ありげに微笑んだ。

「ええ、ぜひ。我々も、大和さんと『深いお付き合い』をさせていただきたいと思っておりましたので」

応接室の空気は、男たちの欲望と腹の探り合いで、危険なほどに密度を増していた。龍幻のゲーム盤の上で、新たな駒が、今まさに動き出そうとしていた。

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龍幻は宗十郎に大和猛の存在を報告する。宗十郎は「面白いことになってきたな」と笑い、龍幻に追加の調査権限と人員として、元刑事の大悟をつけることを提案する。(セックスはしない)

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ハイマウント・トレーディングの無機質な応接室を出た瞬間、龍幻は張り詰めていた息を静かに吐き出した。隣を歩く龍之介の体からは、まだ興奮と緊張の匂いが漂っている。計画は成功した。大和猛という獰猛な熊は、龍之介という極上の餌に、見事に食いついてきたのだ。

会社に戻るタクシーの中で、龍幻は窓の外を流れる景色を見ながら、次の手を思考していた。今夜の会食。それは、大和の尻尾を掴む絶好の機会だ。だが、相手は辰也以上に狡猾で、そして暴力的である可能性が高い。龍之介を危険な目に遭わせるわけにはいかない。より確実な手札が必要だった。

自席に戻った龍幻は、迷わず内線電話の受話器を取り、社長秘書の番号をプッシュした。

「社長に、至急ご報告したい件があるとお伝えいただけますか。辰也の件で、進展がありました」

宗十郎という絶対的な後援者。彼の力を最大限に利用する。それが、この危険なゲームを制するための最善手だと、龍幻は判断した。

再び、重厚なマホガニーの扉の前に立つ。先ほどとは違い、今の龍幻の心には確かな手応えと、それゆえの緊張感があった。

部屋に入ると、宗十郎は葉巻の煙を燻らせながら、すべてを見通したような目で龍幻を迎えた。

「話は聞いているよ、龍幻君。早速、熊の穴を突いてきたそうじゃないか。実に仕事が早い」

「はっ。ご紹介いただいた『猟犬』が、優秀でしたので」

龍幻は、傍に控えていた龍之介のことを暗に示唆した。その言葉に、宗十郎は愉快そうに喉を鳴らす。

龍幻は、ハイマウント・トレーディングでの大和猛とのやり取り、そして今夜の会食の約束を取り付けたことを、簡潔に、しかし要点を押さえて報告した。

「ふむ…やはり、食いついてきたか。だが、その熊は一筋縄ではいかんぞ。辰也君のように、色と欲だけで簡単に操れる相手ではない。君と、その若い猟犬だけでは、逆に食い殺されんとも限らん」

宗十郎の指摘は、龍幻が抱いていた懸念そのものだった。

「面白いことになってきたじゃないか。…いいだろう、龍幻君。君のその働きに応えて、さらに強力な『駒』を授けよう」

宗十郎はそう言うと、デスクの内線電話のボタンを一つ押した。

「儂だ。すぐに社長室まで来てくれたまえ。…ああ、君の出番だよ」

電話を切った宗十郎は、悪戯っぽく笑う。

「こういう裏の仕事には、その道のプロが必要でね。元刑事の腕利きを、君の補佐につけてやる。彼なら、その熊の分厚い皮を剥ぐ、良き手伝いができるはずだ」

元刑事。その言葉に、龍幻の脳裏に一人の男の顔が浮かんだ。あのジムで会った、鋭い目を持つマネージャー。まさか。

龍幻の思考を裏付けるかのように、社長室の扉が控えめにノックされ、低い声と共に、がっしりとした体躯の男が姿を現した。

ゴールデンマッスルジムのマネージャー、大悟だった。彼はラフなポロシャツ姿ではなく、隙のないダークスーツに身を包んでいる。その佇まいは、もはや単なるジムの従業員ではなく、裏社会の仕事に精通したプロのそれだった。

「お呼びにより、参上いたしました。社長」

「うむ、ご苦労。紹介しよう、龍幻君。彼が、君の新たなパートナーとなる、大悟君だ」

大悟は、龍幻のほうへ向き直ると、その口元に不敵な笑みを浮かべた。

「龍幻さん。いや、これからは龍幻さんと呼んだ方がいいですかな。お前さんと、こんな形で組むことになるとはな。面白くなりそうだ」

宗十郎の底知れない人脈と、周到な計画。龍幻は、自分が巨大なゲーム盤の上で踊らされているに過ぎないことを改めて自覚すると同時に、そのスリルに体が打ち震えるのを止められなかった。

「大悟君、事情はもう伝えてある。今夜からの調査、龍幻君の指示に従い、全面的にサポートしてくれたまえ。手段は問わん。必ず、大和猛と、その背後にあるものを炙り出すんだ」

「御意」

宗十郎の前で、龍幻と大悟は正式にタッグを組むことになった。元刑事というプロの協力者。そして、忠実な獣である龍之介。今夜、大和猛という熊を狩るための、最強のチームが結成されたのだ。

社長室を後にし、廊下を並んで歩きながら、大悟が低い声で龍幻に話しかけてきた。

「して、今夜の計画は?あの熊をどう料理するつもりですかい?」

「まずは相手の懐に入り、情報を引き出す。そのための餌は、すでに用意してある」

「ほう、餌、ですか。…なるほど、あの若くて美味そうな新人君のことですな。良い趣味をしている。だが、それだけじゃあの熊は満足しませんぜ。奴は、もっと熟した肉を好む」

大悟の視線が、値踏みするように龍幻の全身を舐める。その挑発的な眼差しに、龍幻は静かに口角を上げた。この男もまた、一筋縄ではいかない獣だ。だが、今は頼もしい味方でもある。

「案ずるな。餌が喰われそうになった時のための、罠もすでに考えてある」

龍幻の頭の中では、今夜のシナリオがすでに完成していた。大和猛、龍之介、そしてこの大悟。三匹の獣を盤上に配置し、自らはそれを操るゲームマスターとなる。内部調査という名の大義名分のもと、欲望と駆け引きが渦巻く、危険な夜が始まろうとしていた。

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会食の席で、大和猛は龍之介よりも龍幻の熟した肉体に興味を示す。「あんたの体を味見させろ」と迫られ、情報を引き出すため、大悟の監視のもとでその屈辱的な要求を受け入れる。

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その夜、指定されたのは都心の一等地に佇む、会員制の高級料亭だった。通されたのは、坪庭を望む広々とした個室。静寂を破るのは、庭の鹿威しが時折立てる、澄んだ音だけだ。この静けさが、かえって嵐の前の不気味さを際立たせていた。

上座にどかりと腰を下ろした大和猛は、まるで縄張りを支配する熊のように、圧倒的な存在感を放っている。龍幻は、その正面に、そして龍幻の隣には、完璧な「餌」を演じる龍之介が、さらにその隣には、すべてを見通すような目で座る大悟が控えていた。男四人だけの、危険な会食の幕が上がる。

「はっはっは、堅苦しい挨拶は抜きにしようや。辰也さんとは、長い付き合いだった。後任のあんたたちとも、良い関係を築きたいもんだ」

豪快に笑いながら、大和は自ら酒を注いで回る。その目は、しかし笑っていない。値踏みするように、三人の男たちを順番に、そして執拗に観察していた。

計画通り、龍之介が会話の中心となった。彼は無邪気な新人を演じ、自身のトレーニング論や、アメフト部時代の武勇伝を、目を輝かせながら語って聞かせる。その若く逞しい肉体から発散されるエネルギーは、大和の興味を引くには十分すぎた。

「ほう、大したもんだ。その腕、少し触らせてみろ」

「はいッ!どうぞ!」

龍之介が差し出した腕を、大和の熊のように分厚い手が鷲掴みにする。スーツの生地の上から、その筋肉の硬さと太さを、確かめるように揉みしだいた。龍之介の顔が、わずかに引きつる。

龍幻と大悟は、その光景を黙って見つめていた。大和の視線は、明らかに龍之介という獲物を品定めしている。だが、酒が進むにつれて、その粘つくような視線は、徐々にその隣に座る男へと移っていった。

「…若い肉もいいがな。俺は、食い応えのある、熟した果実の方が好みでな」

その低い声は、明らかに龍幻に向けられていた。部屋の空気が、ぴんと張り詰める。大和は、龍之介の腕を無造作に放り出すと、その巨体を龍幻の方へと乗り出してきた。

「…と、おっしゃいますと?」

「とぼけるなよ、龍幻さん。あんた、辰也さんと同じ匂いがするぜ。スーツの下に、とんでもねえモンを隠してるだろ。…なあ、俺と『深いお付き合い』をしたいんだろ?だったら、まずは誠意を見せてもらおうか。あんたのその体を、少し味見させろ」

その要求は、あまりにも直接的で、そして屈辱的だった。龍之介の顔色が変わる。大悟は、表情を変えないまま、テーブルの下で何かを操作した。おそらく、録音の準備だろう。

龍幻は、一瞬にして思考を巡らせた。ここで拒絶すれば、この話は終わりだ。情報を引き出すためには、この屈辱を受け入れるしかない。これは、宗十郎に与えられた任務なのだ。

「…いいでしょう。辰也との取引を円滑に引き継ぐためだ。私の誠意を、お見せします」

龍幻がそう答えると、大和は満足げに喉を鳴らした。そして、龍幻の隣に座る龍之介と大悟に向かって、顎をしゃくる。

「お前らは、そこで見ているだけでいい。上司が、会社のためにどうやって体を張るのか、その目に焼き付けておけ」

龍幻は、ゆっくりと立ち上がると、大和の前に進み出た。大和はソファに座ったまま、見上げるようにして龍幻の全身を舐め回す。

「まずは、そのジャケットを脱げ」

龍幻は、命令に従い、スーツのジャケットを脱いだ。ワイシャツ一枚になり、鍛え上げられた胸板や肩のラインが露わになる。大和の目が、ギラリと光った。

大和の分厚い手が伸びてきて、龍幻のワイシャツの上から、その厚い胸板を鷲掴みにした。指先が、硬い筋肉の感触を確かめるように、ねっとりと這い回る。

「…ほう。これは極上だ。辰也さんより、締まってるかもしれんな」

屈辱に、奥歯を噛み締める。だが、体は正直だった。男に品定めされ、体をまさぐられる背徳感に、スーツの下で自身の雄がゆっくりと熱を持ち始めていた。

大和の手は、さらに大胆になっていく。胸から腹筋の溝をなぞり、そして、ベルトのすぐ上、下腹部のあたりを、手のひらでぐり、と押し付けた。

「おや、もうこんなに熱くなってるじゃねえか。あんたも、隅に置けねえな」

「…これが、私の誠意です。…辰也との金の流れについても、誠意をもってお話し合いをさせていただきたい」

龍幻は、屈辱に耐えながらも、冷静にビジネスの話を差し込んだ。その言葉に、大和は一瞬だけ動きを止め、面白そうに龍幻の顔を見つめた。

「はっ、大したタマだ。気に入ったぜ。いいだろう、その話も、あんたの体をしゃぶり尽くしながら、ゆっくりと聞いてやる。まずは、そのシャツも脱いでもらおうか…」

大和の指が、龍幻のワイシャツの第一ボタンにかけられる。龍之介が悔しさに唇を噛み締め、大悟が冷静にその光景を記録しているのが、視界の端に映った。龍幻は、これから始まるさらなる屈辱を覚悟し、静かに目を閉じた。すべては、この熊の懐に完全に入り込むための、必要な儀式なのだと、自分に言い聞かせながら。

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大和猛にシャツを脱がされ、その場で上半身を隅々まで舐め回される。大悟は冷静にその光景を録画し続け、龍之介は屈辱に耐える主人を見て興奮してしまう。

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大和猛の熊のように分厚い指が、龍幻のワイシャツの第一ボタンにかけられた。カチリ、と小さな音が個室の静寂に響く。それは、龍幻のプライドが砕け散る音のようでもあった。隣では、龍之介が悔しさに唇を強く噛み締め、その肩が微かに震えている。大悟は、表情一つ変えずに、テーブルの下でスマートフォンの録画ボタンを静かに押した。

大和は、焦らすように一つ、また一つとボタンを外していく。その度に、龍幻の鍛え上げられた胸板が露わになっていった。四十年の歳月をかけて刻み込まれた、分厚い筋肉の鎧。そのすべてが、今、屈辱的に晒されようとしている。

「はっ、焦るなよ。極上の果実は、皮をゆっくり剥いてやるのが一番美味いんだ」

全てのボタンが外されると、大和はもはや待ちきれないとばかりに、ワイシャツの襟を掴み、左右に引き裂くように広げた。龍幻の完璧な上半身が、料亭の柔らかな照明の下に完全に晒される。

「…ククク…これは、傑作だな…辰也のやつが、こんな極上の肉を隠し持っていたとは…」

大和は恍惚とした表情で呟くと、そのザラついた舌を伸ばし、龍幻の汗ばんだ胸板を、下から上へと、ねっとりと舐め上げた。

「・・・ッ!」

生温かく、湿った感触。龍幻の全身に、粟立つような悪寒と、それとは裏腹の熱い痺れが走った。屈辱。だが、体は正直だった。男の舌に這われる背徳感に、スーツのスラックスの中で、自身の雄がさらに硬度を増していく。

大和の舌は、まるで獲物の味を確かめるかのように、龍幻の上半身を隅々まで舐め回していく。盛り上がった大胸筋の輪郭をなぞり、腹筋の溝に舌を差し込み、そして、胸の中心にある突起へとたどり着いた。

「ほう、ここが敏感なようだな。男の体は、正直でいい」

大和は、その乳首を唇で吸い上げ、歯を立てて甘噛みし始めた。

「ん…ッ!や、め…」

龍幻の口から、堪えきれない喘ぎ声が漏れる。その声に、隣に座る龍之介の体がびくりと大きく跳ねた。

龍之介は、主人が他の男に辱められ、感じさせられている光景を、目の前で見せつけられていた。主を守れない無力感と、大和への殺意にも似た怒り。しかし、それと同時に、主人の見せたことのない、感じている姿に、彼のスーツの下の雄は、どうしようもなく昂りをみせていた。屈辱に耐える主人の姿が、これほどまでに淫らだとは。その背徳的な興奮が、彼の思考を支配し始めていた。

一方、大悟は冷静だった。彼はスマートフォンの角度を微調整し、大和の顔と、龍幻の苦悶に歪む表情、そしてその股間の隆起まで、全てが一つのフレームに収まるように完璧な録画を続けている。だが、その冷静な仮面の下で、彼の瞳の奥には、かすかな欲望の光が揺らめいていた。この見事な肉体が、他の男に貪られている。その光景は、元刑事の鉄の理性すらも揺さぶるには十分だった。

大和は、龍幻の乳首をさんざん嬲り尽くすと、満足げに顔を上げた。その口元からは、龍幻の汗と唾液が混じり合ったものが、いやらしく光っている。

「どうだ、龍幻さん。俺の『誠意』は伝わったか?あんたの体は、極上の味がするぜ」

「…ええ、十分に。…では、今度はそちらの『誠意』を見せていただきたい。辰也との、金の流れについて」

龍幻は、喘ぎを必死に抑え込み、最後の理性を総動員して、任務を遂行しようとした。その言葉に、大和は愉快そうに喉を鳴らした。

「はっ、この状況でまだそんなことが言えるとは、大した男だ。…いいだろう、少しだけヒントをやろう。辰也とはな、金だけじゃなく、もっと深いところで繋がっていたのさ。金と、そして互いの『肉』を担保にな」

その言葉は、辰也と大和の関係が、単なる横領の共犯者ではないことを明確に示していた。

「あんたが、辰也の代わりになれるってんなら、その『繋がり』も、引き継がせてやってもいいんだぜ…?」

大和はそう言うと、もはや上半身だけでは満足できないとばかりに、その分厚い手を龍幻のベルトへと伸ばした。

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大和の要求がエスカレートし、ズボンを下ろされ、その猛々しい雄を手で扱かされる。

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大和猛の、熊のように分厚い手が龍幻のベルトにかけられた。その指先には、これから極上の獲物を解体するという、猟師のような冷たい興奮がこもっている。龍幻は、この屈辱的な儀式の次の段階が始まることを覚悟し、奥歯を強く噛み締めた。隣では、龍之介が必死に怒りと興奮を押し殺し、その呼吸が荒くなっているのがわかる。

バックルが外れる無機質な音。続いて、ジッパーがゆっくりと引き下げられる、生々しい音。大和は、まるで焦らすかのように、その一つ一つの所作を龍幻の、そして龍之介と大悟の目に見せつけていた。

「さあ、辰也の代わりになれるってんなら、あんたの『担保』を見せてもらおうじゃねえか」

大和はそう言うと、龍幻のスラックスと下着を、一気に足元まで引きずり下ろした。解放された龍幻の雄が、料亭の柔らかな照明の下に、その猛々しい姿を完全に現す。屈辱と背徳感に煽られ、それは今までにないほど硬く、熱く脈打っていた。

「…ククク、こいつは傑作だ。辰也のとは比べ物にならねえ、極上の一物じゃねえか…!」

大和は、満足げに喉の奥で笑うと、その巨根を値踏みするように眺め回した。そして、その分厚い手のひらで、怒張した竿を根元から鷲掴みにする。

「・・・ッ!」

熱く、ザラついた感触。自分の雄が、他の男の手に完全に握りしめられている。その事実が、龍幻の脳髄を直接焼き、抗いがたい快感となって全身を駆け巡った。

「ほうら、正直な竿だ。俺に握られただけで、こんなにビクついてやがる。…どうだ?自分のチンポを、俺みてえな男に扱かされる気分はよぉ」

大和は、龍幻の耳元で囁きながら、親指で亀頭の先端をねっとりと撫で回す。その度に、龍幻の腰がびくりと震え、ガマン汁が滲み出た。

その光景に、龍之介はもはや限界だった。主人が、自分の知らない男に、あられもない姿で扱かれている。その悔しさと、背徳的な興奮が入り混じり、彼のスラックスの股間は、はち切れんばかりにもっこりと盛り上がっていた。早く、この男を排除して、自分が主人の竿をしゃぶり尽くしたい。その欲望が、彼の全身を支配していた。

大悟は、冷静に録画を続けながらも、内心では龍幻の胆力に舌を巻いていた。この状況下で、なおも相手から情報を引き出そうとするその精神力。だが同時に、その屈辱に耐える姿に、言い知れぬ興奮を覚えている自分にも気づいていた。この男を、自分の手で堕としてみたい。元刑事の仮面の下で、新たな欲望が鎌首をもたげる。

「さあ、龍幻さんよ。ただ握られてるだけじゃ、誠意が足りねえんじゃねえか?てめえの手で、こいつを扱いてみせろよ。俺が満足するようにな」

それは、命令だった。龍幻は、屈辱に顔を歪めながらも、震える手で、自らの猛り狂う雄を握った。そして、大和の粘つくような視線を全身に浴びながら、ゆっくりと、その竿を上下に扱き始めた。

「…これで、満足ですか…?そろそろ、辰也との…『繋がり』について、教えていただきたい」

喘ぎを必死に殺し、龍幻は最後の交渉を試みる。その言葉に、大和は心底愉快そうに、腹を抱えて笑った。

「はっはっは!大した男だ、あんたは!気に入ったぜ!いいだろう、教えてやる!辰也はな、俺との裏取引で得た金を、さらに別の場所に流してたのさ。俺も、その全貌は知らねえ。だがな、その金の流れを管理してる『元締め』がいる。そいつにさえ辿り着けば、すべてがわかるだろうよ」

元締め。そのキーワードは、この事件の背後にさらに大きな組織が存在することを示唆していた。

「どうだ?少しは満足したか?…だがな、俺はまだ満足しちゃいねえんだよ。あんたのその極上の竿、俺の口でも味見させてもらわねえと、割に合わねえなあ?」

大和はそう言うと、もはや龍幻の返事を待つこともなく、その巨大な顔を、龍幻の股間へと近づけていった。

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大悟が「証拠は十分だ」と録画を止め、警察の身分を偽って踏み込む演技をし、大和を動揺させてその場を強制的に収拾する。(セックスはしない)

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大和猛の巨大な顔が、龍幻の股間へとゆっくりと沈んでいく。その口が開かれ、濡れた舌がちらりと覗く。これから始まるであろう、究極の屈辱。龍幻は、なすすべもなくその瞬間を待つしかなかった。隣で息を殺す龍之介の荒い呼吸と、冷静にすべてを記録する大悟の気配だけが、この世との唯一の繋がりだった。

その、時間が永遠に引き伸ばされたかのような静寂を、唐突に大悟が破った。

「…証拠は、十分だな」

大悟は低い声でそう呟くと、録画していたスマートフォンを懐にしまい、音もなくすっと立ち上がった。その動きには、一切の無駄がない。大和は、興を削がれたことに苛立ち、獣のような唸り声を上げた。

「ああん?何だてめえ、邪魔すんじゃねえぞ」

だが、大悟はまるで意に介さない。彼はスーツの内ポケットから、黒い革の手帳を取り出すと、それを大和の目の前に突きつけた。

「警視庁組織犯罪対策部の者だ。辰也の横領事件に関する内偵で、あんたを重要参考人としてマークさせてもらっていた。今のこの状況、すべて記録させてもらったぜ。強要罪、現行犯だ」

その声は、もはやジムのマネージャーのものではなかった。それは、幾多の修羅場を潜り抜けてきた、本物の刑事だけが持つことのできる、鋭く、そして重い響きだった。

「な…ッ!警察だと!?嘘をつくんじゃねえ!」

大和は慌てて龍幻から離れると、後ずさるようにソファの隅へと移動した。その顔には、先ほどまでの余裕綽々な笑みはなく、動揺と警戒の色がありありと浮かんでいる。

「辰也がすべて吐いたんだよ。あんたとの裏取引、金の流れ、そして『元締め』の存在もな。ここで大人しく投降すれば、多少の情状酌量も考えてやるが…どうする?」

大悟のハッタリは、完璧だった。辰也が失脚した今、警察が動いているという話には、十分な信憑性があった。大和は、自分の背後にいるであろう「元締め」の顔を思い浮かべ、顔面を蒼白にさせる。

「…くそッ!覚えてやがれ…!」

大和は、テーブルの上の勘定書きを掴むと、これ以上の追求を恐れるように、捨て台詞を残して部屋から逃げるように出て行った。

嵐が過ぎ去った後のような静寂が、部屋を支配した。龍幻は、まだ晒されたままの下半身を隠すのも忘れ、ただ呆然と、目の前で繰り広げられた見事な芝居の結末を見つめていた。

「…ふぅ。まあ、こんなところでしょう。肝心なところで邪魔をしちまって、申し訳ないですな、龍幻さん」

大悟は、悪びれもせずにそう言うと、いつもの不敵な笑みを浮かべた。

「…いや、助かった。礼を言う」

龍幻は、ゆっくりと衣服を整えながら、かろうじて言葉を絞り出した。屈辱から解放された安堵と、この男にしてやられたという複雑な感情が入り混じる。

「すみません、龍幻さん…!俺、何もできなくて…!」

龍之介が、悔しそうに拳を握りしめる。龍幻は、その頭を優しく撫でてやった。

「気にするな。お前は、餌として最高の働きをした。…それより、大悟さん」

「なんですかい?」

「あの録画データ、消さずに持っているだろうな?」

「へっ。当たり前でしょう。あんたのあられもない姿、バッチリ撮らせてもらいましたぜ。こいつは、最高の『交渉材料』になる」

大悟はそう言うと、ウィンクして見せた。この男、やはり一筋縄ではいかない。だが、今はこれ以上なく頼もしい共犯者だった。

料亭を出て、ひんやりとした夜道を三人で歩く。大和猛という熊は、一時的に追い払うことができた。そして、「元締め」という重要なキーワードも手に入れた。龍幻の体を張った潜入捜査は、大きな成果を上げたと言っていい。

だが、龍幻の脳裏には、大和に辱められた屈辱的な記憶と、それに興奮してしまった自分自身の体の反応が、生々しく焼き付いて離れなかった。

「龍幻さん。あんた、大したタマだ。あの状況で、よく耐えたもんだ」

「…仕事だからな」

「へっ、違いない。だがな、あんたのあの感じてる顔…正直、ゾクゾクさせられたぜ。今度、俺が直々に『尋問』してやろうか?元刑事のやり方で、な」

大悟の挑発的な言葉に、龍幻は何も答えられなかった。ただ、この事件が終わった後、この男との間に、何かが始まるであろうことを予感するだけだった。

会社という名のゲーム盤の上で、駒はさらに複雑に動き始めた。宗十郎、大悟、そしてまだ見ぬ「元締め」。龍幻は、自らの肉体を武器に、この底知れぬ欲望の渦の中心へと、さらに深く足を踏み入れていく。

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龍之介が「俺が今日の屈辱を忘れさせてあげます」と龍幻を抱きしめ、主人の傷を癒すように、愛情を込めて彼の後ろに挿入し、中で果てる。

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大和猛という熊を追い払った後の夜道は、ひどく静かだった。大悟は「あんたのあの感じてる顔…正直、ゾクゾクさせられたぜ」と挑発的な言葉を残し、タクシーを拾って夜の闇に消えていった。残されたのは、龍幻と、そして彼の隣で悔しそうに拳を握りしめる龍之介だけだった。

龍幻は平静を装っていたが、その内心は屈辱と、それに興奮してしまった自分への嫌悪感で荒れ狂っていた。大和のザラついた舌の感触、粘つくような視線、そして無様に扱かれた自身の雄の記憶が、脳裏に焼き付いて離れない。

「…帰るぞ」

龍幻が短く告げると、龍之介は黙ってその後をついてきた。タクシーを拾い、龍幻の住む高層マンションへと向かう。車内での会話は、なかった。ただ、龍之介が時折、心配そうな、そしてどこか熱を帯びた視線をこちらへ向けているのを、龍幻は感じていた。

部屋に入り、ドアが閉まる。外界から遮断された静かな空間で、龍幻はようやく張り詰めていた糸が切れ、ソファに深く体を沈めた。ジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを緩める。だが、体にまとわりつく屈辱の記憶は、そう簡単には消えてくれなかった。

その時、龍之介が静かに龍幻の背後に立った。そして、ためらうように、しかし確かな力で、その広い背中をそっと抱きしめた。

「…!龍之介…?」

「すみません…。でも、こうさせてください。…今日の屈辱、俺が全部、忘れさせてあげますから」

その声は、震えていたが、強い意志がこもっていた。龍幻の背中に、龍之介の熱い体温が伝わってくる。それは、主人の傷を癒そうとする、忠実な獣の温かさだった。

「…お前に、何ができる」

「あんたが俺にしてくれたことを、今度は俺がします。あんたの心と体を、俺の愛情で、全部満たしてあげるんです。…だから、お願いです。俺に、あんたを癒させてください」

龍之介は、龍幻の体をゆっくりとソファから立たせると、正面から向き合い、その潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめた。その瞳に宿る真摯な光に、龍幻のささくれだった心が、少しずつ解かされていくのを感じた。

龍幻は、もはや抵抗する気力を失っていた。いや、この若い獣の純粋な愛情を、受け入れてみたいと思ったのだ。龍幻が黙って頷くと、龍之介の顔に、安堵の表情が浮かんだ。

龍之介は、龍幻の手を引き、寝室へと導いた。そして、まるで王に仕える従者のように、龍幻のスーツを丁寧に脱がせていく。その手つきは、どこまでも優しく、慈しみに満ちていた。

裸にされた龍幻の体を、龍之介はベッドに優しく横たわらせた。そして、自らも服を脱ぎ捨て、その若く逞しい肉体を露わにする。

「龍幻さん。あんたのこの体は、誰にも汚させない。…俺だけのものだから」

龍之介はそう言うと、龍幻の体に覆いかぶさった。そして、大和に舐め回された胸板を、まるで清めるかのように、その舌で丁寧に舐め上げていく。

「ん…ッ…」

龍之介の舌は、大和のそれとは全く違っていた。暴力的な支配ではなく、ただひたすらに愛情を注ぎ込むような、優しい愛撫。その感触が、龍幻の体に刻まれた屈辱の記憶を、少しずつ溶かしていく。

龍之介の手は、龍幻の全身をゆっくりとマッサージするように動き、体の緊張をほぐしていく。そして、大和に辱められた自身の雄を、まるで宝物を扱うかのように、その両手でそっと包み込んだ。

「これも、あんたが俺に教えてくれたことッスよ。男の体は、こんなに優しく、気持ちよくなれるんだって」

龍幻は、もはや何も考えられなかった。ただ、龍之介が与えてくれる、温かく、そして深い愛情の波に、その身を委ねていた。

やがて、龍之介は龍幻の体をうつ伏せにさせると、その背中に静かに跨った。そして、潤滑剤をたっぷりと指に取り、龍幻の固く閉じられた入り口へと、そっと触れる。

「…!龍之介、お前…」

「大丈夫。俺が、あんたの全部を受け止めてあげる。あんたが俺にしてくれたみたいに…愛情だけで、あんたの中を満たしてあげるから」

龍之介は、ゆっくりと時間をかけて龍幻の体を解きほぐしていく。その丁寧な愛撫に、龍幻の体から完全に力が抜けていった。そして、準備が整ったことを確認すると、龍之介は自らの熱く猛った竿を、その入り口にそっと押し当てた。

「あ…ッ!」

異物が体内に入り込んでくる、未知の感覚。しかし、そこに痛みや屈辱はなかった。むしろ、愛する者の熱が、自分の内側をゆっくりと満たしていく、背徳的な安らぎがあった。

「龍幻さん…ッ!あんたの中、すごい熱い…ッ!俺のチンポ、全部吸い込んでくれてる…!」

龍之介の竿が、ゆっくりと、しかし確実に龍幻の最奥へと達する。二つの肉体が、完全に一つに繋がった。

龍之介は、龍幻の背中に顔を埋め、その広い背中を抱きしめながら、ゆっくりと腰を動かし始めた。それは、激しいピストンではない。ただ、愛する主人の傷を癒すように、愛情を注ぎ込むような、深く、そして優しい交合だった。

「ああ…ッ!りゅう、のすけ…そこ、だ…もっと、奥…」

受け入れることでしか感じられない、未知の快感。龍幻は、自分が支配者であることなど忘れ、ただ一匹の雄として、龍之介の与える快楽に溺れていった。

「龍幻さん、龍幻さん…ッ!好きだ…あんたが好きだ…ッ!」

龍之介は、愛の言葉を囁きながら、腰の動きを徐々に早めていく。龍幻もまた、その動きに合わせて腰を揺らし、自ら快感を求め始めた。

「もう、ダメだ…ッ!あんたの中に、出す…!俺の全部、あんたの奥にぶちまける…ッ!」

「ああ…!来い、龍之介…!お前の愛情で、俺をめちゃくちゃにしてくれ…!」

龍之介の体が大きく痙攣し、熱い奔流が龍幻の体内に激しく注ぎ込まれる。その温かい感触が、龍幻の体に残っていた最後の屈辱の記憶を、完全に洗い流していった。

射精を終えた龍之介は、ぐったりと龍幻の背中に倒れ込んだ。二つの汗ばんだ肉体は、しばらくの間、離れることなく互いの体温と心音を感じ合っていた。支配者と被支配者ではない。ただ、互いを深く愛し、求め合う、二匹の雄として。二人の絆は、この夜、さらに固く、そして倒錯的に結ばれたのだった。

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内部調査を進めるため、辰也と金の繋がりがあった他の社員をリストアップする。その中に、意外な人物の名前を見つけ、まずはその人物の身辺調査を開始することにする。(セックスはしない)

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龍之介の愛情によって心身ともに満たされた翌朝。龍幻は、新たな決意を胸にマッスルキングダムのオフィスへと足を踏み入れた。昨夜の屈辱は、もはや彼の心を苛む棘ではない。それは、これから始まる狩りへの闘志を燃やすための、着火剤に変わっていた。

フロアですれ違う龍之介、慎吾、そして剛。彼らは、上司である龍幻に恭しく挨拶をする。だが、その一瞬交わされる視線には、普通の社員には決して理解できない、共犯者たちだけの熱と信頼がこもっていた。この歪で、しかし確固たる絆こそが、龍幻の新たな武器だった。

自席に着いた龍幻は、早速、宗十郎から与えられた「内部調査」という名の最強の権限を行使した。経理部に内線を入れると、有無を言わさぬ口調で、辰也が在籍していた過去三年間の、全ての経費精算データと関連書類を要求する。電話口の若い経理部員が戸惑う声を、龍幻は冷たく一蹴した。

「社長直々の命令だ。君は、ただ速やかにデータを提出すればいい」

その一言で、全ての抵抗は沈黙した。ほどなくして、龍幻のデスクには膨大な量の電子データと、分厚いファイルが運び込まれる。

龍幻は、そこから一人、孤独なデータの海へとダイブした。接待交際費、出張費、備品購入費。一つ一つの数字を、金の流れを、鬼のような集中力で追っていく。辰也という男が、いかに巧妙に、そして大胆に会社の金を私物化していたかが、その数字から浮かび上がってきた。

数時間が経過した頃、龍幻は一つのパターンを見出した。辰也は、特定の数名の社員と、不自然なほど高額な会食を、定期的に繰り返している。そのほとんどが、彼の息のかかった営業部の部下たちだ。おそらく、彼らを買収し、不正の隠蔽に協力させていたのだろう。

だが、そのリストの中に、一つだけ、明らかに異質な名前が混じっていた。

『経理部主任・古畑誠』

龍幻の眉が、ぴくりと動いた。古畑。社内では、真面目だけが取り柄の、地味で目立たない四十代の男として知られている。派手な辰也とは、水と油のような存在だ。なぜ、その男の名前がここにある?

龍幻は、古畑に関連するデータをさらに深く掘り下げた。すると、辰也からの不自然な金の流れは、必ずこの古畑を経由して、巧妙に偽装されていることが判明した。彼は、辰也の横領における、金庫番であり、そして最大の共犯者だったのだ。

(面白い…あの真面目そうな仮面の下に、そんな顔を隠していたとはな)

龍幻は、新たな獲物の発見に、口元が吊り上がるのを感じた。この男を落とせば、「元締め」に繋がる、より確実な情報を手に入れられるかもしれない。だが、いきなり接触するのは得策ではない。まずは、彼の身辺を徹底的に洗い、弱みを握る必要があった。

その日の終業後、龍幻は誰にも気づかれぬよう、一人オフィスに残って仕事を続ける古畑の動向を監視した。定時を二時間ほど過ぎた頃、古畑はようやく席を立ち、会社を後にする。龍幻は、少し距離を置いて、その後を静かに尾行した。

古畑が向かったのは、会社の最寄り駅から数駅離れた、古びた雑居ビルだった。龍幻は、彼がビルの中に消えていくのを見届けると、入り口に掲げられた看板を見上げた。

『SMOKE & LEATHER』

それは、この界隈では知る人ぞ知る、マニアックなゲイバーの名前だった。地味で真面目な経理部主任。その男が夜な夜な通う場所が、ここだというのか。

龍幻は、確信した。古畑の弱みは、金だけではない。彼の隠された性的嗜好。それこそが、この男を完全に支配するための、最高の鍵になる、と。龍幻は、黒い笑みを浮かべると、そのバーの重い扉に、ゆっくりと手をかけた。ゲームは、新たな盤面へと移ろうとしていた。

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今夜は深入りせず、古畑の通うバーの存在を突き止めただけで引き上げる。翌日、大悟にこの情報を共有し、彼の「プロのやり方」で、古畑をどう追い詰めるか作戦を練ることにする。(セックスはしない)

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古びた雑居ビルの地下へと続く階段。その先から漏れ聞こえてくる、低いベース音と、男たちのざわめき。『SMOKE & LEATHER』と書かれた看板が、妖しいネオンの光を放っている。龍幻は、そのバーの重く冷たい鉄の扉に手をかけた。今この扉を開ければ、獲物である古畑に直接接触できる。

だが、龍幻は寸でのところでその衝動を抑え込んだ。焦りは禁物だ。何のカードも持たないまま蛇の巣に飛び込むのは、あまりにも無謀すぎる。まずは情報を集め、相手の首に確実に牙を立てられる状況を作り出すことが先決だった。

龍幻は静かに扉から手を離すと、誰にも見られていないことを確認し、夜の闇へと再び身を隠した。古畑という男のテリトリーを突き止めた。今夜の収穫は、それだけで十分だった。冷たい夜風が、狩りの始まりに昂る龍幻の体を心地よく冷ましていく。

翌日の昼休み。龍幻は、社内で最も盗聴や監視のリスクが低い場所として、普段はほとんど使われていない旧資料室に大悟を呼び出した。元刑事である彼に、昨夜の調査結果を共有し、今後の作戦を練るためだ。

「…というわけだ。経理部の古畑という男が、辰也の横領の金庫番で間違いない。そして、奴の隠れ家は、昨夜突き止めたゲイバーだ」

龍幻が手短に報告を終えると、大悟は腕を組み、面白そうに口の端を吊り上げた。

「なるほどな。地味な経理マンが、夜はレザーと煙にまみれてる、と。よくある話ですぜ。だが、あんたの言う通り、いきなりその巣に乗り込むのは下策だ」

大悟は、元刑事の顔になっていた。その目は、獲物の生態と習性を分析する、冷徹な狩人のそれだ。

「あの手のバーは、常連客の結束が固い。よそ者が土足で踏み込んできても、誰も口を割りやしねえ。むしろ、警戒されて二度と尻尾を出さなくなるのがオチだ。奴を追い詰めるなら、まずは外堀から埋めるべきですな」

「外堀、か。具体的にどうする?」

「プロのやり方で、ですたい」

大悟はそう言うと、不敵な笑みを浮かべた。

「あんたは引き続き、社内データから奴の金の流れを徹底的に洗ってください。給与と不釣り合いな支出、借金の有無、金の使い道。奴の金の弱みを、数字で固めるんです。俺は、俺のルートで、奴のプライベートを丸裸にしてやる」

大悟の言う「俺のルート」が、警察時代の情報網や、あるいはそれ以上の裏社会との繋がりを意味することは、聞かずともわかった。

「奴がそのバーでどんな風に過ごしているのか、どんなタイプの男が好みなのか、どんな秘密を抱えているのか。あんたが次に奴と会う時までに、奴の首に巻きつけるための、上等な縄を用意して差し上げますよ」

「…頼もしいな。さすが、その道のプロだ」

「へっ、お褒めにいただき光栄ですな。まあ、報酬はきっちり頂きますがね。…あんたのその見事な体で、な」

大悟は、冗談めかしてそう言うと、龍幻の厚い胸板をポンと叩いた。だが、その目の奥は笑っていない。龍幻は、この男との共犯関係が、いずれ自分自身にも牙を剥くであろうことを予感しながらも、そのスリルに体が疼くのを感じた。

そこから、二人の連携は迅速かつ的確だった。龍幻は、古畑の経費精算や給与データから、彼の収入に見合わないブランド品の購入履歴や、複数の消費者金融からの借入を示す痕跡を発見した。一方、大悟は数日後、一枚のメモを龍幻に手渡した。

そこに書かれていたのは、大悟の裏ルートからもたらされた、古畑誠という男の、もう一つの顔だった。

『バーでの評判:気前はいいが、酒癖が悪く、好みのタイプにはしつこい。特に、若くて筋肉質な、アメフト部のようなタイプの男に目がない。最近、店のホスト的な役割の若い男に大金を貢ぎ、そのことで他の客とトラブルを起こしている』

龍幻はメモを読み終えると、静かに口角を上げた。金と男。古畑を雁字搦めにするための、二本の縄は揃った。

その日の夕方、龍幻は再び大悟と旧資料室で落ち合った。手には、古畑に関する全ての調査資料が揃っている。

「どうですかい、龍幻さん。これで、あの地味な経理マンを丸裸にする準備は整った。して、どうやってこの獲物を料理しますか?」

大悟の問いに、龍幻の頭の中では、いくつかのシナリオが組み立てられていた。

「奴の好みは、若くて筋肉質なアメフト部タイプ。…うってつけの餌が、こちらにはいる」

龍幻の脳裏に、龍之介と、そして慎吾の顔が浮かんだ。あの二匹の獣を使えば、古畑を陥れることなど容易いだろう。

「ほう、色仕掛けですか。王道ですな。ですが、それだけじゃ奴は金の流れについては口を割らんでしょう」

「ああ、わかっている。だからこそ、多角的に攻める。金と男、奴の弱みを同時に突き、精神的に完全に追い詰めるんだ」

龍幻の目は、もはや獲物を前にした狩人のそれだった。冷徹に、そして確実に、古畑という男の心を折り、情報を引き出すための、非情な作戦が、今まさに完成しようとしていた。

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